病は気から、ネットから
10月21日。木曜日。湿っぽそうな曇り空。とうとう仕事が半徹夜での突貫作業になってしまって、2日連続で就寝は午前5時半。まあ、普通の時間に起きるわけじゃないし、寝付くまで2時間近くかかるのもめずらしいことじゃないから、大して違いはないと強がってはいるけど、1日は良くても、2日となると、やっぱりちょっと眠いなあ。
今日はカレシが腎臓と膀胱の超音波検査を受けに行く日で、これがここんところ精神的に揺ていた根本的原因なんだけど、ワタシが納品前の最後の仕上げをしている間に、ついでに血液検査(PSA)もして来ると、別のラボへ出かけていった。気になるのはわかるけど、どんな結果が出るかわからないから怖いといっても、検査をしなければ重大な見逃しにつながる危険があるし、検査はしてみなければどんな結果がでるかはわからないのに、なんだか妙なヘンなところで総すくみになっている感じ。それでも、血液検査はサンプルを採取するだけなので、今日は空いていたと言ってすぐに戻って来た。
超音波検査の予約は午後4時半なので、まあ、無事に大仕事を納品したことでもあるし、一緒に出かけて、カレシが検査をしている間に近くのWhole Foodsで買い物をして、終わったら近くで何か食べて帰ってこようということになった。卵巣膿腫ができたときに何度もやって勝手知った手前、「すぐに済むし、頼めば画像を見せてくれるよ」と言っても、カレシはまだ何となく不安そうな顔。レントゲン以外の機械を使った検査は生まれて始めてのことだからしょうがないか。地価駐車場で3時間(その上は12時間)分の料金を払って、カレシは地上へ、ワタシはWhole
Foodsへ。入り口あたりにハロウィンが近いから大小とりどりのかぼちゃをどかんと積んである。
いつものようにお気に入りのグラノーラを袋にいっぱい。どうも日本のカブに似てる白カブがあったのでモノは試しに4個。大きなゴールデンピーツを2個。単体では売っていないグルメきのこのミックスのパックがあったのでこれもお試し。アラスカ産の巨大なえびを4尾(これで300グラム)。オヒョウとスズキは切り分けてもらって、ついでに大きなアヒ。ツナとマヒマヒの冷凍バーガーはランチ用。うん、今日は大漁だぞ~。好奇心で買ったもの: トマトのチャツネ、大豆の粉、コームハニー(蜂の巣入りのはちみつ)。おまけは『Vancouver Cooks』という本。バンクーバーのトップクラスのシェフで作っているNPOがあって、シェフの卵に奨学金を出したり、学校での食育にひと役買ったり、地産地消運動の旗振りをしたりしているんだけど、この本は会員の各シェフの得意レシピを集めて出版した料理本の2冊目。こういう料理本は写真を見ているだけで楽しい。
カレシの検査が予想通りさっさと終わったので、Whole Foodsをチェックアウトして、荷物を車のトランクに入れて、上にあるレストラン(Milestones)へ。なんかファミレスレベルから少しアップしたような感じだけど、とりあえず地ビールで乾杯して、カレシは海鮮サラダ、ワタシは海鮮パスタ。そこで検査の話を聞いてみたら、腎臓は何もなかったけど、膀胱のあたりで何か引っかかるものがあってドクターと相談していたとか。ふむ、前立腺かな、やっぱり。だけど、人間の体は人体模型のようにきれいに一律な形にはできていないから、いびつなだけかもしれないよ。超音波はソナーみたいなもので、MRIのようにきれいな「画像」はできないからねえ。ここで、カレシが超音波検査の画像を見たことがないとわかってびっくり。(帰ってきてぼんやりした胎児の画像の写真がある本を引っ張り出して見せたら、「写真みたいなものかと思ってた」と。画面を見せてもらいなさいよと言ったんだけどなあ・・・。)
家に帰ってきてからのカレシは、どうやら前立腺に関する情報をググりまくっていたらしい。基礎的な情報は知っておいた方がいいと思うけど、カレシのように何でも気にして不安になってしまう人にとっては、玉石混交の情報過多になるとかえって不安が高まってストレスがたまるんじゃないのかな。勝手に自己診断してくよくよする人もいるし、「病膏肓に入る」というのか、存在しない病巣まで見えたり、ありえない症状が出てくる人もいるしね。しまいには「やっぱり自分は病気だったんだ」と思って逆に安心するような人もいるらしいから、人間の心理って複雑怪奇だなあ。次に予定されている内視鏡検査は1ヵ月先だけど、う~ん、病は気からというし・・・。
