万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本国が非核国であるための絶対条件

2016年04月15日 10時15分50秒 | 日本政治
 日本国を取り巻く核の脅威は、核・ミサイル開発に邁進する北朝鮮のみではありません。最大の脅威とも言えるのは、NPT体制にあって核保有が認められている中国に他なりません。

 広島平和記念公園におけるケリー米国務長官の献花を機に、再度、”核なき世界”へ向けての機運も高まりを見せつつあります。しかしながら、現状を鑑みますと、日本国が非核国であり続けるには、絶対条件があるのではないかと思うのです。日本国の核武装論については、”現実性もメリットもない”との否定的な見解も散見されますが、それは、主として北朝鮮の核の脅威を想定した場合に限られます。最大の脅威は合法的に保有されている中国の核にあるわけですから、この脅威が存在する限り、迂闊には核武装の選択肢を放棄することはできないのです。現状では、日本国は、日米同盟の下でアメリカの”核の傘”の下にあります。その一方で、中国が日本国に対して核の先制攻撃を行った場合、アメリカは、自国への核攻撃を覚悟してまで核兵器による反撃を行うのか、とする疑問もあります。イギリスやフランスが、北大西洋条約に下で同盟関係にありながら、アメリカの”核の傘”に全面的に依存せず、自ら核保有に踏み切った理由も、この懸念にあるとする説があります。このことから、日本国が核武装する必要性が生じない絶対条件とは、日本国が中国から核攻撃を受けた場合に、確実に中国に対して核の報復を実行する、もしくは、迎撃システムも含めて確実に中国の核兵器を無力化するというアメリカの確約、ということになります。日本国が最も恐れるシナリオとは、同盟国であるアメリカに梯子を外された形での、米中による実質的な日本国の切り捨てなのです。仮に、アメリカが、自国が中国から核攻撃されるリスクを冒してまで日本国に”核の傘”を提供する意思がないのであるならば、アメリカもまた、日本国の”二重核抑止”あるいは”保険をかける”という意味での核武装論に対して頭から反対はできないはずです。

 核保有国も等しく一つ残らず核兵器を放棄する”核なき世界”が実現すれば、日本国もまた、安心して非核国のままでいられます。核の全面的な廃絶のみならず、ミサイル防衛システムの長足の進歩により、核兵器の保有が無意味となる時代も訪れるかもしれません。しかしながら、それが実現するまでには、まだまだ長い年月を要するかもしれません。それまでの間は現実主義に徹し、目前の脅威に対してはタブーなき議論が必要なのではないかと思うのです。

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オバマ大統領の被爆地訪問-核廃絶か歴史的和解か慰霊か

2016年04月14日 15時15分04秒 | 国際政治
オバマ氏の広島訪問への障害は? 米国務長官が初の被爆地訪問
 オバマ大統領は、来月の伊勢志摩サミットへの出席を合わせて、被爆地広島の訪問を検討していることを明らかにしております。大統領の積極的な姿勢には、就任以来、”核のない世界”を強く訴えてきた政治信条が伺われます。ノーベル平和賞も、まさに核廃絶に向けたリーダーシップを期待しての受賞でした。

 一瞬にして住民もろともに都市を焼き尽くす核兵器の威力からしますと、”核のない世界”は誰もが望む理想であることには異論はありません。核兵器がこの世から消え去れば、人類は、核戦争による滅亡の恐怖からも解放されるのですから。広島訪問もまた、オバマ大統領にとりましては、核廃絶を訴える絶好の機会となることでしょう。しかしながら、その一方で、日本国の側からしますと、懸念材料がないわけではありません。何故ならば、トランプ候補の発言を発端として、核武装の議論が持ち上がっているからです。その背景には、北朝鮮による年初の”水爆実験”がありますが、北朝鮮に限らず、核保有国である中国も、核の先制使用をも辞さない構えを見せています。日本国を取り巻く核の脅威は年々深まっており、仮に、次期政権において米軍撤退ともなれば、軍事的空白を埋めるべく、日本国は、核武装を含めて様々な対応策を検討する必要があります。最近、トランプ候補も、発言を若干修正しているとも伝わりますが、この不安的な時期に、オバマ大統領が、日本国の核武装の可能性を完全に否定する方向で被爆地で演説を行いますと、日本国の核武装には断固反対する一方で、自らは核兵器を脅迫や攻撃兵器として使用したい中国や北朝鮮はほくそ笑むことになりましょう。

