万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

隠しきれない中国の脅威-信頼を失う安保法案反対論者

2015年07月29日 15時08分24秒 | 国際政治
南シナ海で大規模実弾演習=艦艇100隻、ミサイル発射―中国
 中国からの10億円規模の資金提供が報じられる中、左派勢力を中心に、デモやネット上での積極的な安保法案反対活動が展開されております。その一方で、国会において安倍首相が、遂に中国の脅威に直接言及したことから、反対派の人々は、慌てるかのように脅威論の打ち消しに躍起になっております。

 おそらく、反対派にとりましては、中国の脅威の表面化こそ最も怖れている事態であることは想像に難くありません。中国は、現在、南シナ海での行動を活発化し、海洋安全保障に重大な危機を与えていますし、周辺諸国に対しても威圧的な態度で臨んでおります。こうした中国の”全方位的”な拡張政策を止めようとしても、何れも一国のみでの対応に限界があります。それ故に、中国の脅威は、集団的自衛権の行使を認める安保法案を正当化する主要な根拠となるのです。おそらく、中国発の危機を詳細に説明すれば、日本国民の大半は安保法案の意義を理解することでしょう。そうであるからこそ、安保法案反対派は、何としても中国の脅威を隠しておきたいのです。ところが、実際に存在しているものを消すことは、不可能なことです。本日も、南シナ海において、中国が大規模な実弾演習を実施したと報じられております。

 事実を前にしては、反対派の人々が”中国の脅威はない”と断言しても、それを信じる人はほとんどいません。反対派の人々が、中国の脅威は存在しないと主張すればするほど、反対派は国民の信頼を失い、逆に、怪しまれることになるのではないでしょうか。民主主義の欠陥を知り尽くしている中国は、世論操作で安保法案を葬りたいのでしょうが、裏側からの世論操作には長けてはいても、自らの野心を隠せないところに(野心を実現する際には必ず行動として表に現れる)、中国の限界があると思うのです。

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コメント (2)
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