大きなエビを買ってみたら
10月22日。金曜日。2人ともひたすら良く寝て、目が覚めたら午後12時半。まあまあの天気。起きるのが遅すぎたので、予定していたベーコンと卵の朝食はあしたに持ち越しということにして、いつも通りのシリアルで済ませる。今日は丸一日「休みモード」だと決め込んで張り切ったものの、家庭の事務がけっこうあれこれたまっていて、午後は結局そっちの処理で暮れてしまった。もっとも、家のことは仕事とは別もので、元から休みもへったくれもないんだけど、それでも、あ~あ。
知らない人から突然こっちの翻訳市場の状況を問い合わせるメールがあった。長いこと日本に住んでいて最近戻って来たそうだけど、どうやら大学を卒業して、そのままバブルの余韻がまだ覚めやらぬ日本へ直行して、(ご多分に漏れず)英会話教師になってそのまま日本に長居した手合いらしい。ときどき同じような問い合わせメールが来るんだけど、みんな大学を出てすぐに社会人経験もせずに日本へ直行して、おおかたは英会話の先生になって、そのうちに「帰るに帰れぬ事情」ができたりして、10年、15年と日本に長居した男たち。まあ、この人はその中でも翻訳者としての能力はあるようだけど、とっくにカナダに帰国しているんだったら、母語が通じるところなんだから、地元の市場調査くらい自分できるだろうになあ。そんな教えてちゃんじゃあ、商売としてやってけないってば。
一日の始まりが遅いと、ちょこちょこっと事務処理をしただけでもうトレッドミルの時間。きのうは運動が「休みの日」だったから、今日はサボれない。こういうのは週に1日だけなら体を休める日としてサボる方がかえっていいこともあるんだけど、「今日も、ま、いいか」と2日連続でサボるとそのまま元の日課に戻れなくなる可能性が出てくるから要注意。でも、カレシは4時になるかならないかでさっさとしたくを始めたからエライ。と思ったら、急に外へ出て行ってしまって、今度はびっくり。両手にiPodと携帯を握り締めて戻って来て、「いつものようにiPodに曲を落とそうとしたら、肝心のキカイがない。きのう持って出かけて置き忘れてきた!とパニックになりかけたけど、思考停止の一歩寸前で、もしかして車の中に置き忘れたかもしれないと思って、ガレージに調べに行ったんだよ」と。うん、思考停止にならずに結論まで行ったのはエライけど、はあ・・・。
汗を流した後は、きのう買ってきた4尾の巨大なエビをどうするか。頭を取ってあるけど、それでも尻尾の先までゆうに15センチはある。しかも、よく見たらどれもおなかに赤い小さな卵がざくざくとついている。子持ちエビなんて初めて見た。このエビはspotted prawnといって、最近はローカルの食材として注目されている。北はアラスカから南はモンテレー湾のあたりまでの北米西岸が漁場で、殻に白い点があるから「スポットエビ」と呼ばれ、日本でボタンエビと呼んでいる種類と近いらしい。そこまでわかったところで、この卵、殻と一緒に外したのはいいけど、はてどうしたものか。
身の方をライムとしょうがと唐辛子でマリネートして(エビの鋭い尻尾でむくときに指を傷つけて、しょうががしみて痛いこと、痛いこと・・・。)、タルタル風にするビンナガを包丁で叩いて挽き肉風にして、赤唐辛子、にんにく、ネギ、しょうがを細かく刻んで、ごま油と醤油で和えて・・・とやっているうちに思いついたのが、バタフライにした身に載せて焼いてしまうという手。イクラやとびこの経験では火を通すと白くなるから、ひっくり返さずに片方だけから焼くことにして、丸まってしまわないようにホイルをかぶせて、鍋の底を重しにしてバター焼きにしたら、それまでやや黒ずんでいた卵の色がみごとな赤に変わったから、またまたびっくり。
[写真] シリコーンのマフィン型の底に炒った白ごまを敷いて詰めたビンナガのタルタルをお皿に伏せて型を外したら、頭にゴマを載せた「何となくプリン風」。カレシが菜園から収穫してきた今年最後のインゲン豆を軽く蒸して添えたら、初めて見た子持ちエビにびっくり仰天しての思いつき料理にしては、今夜の夕食はけっこう「ごちそう風」・・・。
だけど、エビの卵は次の世代のエビなんだよね。生まれて、大きなエビに育って、やがては食材として食卓にのぼるはずなんだけど、それを待たずに食べてしまっていいのかなあ。もちろん、おいしかったんだけど・・・。
学校に何か異変が起きている?
