「これが民主主義か」=怒号飛び交う中強行採決―安保関連法案・衆院特別委
本日、衆議院特別委員会において、荒れ模様の中、安保法案が可決されました。かねてより法案に反対していた野党側は、”これが民主主義か”、”国民の理解はすすんでいない”、”強行採決反対”などと口々に叫び、怒りを顕わにしていたと報じられています。
各紙の世論調査等によりますと、安保法案に反対する回答が多数を占め、法案に対する国民の理解が深まっているとは言い難い状況のようです。その原因の一つは、政府が国民に対して法案の必要性、即ち、”何が脅威であるのか”を十分に説明し切れていないところにあります。法整備を急ぐ背景には、刻々と変化する国際情勢、即ち、中国の軍事的な台頭や国際秩序の崩壊に対する危機感があり、これらの背景に対する明快な説明抜きでは、政府が国民の理解を得ることは困難です。ところが、二つの理由から、政府は、安保法制の根拠でもある背景を説明しあぐねています。第1の理由は、日本国政府が、中国脅威論を積極的に語りますと、内外から強い懸念が示されることです。国内では、親中派の政党や政治勢力が根を張っており、日中友好に水を差すとして牽制されます。また、マスコミにも中国の影響が広く浸透し、況してや中国の工作員も暗躍している状況下にあっては、日本国政府による中国脅威論が歪曲された形で発信され、逆に、日本国側が中国を挑発している構図-日本脅威論-に仕立て上げられるリスクもあります。既に観察されているように、外部からは、中国が日本脅威論をしきりに煽っています。第2の理由は、防衛や安全保障の分野では、特定機密保護法の対象となるような機密性の高い情報が多く、国民に法案関連の情報を全て開示することができないことです。情報の全面的な開示は、相手国にも、日本国のみならず同盟国や関係国の安全を左右する重大情報が漏れることを意味しますので、自ずと制限を加えざるを得ません。また、国民の側も、必ずしも自ら進んで防衛や安全保障に関する情報を求めないとなりますと、法案に対する理解度はさらに低下することでしょう。
民主主義とは、全ての有権者が、政治的な判断に要する情報に自由にアクセスし、十分な情報を入手できる状態を前提として初めて成立します。しかしながら、今般の安保法案については、上述した理由によって、この前提を整えることができません。日本国政府は、引き続き国民に対して丁寧な説明に努めるべきですし(既存の情報のみでも、国民が判断するに十分な面もあるのですが…)、必要とあれば、摩擦を恐れずにマイナス情報も積極的に公開すべきですが、世論調査での反対の声は、防衛や安全保障の分野では民主主義に限界があることを差し引いて考えるべきではないかと思うのです。
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本日、衆議院特別委員会において、荒れ模様の中、安保法案が可決されました。かねてより法案に反対していた野党側は、”これが民主主義か”、”国民の理解はすすんでいない”、”強行採決反対”などと口々に叫び、怒りを顕わにしていたと報じられています。
各紙の世論調査等によりますと、安保法案に反対する回答が多数を占め、法案に対する国民の理解が深まっているとは言い難い状況のようです。その原因の一つは、政府が国民に対して法案の必要性、即ち、”何が脅威であるのか”を十分に説明し切れていないところにあります。法整備を急ぐ背景には、刻々と変化する国際情勢、即ち、中国の軍事的な台頭や国際秩序の崩壊に対する危機感があり、これらの背景に対する明快な説明抜きでは、政府が国民の理解を得ることは困難です。ところが、二つの理由から、政府は、安保法制の根拠でもある背景を説明しあぐねています。第1の理由は、日本国政府が、中国脅威論を積極的に語りますと、内外から強い懸念が示されることです。国内では、親中派の政党や政治勢力が根を張っており、日中友好に水を差すとして牽制されます。また、マスコミにも中国の影響が広く浸透し、況してや中国の工作員も暗躍している状況下にあっては、日本国政府による中国脅威論が歪曲された形で発信され、逆に、日本国側が中国を挑発している構図-日本脅威論-に仕立て上げられるリスクもあります。既に観察されているように、外部からは、中国が日本脅威論をしきりに煽っています。第2の理由は、防衛や安全保障の分野では、特定機密保護法の対象となるような機密性の高い情報が多く、国民に法案関連の情報を全て開示することができないことです。情報の全面的な開示は、相手国にも、日本国のみならず同盟国や関係国の安全を左右する重大情報が漏れることを意味しますので、自ずと制限を加えざるを得ません。また、国民の側も、必ずしも自ら進んで防衛や安全保障に関する情報を求めないとなりますと、法案に対する理解度はさらに低下することでしょう。
民主主義とは、全ての有権者が、政治的な判断に要する情報に自由にアクセスし、十分な情報を入手できる状態を前提として初めて成立します。しかしながら、今般の安保法案については、上述した理由によって、この前提を整えることができません。日本国政府は、引き続き国民に対して丁寧な説明に努めるべきですし(既存の情報のみでも、国民が判断するに十分な面もあるのですが…)、必要とあれば、摩擦を恐れずにマイナス情報も積極的に公開すべきですが、世論調査での反対の声は、防衛や安全保障の分野では民主主義に限界があることを差し引いて考えるべきではないかと思うのです。
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