万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

脱原発論者に問う―新興国が原発を導入する理由とは

2011年07月22日 15時45分54秒 | 国際政治
原発輸出で政権内温度差 首相は見直し姿勢だけど…(朝日新聞) - goo ニュース
 最近、脱原発の根拠として、コスト安は幻想に過ぎず、現実には、原発のコストは高いとする試算を見かけます。しかしながら、もし、それが事実であるならば、何故、新興国は、原発を導入しようとしているのでしょうか。

 新興国が原発導入に踏み切るに際して、費用対効果や採算性を計算していないとは考えられません。火力、水力、あるいは、再生エネルギーの方が低コストであるならば、迷わず、そちらを選択するはずです。あらゆる面から検討して、原発のメリットを評価してのことと考えられます。新興国のみならず、先進国の多くも原発維持を表明しておりますので、原発コスト高説は、この点において、説得力に欠けるのです。核兵器への転用を狙っていると説明しようとするかもしれませんが、IAEAの査察がありますので、この心配もないはずです(軽水炉では核兵器用のプルトニウムは生成されない・・・)。

 脱原発論者による電力供給不足や安価な原子力エネルギーの否定は、初めに結論ありきで、どこか、信頼することができません。他国を観察しても、この説を裏付ける現象が見られないからです。脱原発原理主義者の主張を鵜呑みにしますと、産業の空洞化、大量失業、原子力産業の壊滅、安全保障の弱体化・・・といった悲惨な負の連鎖が待ちかまえているかもしれないのです。

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コメント (8)
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