10月23日。土曜日。起床はまた正午を過ぎた。何となくバテているのかなあ、私たち。だけど、今日こそはベーコンとポテトと卵で朝食だぞ!という意気込みで、ダラダラせずにパッと起きた。だって、ワタシは腹ペコ熊の状態。やたらとおなかが空くのは2日連続の長丁場でちょっと寝不足になったせいだろうな。半徹夜だから どうにもならない空腹感ではないけど、胃袋に「食べようよ~」とせっつかれている感じがする。完全に徹夜したときなどはふつうの食事をして30分も経たないうちにおなかが空くから困る。空腹感というよりも飢餓に近いような感じで、きっt太古の昔にプログラミングされた「飢饉対策遺伝子」が起動したんだろうな。睡眠不足は太る原因になるというのはほんとうだと思う。
というわけでベーコンポテトと目玉焼きの朝ごはんをしっかりと食べて、まずは短い仕事をちゃっちゃと片付けたら、あとはのんびり。今夜は大風と大雨の予報だから、よけいにのんびり気分になる。まず新聞。ガイトナーがアメリカは強いドルの政策を支持すると言ったそうな。ふむ、米ドルのレート、上がるかな?と、欲に駆られてまた米ドル口座にまとまった資金を移動。おいおい、山っ気を出しちゃっていいのかなあ。ま、どっちに振れるか、週が明けてのお楽しみ・・・。
東京の小学校で先生が授業の終わりにとんでもないクイズを出したというニュース。なんでも、「3人姉妹の長女が自殺し、次女はその葬式に来た男性を好きになった。再会するにはどうすればいいか」という質問で、正解は「妹を殺せば葬式で会える」なんだそうな。小学校3年生に出せるようなクイズかいな、それ。この女教師は23歳だそうで、子供たちがせがむものでつい「大学時代に友人と楽しんだクイズ」を出してしまったんだとか。へえ、大学卒って、高校しか出ていない人には近寄ることもできないくらいの高学歴なんじゃなかったのかなあ。そっか、高学歴の女性ってそういうきわどいクイズが楽しいんだ。葬式で男を好きになって、また葬式を出せば会えるなんて、八百屋のお七の現代版のつもりかいな。(たぶん八百屋のお七の話なんて学歴が高すぎてご存じないだろうけど。)女子大生気分が抜けなくて、仕事と遊びの区別もつかないおネエちゃんに子供の将来を託していいものか、親だったら悩んでしまうなあ。
どこかの高校では、中間試験に校長や同僚教師の実名を使って「誰が校長を殺したか」なんて推理小説もどきの質問を出した男性教師がいて、この教師も20代だそうな。出題した本人は「オレってクリエイティブ~」なんて悦に入ってたかもしれないけど、やっぱり「何が適切か」という判断ができない世代なんだろうな。深く考えずにやってしまうところは反射神経が命のゲーム世代だからか、それともテレビに溢れるえげつないお笑い番組の見過ぎか・・・。小学生に「18人の子供を1日3人ずつ殺したら、全部殺すのに何日かかるか」なんてとんでもない質問を出した教師がいたのはついこの間だったと思うけど、教師が盗撮だの児童買春だので逮捕されたというニュースが毎日のようにあるし、相当にかなり芯の方まで腐って来てるんじゃなかろうか。
読売新聞が読書について世論調査をしたら、52%の回答者が1ヵ月の間に1冊も本を読まなかったと答えたそうで、「本」の中にマンガが含まれるのかどうか知らないけど、理由は半数近くが「時間がない」。携帯をいじるのをちょっとやめてみたら、1ヵ月で小説の1冊くらい読める時間ができるんじゃないかと思うけど、常にメールをやりとりして人とつるんで(いる気持になって)いないとさびしくてしかたがない人も多いらしいから、ひとり静かに読書に耽るなんて孤独なことは苦手なのかもしれないな。やっぱり何かがおかしいような感じがするけど、おかしいとは思っても実際にその社会の中で暮らしていないから、「何」あるいは「どこ」がおかしいのかまではわからない。実際に日常生活を送っている人たちは「何かがおかしい」と感じているんだろうか。熱いお風呂だってどっぷり浸かっているとあんがいどれだけ熱いのかわからないってこともあるから・・・ま、よけいなお世話なんだけど。
嵐の秋空に秋刀魚の香り
10月24日。日曜日。予報の通りに雨と風。起きてみたら、家の周りは落ち葉のじゅうたん。ずっと最低気温が平年より高めで、未だに緑のままだった前庭の隅のカエデがひと晩のうちに紅葉を始めていたからびっくり。フウの木も目が覚めるような赤。花ずおうは鮮やかな黄色。あっという間に秋の景色になってしまった。秋の空と夜叉の心・・・かな?
