万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

パナマ文書が暴露する”独裁者は国民騙しの常習者”

2016年04月08日 10時04分02秒 | 国際政治
【パナマ文書の衝撃】中国の新旧指導者の親族らの名が 故毛沢東主席の孫の夫も 権威利用のビジネス風土
 共産党一党独裁体制を維持する中国は、厳格な情報統制を敷くことで体制を維持してきました。”情報を握る者こそ天下を握る”とばかりに。しかしながら、今度ばかりは情報に泣かされる結末を迎えるかもしれません。海外在住の中国人が増える中、外部からの情報流入を完全に遮断することは、至難の業であるからです。

 パナマ文書において驚かされることは、現習政権の指導者の関係者のみならず、”建国の父”とされた毛沢東主席の親族もリストにその名を連ねていることです。天安門広場には、今日なおも毛沢東氏の肖像画が掲げられていますが、中国国民は、この事実をどのように受け止めるのでしょうか。権力の頂点にあった時期に、一般の国民と同じく質素な人民服を着て国民の前に現れながら、毛主席が、実生活では贅を尽くした生活を送っていたことは、既に外部の世界では知れ渡っていました。こうした共産主義国家の欺瞞は、中国に限ったことではなく、ソ連邦をはじめ、社会・共産主義国の実態は、天文学的な”格差社会”であったのです。”国家のものは私のもの”となるのですから。そして、如何なる体制であれ、独裁者もまた然りです。マスメディアでは、現役の政治家やセレブ等に注目が集まっていますが、パナマ文書は過去数十年に亘る資料であり、その中には、リビアのカダフィ大佐、エジプトのムバラク元大統領、そして、かのシリアのアサド大統領の名が見えます。つまり、これらの独裁者もまた、国民を欺いて私腹を肥やしており、表の顔と裏の顔とでは大違いなのです。

 得てして独裁者というものは、演技力に秀でた国民騙しの常習者です。ソ連邦のスターリンもまた、自らを称して”私は、スターリンではなく、スターリンを演じただけだ”という意味深長な言葉を残しています。パナマの「モサック・フォンセカ」の他にも同様の法律会社はありますので、他の独裁者たちも、巨額の資産を海外に隠していたことでしょう。パナマ文書は、”暴露の書”であると共に、一般の国民に対して警戒を呼び掛ける”警告の書”でもあると思うのです。

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