中国含む13カ国・地域対象=米軍「航行の自由作戦」
南シナ海問題については、来月にも、ハーグの常設仲裁裁判所において判断が示される予定です。こうした中、中国の外交活動も活発化してきており、積極的にブルネイ、カンボジア、ラオスの3カ国の取り込みを図っているようです。
中国による親中派取り込み作戦の目的が、ASEANの分断であることは明白です。4項目から成る合意の第1項目は、南シナ海は問題は、”ASEANと中国の問題とすべきではない”というものです。つまり、たとえ仲裁裁判所において中国に不利な判断が示されたとしても、ASEANが結束して中国を批判することを、予め阻止しようとしているのです。第2項目と第3項目では、”主観国家は自らの方法で解決すべき”及び”当事国同士の直接協議で解決すべき”と続きます(因みに、第4項は”地域外の国は建設的な役割を担うべき”…)。中国は、国際法上の問題を国家間の領土問題に矮小化させようとしているのです。しかしながら、中国の分断作戦は、思惑通りの効果を発揮するのでしょうか。
4か国合意の効果は、おそらく、極めて限定されたものとなると推測されます。何故ならば、ブルネイも、カンボジアも、ラオスも、領土問題の当事国ではないからです。ブルネイは、確かにスプラトリー諸島の領土問題では当事国ですが、その領有権を主張しているのは、スプラトリィー諸島のLouisa Reefのみであり、争っている相手国はマレーシアなのです。中国と争っているわけではないのですから、当然に、合意内容、特に、第2と第3項目は無意味となります。また、ASEANによる一致団結した対中非難が見送られたとしても、中国を取り巻く状況が好転するわけでもありません。むしろ、仲裁裁判所の判断によって、中国の国際法違反の行為が明白になった場合、あるいは、頑として判断に従わない場合には、これらの3カ国もまた、無法国家を擁護する仲間として国際社会から批判される可能性もあります。
それにいたしましても、ブルネイ、カンボジア、ラオスの3カ国は、司法解決に訴えたフィリピンの勇気ある行動を、どのように考えているのでしょうか。1967年のバンコク宣言でも、2008年のASEAN憲章でも、法の支配に言及していますので、これらの三か国は、憲章違反を問われ可能性さえあります。ASEANを採るのか、中国を採るのか、そして、法が支配する文明を採るのか、弱肉強食の野蛮を採るのか。選択の時期は迫っていると思うのです。
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中国による親中派取り込み作戦の目的が、ASEANの分断であることは明白です。4項目から成る合意の第1項目は、南シナ海は問題は、”ASEANと中国の問題とすべきではない”というものです。つまり、たとえ仲裁裁判所において中国に不利な判断が示されたとしても、ASEANが結束して中国を批判することを、予め阻止しようとしているのです。第2項目と第3項目では、”主観国家は自らの方法で解決すべき”及び”当事国同士の直接協議で解決すべき”と続きます(因みに、第4項は”地域外の国は建設的な役割を担うべき”…)。中国は、国際法上の問題を国家間の領土問題に矮小化させようとしているのです。しかしながら、中国の分断作戦は、思惑通りの効果を発揮するのでしょうか。
4か国合意の効果は、おそらく、極めて限定されたものとなると推測されます。何故ならば、ブルネイも、カンボジアも、ラオスも、領土問題の当事国ではないからです。ブルネイは、確かにスプラトリー諸島の領土問題では当事国ですが、その領有権を主張しているのは、スプラトリィー諸島のLouisa Reefのみであり、争っている相手国はマレーシアなのです。中国と争っているわけではないのですから、当然に、合意内容、特に、第2と第3項目は無意味となります。また、ASEANによる一致団結した対中非難が見送られたとしても、中国を取り巻く状況が好転するわけでもありません。むしろ、仲裁裁判所の判断によって、中国の国際法違反の行為が明白になった場合、あるいは、頑として判断に従わない場合には、これらの3カ国もまた、無法国家を擁護する仲間として国際社会から批判される可能性もあります。
それにいたしましても、ブルネイ、カンボジア、ラオスの3カ国は、司法解決に訴えたフィリピンの勇気ある行動を、どのように考えているのでしょうか。1967年のバンコク宣言でも、2008年のASEAN憲章でも、法の支配に言及していますので、これらの三か国は、憲章違反を問われ可能性さえあります。ASEANを採るのか、中国を採るのか、そして、法が支配する文明を採るのか、弱肉強食の野蛮を採るのか。選択の時期は迫っていると思うのです。
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