朝食が終わる頃には雨がやんで、ちょっと雲の切れそうなケイ肺だったけど、またすぐに雨。気象衛星の写真を見たら渦巻き雲があって、長期予報は来週の日曜日までほぼずっと雨傘マーク。典型的なバンクーバーの雨のシーズンだけど、ハロウィンが雨だとけっこう静かでいいな。いつもだったらハロウィンの2週間近く前から、待ちきれないガキン子どもが夜になるとあちこちで爆竹を鳴らしていたし、ときにはヒュルヒュル~と花火を打ち上げる音もしていたんだけど、今年から花火を上げるのに許可がいるようになったとかで、許可証がないと買えないのか、1週間前だというのに爆竹の音が聞こえない。火のついた爆竹を庭の中に投げ込まれたことがあったし、花火から火事になることもあってけっこう危険だから、許可制はいいことだと思うな。(大赤字の市役所も発行手数料が入るだろうしね。)
結局また外は嵐もようになって、買い物に行く気がしなくなったもので、まずは、あて先だけ入力して草稿箱に入れてあった3本のメールを書いて、送信。これで1時間近く。午後の時間は過ぎるのは早い。そういえば、もうひとつ小さい仕事があったんだっけ~と思いつつ、長いこと放り出してあったカレシのスエットパンツのボタン付け。この頃はなぜかコンタクトだけで、老眼鏡を使わなくても針穴に糸を通せるから不思議。この商売を始めた頃は仕事で使う辞書の小さい文字を見るのにコンタクト+老眼鏡+虫眼鏡という視力だったのが、まず虫眼鏡がいらなくなって、そのうちに老眼鏡がいらなくなって、今ではちょっと照明が暗いときや調子が悪くて少し視力が落ちたときだけ虫眼鏡を使う程度になった。おかげで家中に配備してある老眼鏡はほこりをかぶりっ放し。角膜がでこぼこでかなりの乱視、ついでに遠視と近視も同居していて、裸眼の視力は0.1を切っていたのに、どうなってるんだろう。(弱視の家系でひとりだけ目が良かったカレシは、今ではどこへ行くにも老眼鏡が必携品・・・。)
小さい仕事をぼちぼち始めたところで、トレッドミルの時間。時速7キロちょっとのペースで走ること15分。この頃は走った直後の脈拍があまり上がらなくなって来た。せいぜい140くらいまで上がって、すす~っと120以下に下がる。けっこうゆるいペースだから、体が慣れて、心臓がバクバクと働かなくても良くなってしまったんだろうな。ということは、あまり運動にはなってないってことかな。そのうち走時間を20分に延長するか、スピードを上げるか。60歳になる頃に走っていた時速10キロに戻れるかなあ。もし戻れたら、65歳シニアシチズンの地位達成の記念に10キロマラソンに出ようかな。前回の出場は55歳の誕生日祝いで、65分5秒で余裕で完走したけど、10年後の65歳に10キロマラソンを65分・・・う~ん、できすぎてるし、早起きするのは嫌だから、やめとこ・・・。
運動が終わったらもう夕食の時間。今日のメニューはさんま。冷凍の尾頭付き。魚の目を見るのがきらいなカレシのために、まず頭を取って、はらわたを取って、開きにする。そのまま焼くとおいしいんだけど、煙探知機がうるさいもので、開いたのをオーブンの上火のブロイラーで焼く。大根おろしを絞らずに醤油を混ぜたものを載せて、ちょっと火を通して、刻みねぎをパラパラ。メニューを書くとしたら、「さんまのグリル、大根おろしソース」ってところかな。まあ、それでも間違いなくさんまの味がした。
外はまだ嵐もようの雨。さて、仕事を終わらせてしまおうっと・・・。
いつもながら乱視の政治アニマル
10月25日。月曜日。朝方(かな?)、階段の上にあるスカイライトに叩きつける雨の音でふっと目が覚めた。ちょっと降りすぎじゃないの~とおぼろに頭の中でどこへともなく愚痴りながらまた眠ってしまったけど、正午ぎりぎり前に起きてみたら、まだ降っていた。風もまだある。この嵐もよう、飽きもせずによく続くなあ。テレビをつけたら、今夜も大雨の予報。メトロバンクーバーでは火曜の朝までに50ミリの予想で、大雨注意報発令中。「50ミリってどのくらい?」とカレシ。だいたい2インチ。「うは~」とカレシ。日本の台風が来るあたりじゃそんなの「小雨」だと思うよ。集中豪雨なんてのは1時間でそれ以上降っちゃうんだから。だけど、いつかはバンクーバーの冬の雨も、気候変動の影響で「しとしと、びちゃびちゃ」から「降れば豪雨か豪雪」ってことになるかもしれないな。