 現職のアメリカ大統領による被爆地訪問は、アメリカ世論の反発が懸念されるものの、日米間の歴史的和解の象徴ともなり、日本国側としてはその実現を心待ちにしています。また、核兵器の犠牲者に対する人道主義的立場からの慰霊であっても、誰もが、好意的に受け止めることでしょう。果たして、オバマ大統領は、広島訪問に際して、核廃絶、歴史的和解、そして、慰霊という3つの側面のうち、何れを強く打ち出すのでしょうが。訪問が決まったわけではないのですが、今から注目されるところなのです。

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広島・長崎の犠牲はアメリカ国民をも救った

2016年04月13日 15時05分40秒 | 国際政治
「オバマ広島訪問」は? 「可能性は十分」広島平和センター理事長
 オバマ大統領の広島訪問については、アメリカの国内世論による”謝罪外交批判”が懸念され、現状では五分五分の可能性なそうです。若年層には評価に若干の変化が見られるものの、戦後70年を経てなおも、広島と長崎への原爆投下については肯定的な意見が多数を占めるからです。

 それでは、アメリカ世論を説得する方法はあるのでしょうか。一つ、それがあるとしますと、大統領の訪問に先立って、”広島・長崎で払われた多大なる犠牲が、間接的にはアメリカ国民をも救った”とする認識がアメリカ国内に広がることです。第一に、仮に、米政府の公式見解通り、原爆投下の目的が、終戦の時期を早め、本土決戦におけるアメリカ軍兵士の犠牲を最小限に留めることにあったとしますと、被爆地の犠牲あってこそ、アメリカの若者達の命が救われたことになります。日本本土上陸作戦として計画されていたダウンフォール作戦では、連合国側の死傷者も、5万から27万人にも上ると予測されていたそうです。第二に、仮に、たとえ原爆投下は戦略的には必要がなかったとしても、被爆地の惨状が、核兵器の破壊力を全世界に知らしめたことは、その後の冷戦期において、核の抑止力が作用する環境を提供しました。キューバ危機では、核戦争の恐怖がソ連邦の譲歩を引き出しましたが、核の抑止力が第三次世界大戦の発生を防いだとしますと、被爆地の犠牲の下で、アメリカ国民は、他国から核攻撃を受けることなく平和な日常を享受したとも言えます。そして、後者の犠牲によってもたらされた平和への貢献は、全人類にも及んでいます。

 ”広島・長崎で失われた尊い命は、今日に至るまで、アメリカ国民を含め、多くの人々の命を救ってきた”、という認識が広がれば、アメリカ大統領による被爆地訪問も、アメリカ国民にも蟠りなく受け入れられるのではないでしょうか。

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オバマ大統領広島訪問の判断は如何に?

2016年04月12日 16時57分47秒 | 国際政治
原爆被害「非人間的な苦難」=G7外相、中国進出に懸念―サミットで対テロ行動計画
 昨日、広島で開催されていたG7外相会合のセレモニーとして、他の外相等と共にアメリカのケリー国務長官が、原爆の犠牲者を悼み、平和記念公園にて花輪を手向けてくださいました。原爆投下以来、初めての国務長官による歴史的訪問となりましたが、アメリカ大統領による広島訪問は未だに実現はしておりません。

 この件に関しては、来月に開催が予定されている伊勢志摩サミットに合わせて、オバマ大統領が広島を訪問する案も浮上しており、その行方が注目されるところです。長らく米大統領の被爆地訪問を待ち望んできた日本国内では、概ね歓迎一色となることが予想されます。また、先の大戦の恩讐を越えて、戦勝国であるアメリカの大統領が、原爆犠牲者の方々に対して心からの慰霊の気持ちを表わしてくださることは、人道的な見地からも高い評価を受けることでしょう。日米間に刺さっていた刺を抜くという意味でも、日米関係にもプラスに働くことが予測されるのですが、仮に問題があるとすれば、それは、アメリカの国内世論です。二期目も任期が残り僅かとなったオバマ大統領は、自らの再選を気にすることなく、比較的に大胆な行動をとれる時期にあります。”核廃絶”を訴えてきた大統領のことですから、自身は広島訪問を強く望んでいることでしょう。しかしながら、世論の反対を押し切ってまで踏み込みますと逆効果となる現象は、歴史においてはままに見られます。日本国民の多くは、たとえ謝罪の言葉がなくとも、大統領の被爆地訪問に70年間に亘って抱いてきた胸のつかえがとれ、真の友好の基礎が築かれたことを実感することでしょう。しかしながら、アメリカ国民の間に強い反発の感情が生じるとしますと、日米関係は、逆に悪化する可能性もないとは言い切れないのです。日本国民もまた、大統領の広島訪問に対してアメリカ国内で拒絶的な世論の反応が起きれば、いたく失望することでしょう。

