万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

絶対主義国家中国-共産主義と中華思想の最悪の組合せ

2015年07月22日 15時28分33秒 | 国際政治
菅官房長官 中国の防衛白書非難に反論
 昨日の閣議決定で報告・了承された『2015年版防衛白書』に対して、中国政府は、「中国脅威論を強調して緊張を生み出す」として不満を露わにしております。中国側の批判に対して、菅官房長官が、即、反論を試みておりますが、中国が聞く耳を持つとは思えません。何故ならば、中国は、21世紀に出現した恐るべき絶対主義国家であるからです。

 たとえ中国が、言葉によって自らの脅威を否定しても、その攻撃的な行動は、明白に周辺諸国に脅威を与えております。日本国の防衛白書に噛みつく行為も、まさに行動による脅威の自己証明であり、海洋進出に関して白書で記述された「高圧的とも言える対応を継続させ、自らの一方的な主張を妥協なく実現しようとする姿勢」そのものです。人間の一般的理性と認識力をもってすれば、中国脅威論の否定は、鹿を馬どころか、虎をパンダというくらい無理があります。ところが、信じ難いことに、中国は、自らが虎をパンダと言えば、パンダになると本気で考えいてる節があります。現代中国を理解するためには、まずは、この奇妙な思考回路が生じた理由を突き止める必要があります。そして、この探求の先には、中国大陸で起きた共産主義と中華思想のハイブリッドという、恐るべき絶対主義思想の出現が見えてくるのです。現代中国の思想は、共産主義から全体主義と無神論を受け継ぎ、中華思想から権威主義とピラミッド型の組織原理を継承しており、そして独裁と人治は、両者から現代中国に流れ込んでいます。何れも、両思想が内包している悪い面ばかりの組合せです。神を含めて自らより上にある存在はなく、外部からの拘束性を意味する法も認めず、倫理や道徳さえも下に敷いているのですから、事実や他者の正常な認識さえも、絶対者である中国に合わせて変えることができると信じているのです。ヨーロッパの絶対主義は、曲がりなりにも神の下にありましたが、中国の絶対主義は、神性を一切否定した完璧なる絶対性にその特徴を見出すことができます。

 中国が、共産主義と中華思想の最悪の組合せの結果、全世界、あるいは、全宇宙の頂点に自らを位置づけて行動しているとしますと、もはや狂信者の域に達しております。人類の多くが、公平な客観性を備えた健全な知性と理性によって秩序が保たれる世界を目指しているとするならば、21世紀に現れた絶対主義国家中国は、最大の抵抗勢力となることが予測されるのです。

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コメント (2)
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