このところテレビのニュースは、アメリカの俳優のランディ・クウェイドと奥さんが、カリフォルニア州で逮捕状が出ているということでバンクーバー市内で逮捕されたら、難民申請をしたという話で持ちきり。何でも、カリフォルニアにはセレブ殺しの集団みたいなのがいて、送還されたら殺される危険があるという理由らしい。はあ?ドラッグをやりすぎておかしくなってるんじゃないかと思うけど、こんな人でも「難民申請」を受理して、受け入れる根拠があるかどうかを審理しなければならないのがカナダの難民受入れ制度。申請者ひとりあたり5万ドルの費用がかかるそうで、これはカナダ国民が働いて納めた税金。つい何週間か前にはスリランカのタミル人が大勢ぼろ船でやって来て難民申請中だけど、結論が出るまで生活保護をもらえて、医療や子供の教育のめんどうも見てもらえて、こんなおいしい話はないよなあ。まあ、ハリウッドのスターとなれば生活保護は不要だろうけど、申請が通るかどうかわかるまでに2年から4年かかりそうだとか。難民に関する法律を変えてもらわなくちゃなあ。そういえば、オリンピック中に難民申請した2人の日本人、その後どうしているんだろう。カナダ生活、楽しんでるかなあ。
フランスでは定年を2年延長することに猛反対する労働者がストに次ぐスト、デモに次ぐデモで、国の経済活動はマヒ状態らしい。経済的損失はすごい金額になっているらしいけど、このままだとフランス経済は破綻してしまって、定年になっても政府に年金を払う財源がなくなっているかもしれないよ。金の卵を生むガチョウの首を絞めるようなもんじゃないのかなあ。延長と言ったって、60歳から62歳と、たったの2年。北米なんかとっくの昔から65歳だってのに。世論調査をすれば、65歳を過ぎても働き続けるという人が多いのに。だから労働法から「定年になっ
て退職する義務を撤廃したのに。日本なんか定年の延長を義務付けないままで年金の受給開始年令を5年も延ばしたと言うのに。フランス人にしたら「それが何か?」ってことなんだろうけど、法案はすでに上院で可決されたと言うから、どうするんだろうな。
中国では内陸の地方都市を中心に反日デモが相次いでいるとか。政権内での交代があったみたいだし、ノーベル平和賞の問題もあるし、もっともっと大きな国内問題も山ほどあるそうだし、中国政府も大変だな。ノーベル平和賞に服役中の人権活動家を選んだのは、尖閣列島をめぐる事件以来、最近なにかと金力と腕力を見せびらかす中国をノルウェイが煽ったようなところもあると思う。政治犯にノーベル賞を授与したら中国政府はどう出るか?中国の反応を見ていると、乗せられたなという感じもしたけど、たまっている民衆の不満のガス抜きをするには日本を利用するのが手っ取り早いということかな。でも、経済格差や政府や党幹部の汚職などの身近な不満がふつふつと漏れ出しているとか。世界史を見ても、市民革命が起こるのは生活や教育の水準があるレベルに達してからだそうだけど、中国では経済発展で不満がたまりやすい状況だろうし、ガス抜きした毒ガスが逆流してこないとも限らない。うまく舵取りするつもりでも、中国式ぬらりくらり戦術は政府も人民も同様に長けていて、骨があるからなあ。