 アメリカ国内では、若年層ほど原爆投下には否定的であるとする世論調査もあります。将来、何時かはアメリカ大統領が被爆地を訪問する時が訪れるのでしょうが、その歴史的瞬間は何時が相応しいのか、オバマ大統領も思案しているのではないかと思うのです。

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核兵器-残酷だから廃絶したい国と残酷だから保有したい国

2016年04月11日 15時32分27秒 | 国際政治
G7外相、広島平和公園で献花 核保有の米英仏現職で初
 昨日から広島市で始まったG7外相会合に合わせて、原爆の投下で犠牲になられた方々を悼み、7名の外相が広島平和公園で揃って献花をなさってくださいました。核兵器廃絶も同会合の重要なテーマの一つであり、広島市が開催地に選ばれたのも、核廃絶に向けたメッセージが込められているのでしょう。

 広島と長崎における被爆の惨状を知れば、誰もが、心が抉られるほどの衝撃を受けるものです。原爆ドームに焼付いた人の影も、閃光と共に一瞬の内に人々を消し去った原子爆弾の恐ろしさの無言の語りべなのです。唯一の被爆国である日本国は、自らが最初で最後の被爆国であることを願っていますし、原爆を投下したアメリカも、今日では、唯一の原爆使用国としての責任から核兵器の廃絶に積極的に取り組んでいます。おそらく、献花のセレモニーに参加したG7の外相の方々も、思いを同じくしていることでしょう。しかしながら、仮に、全ての諸国が、”核兵器は残酷だから廃絶すべき”と考えてるとすれば、核拡散問題は起きなかったはずです。現実には、北朝鮮のように、”核兵器は残酷だからこそ保有すべき”と考える国もあるのです。こうした国に対しては、核兵器の残酷性を訴えたところで、逆効果となりかねません。被爆の凄惨さを際立たせればせるほどに、’核を保有すれば、周辺諸国が怯えあがり、脅しの効果が上がる’と見なしますので、逆に、保有意欲を高めてしまうのです。この非人道的な悪しき動機による保有意欲は、テロリストもまた同じです。

 結局、核兵器の残酷性を戦略的に使いたい国が存在する限り、核保有国もまた、譬え”核なき世界”を望んでも、核の抑止力を考慮すれば自らの核兵器を一方的には廃絶できない状況が続きます。こうした現実を考えますと、まず取り組むべきは、無法国家から核を取り上げ、かつ、テロリストへの拡散を防止することであり、それが極めて困難であるならば、核武装の条件付き容認を含む、核の抑止力の強化で臨むしかないのではないかと思うのです。核廃絶への取り組みは、その手順を間違えますと、悪しき国々を利するだけとなるのではないでしょうか。

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日本国政府も「パナマ文書」調査開始は不可避―G20での議題化

2016年04月10日 15時27分11秒 | 日本政治
租税回避の対策、G20財務相会合で議論へ パナマ文書
 「パナマ文書」をめぐっては、各国の司法当局が早々に調査を開始し、租税回避行為の取締に向けて動き出しています。一方、日本国では、菅官房長官の当初の発言から、「パナマ文書」の調査はしない方針との見方が有力です。

 しかしながら、日本国政府も、「パナマ文書」の調査から逃れられない状況が発生しつつあります。それは、国際社会が、租税回避問題を国際レベルの問題として議題化する方針にあるからです。OECDでは、今月13日に各国の税務当局者による会合を開くことを決定し、14日にワシントンで開催されるG20の財務相・中央銀行総裁会議でも、この問題が取り上げられる予定なそうです。全世界に衝撃が走っただけに、来月に予定されている伊勢志摩サミットでも、「パナマ文書」問題は重要議題となるかもしれません。となりますと、日本国政府だけが「パナマ文書」を調査しない、というわけにはいかなくなるはずです。当文書の内容を知らなければ、議論に参加できるはずもありませんし、伊勢志摩サミットに至っては、重要な議題について議長国が”知らぬ存ぜぬ”では、他のメンバー国から無責任な議長国として謗りを受けることでしょう。あるいは、日本国政府には、「パナマ文書」を表沙汰にしたくない後ろめたい理由があるのではないか、と勘ぐられるかもしれません。

