上海証券市場の株価の急激な値下がりを受けて、中国政府は、あらゆる政策手段を総動員して下落阻止を講じております。国家の威信をかけて証券市場バブルの崩壊を食い止めている状況にありますが、真の中国経済の危機は、上海証券市場ではなく、人民元の為替相場に異変が生じた時ではないかと思うのです。
上海証券市場において試みられた下落防止策の一つに、中国人民銀行などによる買い支えがあります。この方法は、政府と中央銀行が一体となって株式市場に大量に人民元を投入し、バブル状態を維持するというものです。いわば、銀行券を刷る輪転機をフル稼働させる手法であり、売り圧力の中で新たな株式の買い手が突如出現したわけですから、株価は安定化します。中国政府が、この手法を何時まで継続するかは分かりませんが、国内の株式市場であれば、一先ずは、応急手当てを施すことはできるのです。しかしながら、外国為替市場では、証券市場と同じ手法を用いることは困難です。国内の証券市場であれば、人民元の供給は無限に実施することができますが、外国為替市場では、自国通貨安の局面に転じると、外貨準備高という上限にぶつかるからです。これまで、中国は、輸出競争力を高めるために人民元安政策を実施しており、為替市場への介入によって大量の外貨準備を積み上げてきました(通貨安政策であれは、無限に実施できる…)。ところが、上海市場での政策は、マネーサプライを増やしますので、当然に、人民元安圧力がかかることになります。市場介入による政策的な通貨安ではなく、真正の通貨下落ですので、この時、中国は、重大な選択を迫らることが予想されます。現状の為替水準を維持しようとすれば、外貨準備を取り崩して人民元相場を支えねばらなず、一方、為替相場の下落を認めるとすれば、人民元資産の目減りや輸入インフレも必至となります。しかも、前者を選択しても、人民元買い支えのための外貨準備が底をついたら最後、人民元は暴落に見舞われ、中国が温めてきた人民元の国際化政策やそれに伴うIMFの準備資産採用なども遠のくことでしょう(”人民元通貨圏構想”の夢も消える…)。
中国経済に関する情報は乏しく、なおもその実態は、厚いベールに包まれています。近年、”調整可能な変動相場制”とも称された通貨政策も、国際的な批判を受けて自由化に向けて舵を切ったようにも見えましたが、通貨暴落という新たな局面に、通貨制度のみならず中国経済そのものが耐えられるか、疑問なところなのです。
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中国経済に関する情報は乏しく、なおもその実態は、厚いベールに包まれています。近年、”調整可能な変動相場制”とも称された通貨政策も、国際的な批判を受けて自由化に向けて舵を切ったようにも見えましたが、通貨暴落という新たな局面に、通貨制度のみならず中国経済そのものが耐えられるか、疑問なところなのです。
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