万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ノルウェーの乱射事件―偽警察官の大罪

2011年07月23日 15時46分06秒 | 社会
警官姿の男、整列させ乱射…700人悲鳴(読売新聞) - goo ニュース
 ノルウェーと言えば、ノーベル平和賞がまずは頭に浮かび、美しい自然に囲まれた北欧の静謐な国というイメージがあります。それ故に、本日、ノルウェーで発生した凄惨なテロ事件は、世界中の人々に衝撃を与えることになりました。

 この事件の背景や実行犯については、極右の関係者とする憶測のみで、詳しい報道はありません。テロの真の目的は、深い霧の中にありますが、この事件は、80人にも及ぶ人々の命を奪うのみならず、もうひとつ、大事なものを破壊したと思うのです。それは、警察に対する国民の信頼です。犯人は、警察官を装って集会の参加者たちに近づき、平然と整列を命じたそうです。もし、警察の制服姿でなければ、誰も犯人の命令には従わなかったでしょうし、80人もの被害者が殺害されるはずもなかったはずです。命令に素直に従い、人々が犯人の前で整然と並んだからこそ、至近距離からの乱射が可能となり、これほどの悲惨な事件となったのです。こうした事件が起こると、国民は、警察官さえ疑うようになります。

 犯人は、単純に警察のコスチュームの方が人々を騙しやすいと目論んで、この手段を選んだのかもしれません。大方の国民は、無条件に警察や公務員を信頼するものだからです(某国では、政治家の仮面をかぶって国民の信頼を裏切る首相もいる・・・)。しかしながら、そうであるかこそ、この事件は、一般の人々に対する残酷なテロ事件であると同時に、国民の警察への信頼を逆手に取った、警察に対する間接的な攻撃ではなかったかとも思うのです。

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コメント (2)
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