 「パナマ文書」の全容は5月初旬に明らかにされるそうですが、その際に如何なる不都合な事実が判明しようとも、日本国政府は、国際社会の一員として、租税回避問題に誠実に取り組むべきではないでしょうか。ここで後ろ向きな態度を見せますと、日本国の国際的な信頼そのものが失墜しかねないと思うのです。

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「パナマ文書」問題-企業の納税義務の確認を

2016年04月09日 15時15分56秒 | 国際政治
独政府、タックス・ヘイブン利用企業の税優遇撤廃検討=報道
 タックス・ヘイブン問題には、実のところ、全ての国の政府が頭を抱えているはずです。タックス・ヘブンが存在することで、徴収できたはずの税が、国境を越えて”天国”に逃避しまうのですから(*タックス・ヘイブンのヘイブンとは、heavenではなくはhavenであり、避難所の意味なそうです)。利用者以外の人々の目には、タックス・ヘイブンは、”天国”どころか、強欲な者達が身を隠している”悪の巣窟”のように映ります。

 「パナマ文書」には、幅広い問題が含まれていますが、特に企業によるタックッス・ヘイブンの利用については、まずは、企業の納税義務を確認しておく必要がありそうです。グローバル化の時代を迎えると、企業の活動範囲は世界大に広がり、本社さえ、他国に移動することが可能となりました。このため、グローバル企業とは、特定の国に属するのではなくグローバル市場の住人であり、それ故に、特定の国に対する納税義務もないとする風潮が強まったのです。しかしながら、政府と市場は、完全に分離しているのでしょうか。あるいは、企業は、全く政府に依存していないのでしょうか。実際には、企業は、許認可制度の下で国の保護と監督を受け、国内市場で手広くビジネスをし、経営が危なくなれば、政府から支援を受けることもあります。景気が悪化すれば、政府は、補助金や優遇税制の設置など、企業向けの対策も実施しています。政府から何らの恩恵を受けていないのであればいざ知らず、現実には、様々な面で支援を受けており、それが、企業が納税義務を果たす合理的な理由ともなるのです。脱税には至らない合法的な節税行為であっても、タックス・ヘイブンの利用には、”フリー・ライダー”のイメージが付き纏うのは、受益と負担との間にアンバランスな状況があるからです。

 ドイツでは、タックス・ヘイブンを利用した企業に対しては、税制上の優遇措置を撤廃する方向で検討しているそうです。タックス・ヘイブンの利用によって負担から逃れた分だけ、受益の部分も減らし、両者をバランスさせようというのでしょう。「パナマ文書」は、受益と負担をめぐる国と企業との関係をも問うているように思えるのです。

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パナマ文書が暴露する”独裁者は国民騙しの常習者”

2016年04月08日 10時04分02秒 | 国際政治
【パナマ文書の衝撃】中国の新旧指導者の親族らの名が 故毛沢東主席の孫の夫も 権威利用のビジネス風土
 共産党一党独裁体制を維持する中国は、厳格な情報統制を敷くことで体制を維持してきました。”情報を握る者こそ天下を握る”とばかりに。しかしながら、今度ばかりは情報に泣かされる結末を迎えるかもしれません。海外在住の中国人が増える中、外部からの情報流入を完全に遮断することは、至難の業であるからです。

 パナマ文書において驚かされることは、現習政権の指導者の関係者のみならず、”建国の父”とされた毛沢東主席の親族もリストにその名を連ねていることです。天安門広場には、今日なおも毛沢東氏の肖像画が掲げられていますが、中国国民は、この事実をどのように受け止めるのでしょうか。権力の頂点にあった時期に、一般の国民と同じく質素な人民服を着て国民の前に現れながら、毛主席が、実生活では贅を尽くした生活を送っていたことは、既に外部の世界では知れ渡っていました。こうした共産主義国家の欺瞞は、中国に限ったことではなく、ソ連邦をはじめ、社会・共産主義国の実態は、天文学的な”格差社会”であったのです。”国家のものは私のもの”となるのですから。そして、如何なる体制であれ、独裁者もまた然りです。マスメディアでは、現役の政治家やセレブ等に注目が集まっていますが、パナマ文書は過去数十年に亘る資料であり、その中には、リビアのカダフィ大佐、エジプトのムバラク元大統領、そして、かのシリアのアサド大統領の名が見えます。つまり、これらの独裁者もまた、国民を欺いて私腹を肥やしており、表の顔と裏の顔とでは大違いなのです。