今日は東のオンタリオ州各地で地方選挙。注目の的はカナダ最大の都市トロント。党派制度になっていないので市長候補はみんな「無所属」。その中で、歯に衣を着せない発言で有名なロブ・フォードという市会議員が立候補して、なんでもかんでも「トロントでなければカナダにあらず」みたいな鼻持ちならないトロントニアンたちを沸かせていた。メタボの体にふてくさった顔つきはおつむの鈍いフットボール選手のようで、カナダ最大の都市の市長と言う風格はゼロ。だけど、税金の無駄遣いを徹底的に斬りまくって、不在者投票の投票率が前回より80%も跳ね上がったというからすごい。投票日の今日は投票所に有権者の長蛇の列で、投票が終了して即刻始まった開票からわずか8分(!)で「当選」が発表されたというからすごい。ものすごい数が立候補していて得票率が47%だったというからすごい。バンクーバーの市制選挙はたしか来年。ルックスばかり良くて、エコ気取りで自転車専用レーンばかり作って、もっと大きい市長室が欲しいという金食い虫の市長をなんとかしてほしいんだけど、これから1年間のトロント新市長の動きはきっと西の果てのバンクーバーにまで大きな影響を及ぼすだろうな。うん、おもしろくなって来たぞ。
つい浮気してしまう人の言いわけ
10月26日。火曜日。相変わらず湿っぽいけど、まあまあの天気。今日はさしあたってすぐにやらなければならない仕事はない。あさっての朝はデンバーへ出発だから、仕事戦線は週が明けるまでは平穏ということで、しめしめ。
何をしようかと思いながら、結局はいつものようにオフィスに座り込んでしまって、小町横町のそぞろ歩きで見つけた、ランキング1位の『夫に捨てられました』というトピックを呼んでいるうちにあっという間に午後が過ぎた。夫が不倫でもして出て行ってしまったのかと思ったら、つい魔が差して会社の独身男と一泊旅行に行ったのが夫にばれて、帰って来たら夫が手紙と離婚届をおいて出て行ってしまっていたという話。夫は勤め先も退職していて連絡が取れず、義家族からは着信拒否で誰も居所を教えてくれない。謝る機会も与えられず、謝罪も弁解も何も聞かずにいなくなるなんてひどい。自分の収入では家賃を払うのもキツイのに帰ってくるのを待っている。「今の社会で女性は弱い立場だから、もう一度だけチャンスが欲しい」と。
魔が差して・・・か。読み進むほどに、何度も後出しで「言い訳」が出てくる。「夫が半年以上も出張していて月末にしか帰って来なかったので、さびしくてつい・・・」。
明けて水曜日。雨期一服ですっきり晴れ上がったいい天気。ノースショアの山は白く冠雪。北米大陸では「weather bomb(天気爆弾)」と呼ばれる超特大スーパー低気圧が中西部からカナダ東部へと向かって猛威を振るっている。
きのうは「つい魔が差しての独身男との一泊旅行」がばれて夫に捨てられたという女性の投稿を読んでいるうちに、なんだか古くなりつつある過去のことを思い出したり、いろいろと考え込んだりしていた。投稿者は30代半ばだそうだけど、思考レベルは年令に追いついていないのか、あるいは今どきの普通のレベルなのか、どっちにしても、何もかも「誰(何)が○○でなかったらこんなことにはならなかった」と言うタイプ。一番悪いのは遊び半分で誘惑してきた会社の男、次に自分、三番目は(ほめ言葉も優しい言葉もなく、積極的に自分をつなぎとめてくれなかった)夫。ふむ、10年前、カレシも似たような言い訳していたなあ。
一番悪いのは自分を誘惑してきたオンナノコたち、次にその甘言の誘惑につい乗せられた自分、そして三番目は仕事に没頭して、さびしい思いをしている自分をかまってくれなかった妻(ワタシ)。当時の激しい口論を思い出して心がちょっとチクッとしたけど、そのうち笑いたくなって来たのは時間薬の効能なのかどうか。あの頃は国際結婚ブームだったらしいから、(カレシが釣り糸を垂れていた)ペンパル(ボーイフレンド)募集サイトで「淑やかで優しい日本女性」をアピールしていたカノジョたちは、チヤホヤしてくれる「白人、30代半ば、独身(?)」が魅力だっただけで、特に「カレシ」を誘惑したかったわけじゃないと思うんだけどな。その証拠に、どれもせいぜい何回かのやり取りでぷっつりだったじゃないの。それは「白人、20代、(確実に)独身」のカモが見つかって用済みになったということだったんじゃないのかな。まあ、のぼせた頭ではそこまで考えが及ばなかっただろうけど、ミイラになったミイラ取りのアナタが一番かっこ悪いんじゃない?
