万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

エネルギー政策は”国家万年の計”で

2011年07月31日 15時48分37秒 | 日本政治
田坂広志氏(内閣官房参与)インタビュー「再稼働は国民の納得が大切」(オルタナ) - goo ニュース
 菅首相とその周辺の人々は、個人的な見解である脱原発、あるいは、脱原発依存を、国のエネルギー政策の既定路線としたいようです。この路線、もしかしますと、将来の人類を苦しめることになるかもしれないと思うのです。

 石油や石炭、天然ガスといったエネルギー資源が永遠に枯渇しないのであるならば、脱原発は可能であるかもしれません。実際に、原発の停止が相次ぐ現状にあって、低品質の石炭、シェールガス、メタンハイドレードといった新種のエネルギー資源にも関心が集まるようになり、発電効率の高い火力発電設備も開発されてきました。こうした傾向は、資源の有効利用の面からも、評価されるべきことです。しかしながら、新種のエネルギー資源といえども、枯渇の運命を逃れることはできず、やがて、底をつく日が訪れます。短期的には問題解決に貢献しても、人類が、何万年も、何億年も先まで存在し続けることを考えますと、将来の人類は、ある時点において、深刻なエネルギー問題に直面することになるのです。ここで、自然エネルギーがあるではないか、と反論する方々もおられるでしょうが、自然エネルギーもまた、全人類の生産と生活を支えられるほどのエネルギー供給源となるかは、未知数です。

 こうした状況を考慮しますと、脱原発の流れに乗じて、原発技術や原子力研究を放棄することは、エネルギー問題解決に向けての解決の道を、一つ塞ぐことになります。エネルギー政策は、国家百年どころか、国家千年、否、万年の計なのですから、短絡的な判断は禁物であると思うのです。

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コメント (4)
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