 得てして独裁者というものは、演技力に秀でた国民騙しの常習者です。ソ連邦のスターリンもまた、自らを称して”私は、スターリンではなく、スターリンを演じただけだ”という意味深長な言葉を残しています。パナマの「モサック・フォンセカ」の他にも同様の法律会社はありますので、他の独裁者たちも、巨額の資産を海外に隠していたことでしょう。パナマ文書は、”暴露の書”であると共に、一般の国民に対して警戒を呼び掛ける”警告の書”でもあると思うのです。

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日本国もパナマ文書を調査すべき-情報の宝庫

2016年04月07日 15時20分02秒 | 国際政治
【パナマ文書の衝撃】米国にも波紋、テロ資金に関与か 司法当局が調査に着手 北・イラン制裁対象の33個人・企業も 
 アイスランドの首相を辞任追い込んだパナマ文書に対して、日本国政府は煮え切らない態度を示しており、欧米諸国との温度差は歴然としています。ネット上では、政府としては調査をしない方針との情報もありますが、パナマ文書には、積極的に調査すべき幾つかの理由があります。

 第一の理由は、当文書に名前の挙がった富裕層の人々については、脱税やマネーロンダリングの疑いがあるからです。早々に調査を開始したオーストラリアでは800人余りが調査対象とされておりますように、日本人についても、違法行為の疑いがないわけではありません。日本国は権力分立体制にありますので、政府が静観したとしても、警察や検察、あるいは、国税庁には、経済犯罪や脱税の容疑で調査を実施する公的な義務があります。第二の理由は、スパイや工作活動に関する情報の収集です。パナマには、中国等の海外に潜らせたスパイや工作員に対する報酬を支払うためのダミー会社が設立されていた疑いが指摘されています。アメリカでは、テロ資金との関与が取り沙汰されていますように、ダミー会社には北朝鮮関連のものもあり、核・ミサイル開発資金の入手ルートの解明に役立つ可能性もあります。リストには中国関係者の名が多数みられ、日本共産党も沈黙しているところを見ますと、怪しんで然るべきかもしれません。さらに、今後の消費税増税と法人税減税のバランスを考えるに際しての判断材料となるのが、第三の理由です。仮に、合法的とはいえ、日本企業の多くが、租税回避措置を採っているとしますと、節税で浮いた利益の使い道や納税比率なども、政府が知るべき財政上の重要な情報です。また、企業の租税回避を認めつつ、消費税増税を求めるとなりますと、国民の多くも納得しないことでしょう。少なくとも、パナマ文章は、政府が、企業の節税行動の実態を知る貴重な資料ともなるのです。そして、第4の理由は、日本国内のみならず、全世界の’見えざる動向’を一纏めの情報として入手できることです。仮に、パナマ文書を徹底的に分析することができれば、半世紀近くに亘る国際情勢の動きを裏から読み解くことできます。

パナマ文書ほど様々な分野の情報の詰まった情報の宝庫はありません。専門的な情報機関を持たない日本国は、情報分析能力に弱点があると指摘されてきましたが、そうであるからこそ、公開されたパナマ文書の徹底調査とその活用は、国際レベルに追い付く千載一遇のチャンスであると思うのです。

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アイスランド元首相が証明したパナマ文書の高い信憑性

2016年04月06日 15時20分52秒 | 国際政治
アイスランド首相が辞任=資産隠し批判抗し切れず―パナマ文書発覚後初の首脳退陣
 ”今世紀最大のリーク”との声も聞かれるパナマ文書。流出した膨大な資料の中には、プーチン大統領の側近や習近平主席の親族などの名が見られたことから、早速、パナマ文書捏造説が唱えられているそうです。