ワタシが仕事にのめりこんだのは、カレシが無関心を装ってワタシを拒否するようになって、さびしさや女盛りのエネルギーを仕事に向けたからなんだけど。でもワタシは、カレシがかまってくれなくてさびしいからって、トピックの主みたいに他の男の甘い言葉に「つい」でも何でもよろめくようなことはしなかった。だけど、なの。もしもあの頃まだ会社勤めだったら、もしも苦しんでいるときに優しくしてくれた男性がいたら、どうなったかは自分でもわからない。でも、ワタシはこういう方面でのマルチタスキングは苦手なもので、本気になったら誰が悪いのなんのと御託を並べたりせずにその人のところへ行ってしまっただろうな。まあ、カレシに無視されて、あまりあるエネルギーを仕事に集中したばかりに仕事が成功しすぎて、そのせいで(ほんとは嫉妬だったことはわかっているけど)さびしかったカレシが「ネット浮気」に走って、オンナノコが「下見」に来たりして、独身じゃなかったわかったから「お別れ」されてるのにワタシがいるからだと怒って、別れるのなんのという修羅場になって、だけど原因(遠因)になったその仕事がワタシの救命浮き輪になって、カレシが早期退職させられて、結果的にはワタシとカレシが元の鞘に納まって、ぐるりと輪を描いて完結・・・という顛末は、皮肉といえば皮肉かな。
もっとも、カレシの「浮気」は、ほんとうに世間一般の「浮気」の定義にあてはまる色事というよりは、子供の頃に返って大好きだったビスケット「アニマルクラッカー」で遊んでいる気分だったんじゃないかと思う。なにしろ一度に「交流」していたオンナノコの数が多すぎて、名前を取り違えることなどしょっちゅうだったし、チャットの内容を全部テキストで保存しておいたり、印刷したメールをバインダーに仕分けしたりで、「浮気の証拠」を無造作に残しすぎていたし、まるで母親に気になるった女の子の話をする思春期の男の子みたいな振る舞いが何かと多かったもの。つまりは、オンナノコたちは、子供の頃に汚れて食べられなくなるまで並べ替えて遊んだという動物の形をしたビスケットと同じものだったんじゃないかと思う。つまり、大人の約3割が一生に一度は経験するという(極度の精神不安による)一過性の精神症だったのかもしれない。
まあ、ビキニの写真で迫ったコも、スペイン男に騙されたコも、見事な男あしらいだったキコンのホステス嬢も、み~んなもう「昔の人」。誰がどれだけどんな形でカレシの記憶の中に残っているのかわからないけど、だんだんに色あせた写真のようにかすんで行くんじゃないのかな。それとも汚れたビスケットのように箱ごとそっくり捨てちゃったのかな。それにしても、人種、性別、年令、理由を問わず、「つい魔が差して」浮気をするような人間は、それがばれると実に往生際が悪くて、くどくどと似たような言い訳で責任転嫁しようとするするものらしい。してはいけないとわかっていることをして、叱られて、「だって、だって」と口をとんがらせている子供のようでもある。子供は「人間の器」がまだできあがっていないから必然的に自己中なものだし・・・。
さて、デンバー行きのチェックインが済んだことだし、ささっと荷物を詰めて、あしたは早起きして、空港へ駆けつけなきゃ。
早起きと寝不足と時差ぼけ
10月30日。土曜日。デンバーでの起床時間は午前6時15分。外はまだ暗い。急いで身支度をして、荷物を持って30階の部屋を出たのは午前6時50分。フロントでチェックアウト。「他にご用は?」というから、後はタクシーを捕まえて空港へ行くだけだからといったら、胸もとにクリップしていた小さなマイクに「タクシー1台」と業務連絡。驚くほど効率よく終わって、外へ出るとタクシーが待っていて、ドアマンが「航空会社は?」と聞くから、ユナイテッドといったら、こっちが乗ってもそもそしている間に運転手に行き先を指示。ホテル出発は午前7時5分。