 しかしながら、この文書の信憑性は、相当に高いのではないかと推測されます。その理由は、辞任に追い込まれた元アイスランド首相のグンロイグソン氏の弁明の中にあります。野党側から不信任案を提出された氏は、”違法性を否定し「利益を得ていない」と抵抗した”とういのですから。この弁解からしますと、否定されているのは違法性と利益であり、パナマにダミー会社を設立し、数億円の資産を隠した事実は否定されてはおりません。たとえ合法であっても租税回避行為ですので、”利益はない”とは言い切れないのですが、この首相の苦しい言い訳は、少なくともパナマ文書の内容が概ね事実であることを物語っているのです。国民からは厳格に税を徴収しながら、首相自身は、国民の一人として果たすべき納税義務から逃れていたのですから、これでは示しがつきません。

 パナマ文書が本物としますと、ロシアや中国の要人に対する嫌疑も事実なのでしょうし、事実であるからこそ、習主席は、慌てて情報統制を敷いたのでしょう。汚職腐敗キャンペーンの旗振り役でもあったのですから。パナマ文書には、140人もの政治家の名が挙がっているそうですが、このリーク事件の破壊的な影響が、アイスランドのみに留まるとは思えないのです。

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消費税増税見直しこそ最大の景気対策では

2016年04月05日 15時10分21秒 | 国際経済
消費増税「予定通り」発言相次ぐ=自民参院選懸念、公明も警戒
 来年4月に予定されている10%の消費税率上げついては、各社の世論調査によりますと、65%程の国民が引き上げに反対しているそうです。その一方で、政治サイドでは、予定通りの引き上げを望む発言も強く、先行きは不透明です。

 予定通りの消費税上げを主張する根拠としては、”アベノミクスの失敗とみなされる”、あるいは、公約の不履行による支持率の低下、すなわち、”今夏の参院選への懸念”などを挙げているようです。しかしながら、消費税増税については、民主党政権時代に野田元首相が”国際公約”として海外で発表した経緯があり、アベノミクスとは直接的な繋がりはありません。さらに、世論調査では凡そ65%が反対しているのですから、増税を見送った方がよほど支持率がアップすると考える方が常識的です。

 こうした疑問点に加えて、政府の政策方針も”ちぐはぐ”です。消費税上げは、財政健全化を実現し、日本国の国際的な信用を確かにするため、と説明されていますが、その一方で、財政の”ばらまき体質”はそのままであり、改善を期待されるような政策は一向に示されておりません。財政健全化より景気対策を優先するならば、増税の見直しの方が、よほど経済全体に好影響を与えます。全国民の可処分所得の減少を、同時に防ぐことができるのですから。企業にも賃金上げを求めてきたわですから、政府もまた、国民の消費を下支えすべきです。消費が増えないことには、企業収益も改善するはずもありません。

 財政出動を容認しながら増税を目指すのでは、政府は、増税によって歳入を拡大させ、好き勝手に使うのではないか、あるいは、財政赤字の拡大と景気減速が同時に進行する最悪のシナリオになるのではないか、とする疑念を、国民の多くに持たれることになるのではないでしょうか。

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”神の見えざる手”は不景気には”悪魔の見えざる手”に?

2016年04月04日 15時23分30秒 | 国際経済
 ”神の見えざる手”とは、18世紀イギリスの経済学者アダム・スミスが、『国富論』において自由主義経済に内蔵する自律的経済発展のメカニズムの本質を言い表わした言葉です。個々人の経済的利益の追求は、誰が導くでもなく、国を繁栄させ、国民生活を豊かにすると…。

 スミス流の考え方は、景気が上昇傾向にある場合やフロンティアが広く開かれている場合の経済成長をよく説明します。実際に、アメリカをはじめ、スミス理論の通りに経済発展を遂げた国も珍しくありません。また、ソ連邦の崩壊は、政府による経済統制を是とする社会・共産主義の誤りを証明することにもなりました。誰もが、自由主義経済の優位を確信した瞬間となったわけですが、その一方で、勝者となった自由主義経済にも積み残した課題がないわけではありません。その一つは、不景気には、”神の見えざる手”が”悪魔の見えざる手”に反転してしまうという忌々しき問題です。

 社会・共産主義では、経済の統制権を握る政府こそが、”悪魔の見えざる手”ならぬ、”悪魔の見える手”であり、経済停滞の原因は明白です。一方、自由主義経済では、誰に責任があるでもなく、マイナス心理が蔓延し、まさに市場において”悪魔の見えざる手”が働いているかの如くなのです。乃ち、不景気になりますと、誰もが守りに入り、賃金の低下、消費の低迷、投資の縮小、生産の減少、デフレ、失業…というように、負のスパイラルに陥ります。全ての人々の心理が負の方向に流れている状態では、悪循環から抜け出すことは至難の業となるのです。今日では、この問題を解決するために、政府は、財政や金融等の政策手段を総動員して景気刺激策を実施しています。しかしながら、その政策が、景気浮上に効果を発揮する”神の見える手”となればよいのでしょうが、政府の政策が悪手であれば、それこそ、今度は、”悪魔の見える手”に運命を委ねることにもなりかねません。

 自由主義経済とは、連鎖的メカニズムに依存しているわけですから、政府が、政治的配慮からその一部だけに支援を実施しても、メカニズム全体がプラス成長に向けて動き出さなければ真の景気回復とはなり得ません。このように考えますと、政府を含め、企業から消費者に至るまで、経済活動に参加する全ての人々がそのメカニズムを理解し、”悪魔の見えざる手”、並びに、”悪魔の見える手”の出現を封じることこそ、肝要ではないかと思うのです。

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中韓が青ざめる「ハンムラビ法典」の第1条

2016年04月03日 13時15分25秒 | 国際政治
 「ハンムラビ法典」と言えば、”目には目を、歯には歯を”の同害報復を定めた古代バビロニア王国の法典として知られています。しかしながら、教科書に載るほどに有名な割には、その第一条の条文については、案外、知られていないかもしれません。

 それでは、「ハンムラビ法典」の第1条には何が書いてあるのか、と申しますと、「もし、ある人が、他の人を殺人罪で告訴したにも拘わらず、その証拠を示すことができなければ、その告訴した人が殺害されるべし」というものです。つまり、殺人罪で誣告した者の死刑を定めているのです。この条文は、”殺人は死刑”という掟を前提としており、このため、無実の人に対して「殺人を犯した」とする虚偽の告訴、すなわち、誣告は、死刑執行による間接的な”殺人”を意味します。今日の価値観からしますと、”誣告罪、あるいは、殺人未遂罪での死刑とは厳罰過ぎる”ということになるのでしょうが、古代にあっては、証拠もなく告訴だけで他者を殺人犯に仕立て上げる誣告は、法典の第1条に掲げ、死刑を以ってしても厳重に禁じるべき罪であったのでしょう。

 誣告の禁止については「十戒」にも見えますので、人類共通の罪と言えそうです。こうした誣告の罪深さを考えますと、今日の中国や韓国等は、自らの行為を反省すべきとも言えます。本日も、産経新聞の一面に、昨年の世界記憶遺産の登録に際して、韓国の民間団体が、朝鮮半島での徴用とは全く無関係の日本人の写真を、あたかも”朝鮮人強制労働”の証拠の如くに掲載したパンフレットを配っていた、とする記事が掲載されておりました。こうした事例は枚挙に遑がなく、”南京大虐殺30万人説”にせよ、”朝鮮女性強制連行20万人説”にせよ、これまでのところ、事実を証明する証拠は全く提示されておりません。

 中国も韓国も、”日本国を誣告をしても、自らが罰せられるはずはない”と安易に構えているのでしょうが、誣告罪は、たとえ現行の国際法に明確な規定はないとしても、法の一般原則として成り立つ可能性もあります。普遍的な犯罪性の明示という意味において、「ハンムラビ法典」の第1条は、今日なおも、誣告をする人々を震え上がらせることでしょう。

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HIV休職指示違法確定-勤務先への感染通知義務と職業制限は必要では?

2016年04月02日 15時01分34秒 | 社会
HIV休職指示、違法確定=勤務病院に賠償命令―最高裁
 先日、最高裁判所において、HIV(エイズ・ウィルス)に感染した看護士を病院側が解雇するのは違法とする判決が確定されました。しかしながら、感染者の職業が看護師なだけに、公衆衛生上、この判決には疑問が残ります。

 同訴訟では、病院側が感染の事実を他の病院での検査で知ったことから、その情報入手経路も問題視されておりました。”感染は他人には知られたくない情報”とし、病院側の賠償責任を認めています。その一方で、アメリカでは、俳優のチャーリー・シーン氏をめぐり、5人の女性がエイズ感染の事実を隠していたとして、訴訟を検討していると報じられています。今般、最高裁は、勤務先への感染の通知義務はないと判断しておりますが、エイズは、感染によって他者の命を奪う可能性があるだけに、勤務先に感染情報を伝えなくても構わないのか、疑問なところです。感染者を偏見から護るために、多くの人々の命が危険に晒される状態は、負の連鎖としか言いようがありません。シーン氏のケースにも、事実を正直に伝えていれば、この5人の女性達は発病の恐怖に怯える必要はなかったでしょうし、偏見に晒されることもなかったことでしょう。しかも看護師となりますと、皮膚に傷がある患者とも接触する機会も多く、感染の確率は高まります。仮に、勤務先の病院で、エイズ・ウィルスの院内感染が発生した場合、当然に、当該看護師は、感染情報の病院側への通知を怠ったとして告訴され、訴訟に発展する事態も予測されますし、病院側も、当該看護師のエイズ感染の事実を把握する努力を怠ったとして、管理責任を問われることでしょう。”本人が知られたくない情報は隠して良い”という態度では、エイズのみならず、あらゆる感染症は、拡散を防止できないはずです。

 最高裁は、”配置転換もできたはず”として病院側の非を認めていますが、それは、たまたま別経路で看護師の感染を知ったからであり、情報を入手していなければ、当該看護師を、普段通りに患者に直接に接っする業務に就かせていたことでしょう。ところが、厚労省のガイドラインでは、”HIV感染は解雇の理由にならないと明記”し、”感染リスクの高い医療従事者でも基本的に変わらない”とされているそうなのです。厚労省には、国民の健康を守る責務があるのですから、感染者には勤務先への感染情報の通知を義務付けると共に、医療分野など、不特定多数の人々と直接に接触する職業への従事には法的な制限を設けるべきなのではないでしょうか。

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トランプ発言が問う第二次世界大戦の意義

2016年04月01日 15時21分02秒 | 国際政治
トランプ氏「在日米軍撤退も」=安保改定、日本の核保有容認―米大統領選
 アメリカ大統領選挙の結果次第では、半世紀以上に亘って戦後の安全保障を支えてきた日米同盟体制の見直しをも迫られる展開となりそうです。そして、トランプ大統領の誕生が戦後レジームの転機となると予測されるのは、仮に氏の発言が文字通りに政策化されますと、第二次世界大戦の結果がもたらした国際体制が根底から覆されるからです。

 1941年8月14日、太平洋の洋上で米英首脳によって発さられた英米共同宣言は、「大西洋宣言」の名でも知られておりますが、この宣言は、先の大戦に連合国側が勝利した場合の戦後構想を明らかにしたものです。そして、東西冷戦の発生に直面しつつも、戦後の国際秩序は、凡そこの宣言通りに構築され、曲がりなりにも今日に至っております。

 同宣言は、1.領土不拡大方針、2.国民の自由な表明に基づく領土変更、3.民主的政体の選択、4.自由貿易主義、5.国際経済協力、6.全人類的平和の確立、7.航行の自由の実現、8.恒久的な一般的安全保障の制度の確立の8つの基本方針から構成されます。これらの高邁な理想は連合国諸国の共通目的となり、いわば、連合国側で共有された世界大戦の大義とされたのです。ところが、仮に、トランプ大統領が、中国の米中二分論を認める形でアジアから米軍を撤退させるとしますと、大西洋宣言の方針は、全ての消え去ります。中国が、相手国を無視して領土を拡張し、共産主義体制を押し付け、”中華経済圏”としてアジア市場を囲い込み、朝貢を復活させ、周辺諸国を軍事力で脅し、航行の自由を阻害し、そして、国連をも崩壊させかねないのですから。第二次世界大戦において両陣営が払った甚大なる犠牲を考えますと、戦後の国際体制の崩壊は、その犠牲を無にするかもしれません。日本国の東条首相も、1943年11月6日に発表された「大東亜共同宣言」を作成するに際して「大西洋憲章」を参考にしたとされるぐらいですから、偽善的プロパガンとの批判がありつつも、同憲章には、敵陣営も認めざるを得ない人類普遍の理想が込められていたとも考えられます。

 枢軸国側の諸国がすんなりと戦後の国際社会に復帰し得たのも、連合国側が掲げた価値に異議がなかったからかもしれません。むしろ戦後は、東側陣営を形成した共産主義諸国の方が、価値観において「大西洋憲章」の方針と鋭く対立しました。しかしながら、遂に今日、その”西側陣営”の盟主であったアメリカまでもがこれを放棄し、力の支配を容認してしまうとなりますと、一体、何のために第二次世界大戦は戦われたか、頭を抱えざるを得なくなるのです。

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