土曜日とあって交通もまばらで、だだっ広い「荒野」のど真ん中にあるように見えるデンバー国際空港までタクシーはすいすい。地平線が赤くなって、東の空は燃えるようなみごとな朝焼け。空港ターミナル到着は午前7時半頃。そのままセキュリティへ。ここはかなり人がいるけど、流れはスムーズ。並行したA、B、Cの3つのターミナルを串刺しにして結ぶ無人式のシャトル電車でBターミナルへ。この電車がいい。着いたときに「ようこそ、デンバーへ。市長のヒンケンルーパーです」と来たからびっくり。なかなかやるなあ。搭乗ゲートはターミナルの端っこで、行っても行っても見えてこない。腹ペコ状態で途中の食べ物屋(これがすごい数ある)の朝食テイクアウトを除いてみるけど、冷たいサンドイッチはやだなあ。機内で売ってるだろうから、それを買うかと思いつつも、86番ゲートの直前でスターバックスを見つけてコーヒーとスコーンを仕入れて、ゲートへ。なんか私たちの名前を呼んでるみたい・・・。
そのままカウンターへ行ったら、ホテルの端末からチェックして印刷した搭乗券を普通の搭乗券に交換。行きはそんなことなかったんだけどな。もらったとたんに搭乗開始。飛行機はカナダ製の66人乗って満員のCRJ700型。交代で熱いコーヒーのカップを預かって、座席の下に荷物を押し込んで、まずはスコーンとコーヒーのミニ朝食。バンクーバーからのフライトでは誰が持ち込んだのかフレンチフライの匂いがぷんぷんしていたっけ。ホテルを出てから搭乗するまで「待ち時間ゼロ」の連続で、8時14分の定刻にターミナルを離れ、スコーンの入った袋を膝に、コーヒーを飲みながら離陸。あはは、なんだか飛行機より駅馬車みたいで、田舎っぽくて愉快な感じ。機内アナウンスによると販売しているのはカクテルのみとか。えっ、カクテルって、まだ朝の8時を過ぎたところで、もうカクテル?
デンバーからバンクーバーまでは2時間半前後で、時差は1時間だから到着は午前10時ちょっと前。土曜日の朝はあまり人が動かないのか、入管はがら空き。すいすいと通過して、乗り場に並んでいたタクシーに乗って、我が家の玄関を開けたのはまだ午前11時前。とりあえずジュースとトーストとコーヒーで朝食の食べなおし。あまりない荷物を片付けて、そのまま2人とも服を着たままでベッドの上にばた~ん。ぐっすり眠って目が覚めたら午後2時半・・・。
今回は寝不足に悩まされたような気がする。だって、木曜日の朝は結局いつもの午前3時半に就寝して、目覚ましが鳴ったのは午前8時半。身支度をしてすぐタクシーを呼んで、荷物を持って飛び出して空港へ。ここでもけっこうすいすいと運んで、搭乗ギリギリまでゲート側のカフェテリアでエッグマフィンの朝食。その夜は早寝をしたつもりだったのに、カレシがまた「気になって眠れない病」で、もぞもぞ、もぞもぞ。ワタシも眠れなくなって、とうとう午前3時過ぎまでじっくりと話し合い。「ひとりで気に病んでないで、話してみるもんだなあ」というカレシ。ワタシがここにいるのは何のためだと思ってんの?アナタの話を聞いてあげるためここにいるんじゃないのっ!
金曜日の朝の起床は午前10時。ホテルのレストランで遅い朝食をして、とりあえずデンバーの街を観光。午後にコンファレンスのセッションに1つだけ顔を出して、恒例の日本語部会のディナー。ブラジル料理の店とかで、肉類をサーベルにぶすっと刺してテーブルの間を回り、頼むと切り分けてくれる。それが、定番のビーフ、七面鳥、チキンの他にもやたらといろいろ回ってくる。すごいのはガラガラヘビのソーセージ。味は普通のソーセージの感じでおいしかったし、野生のイノシシの肉もおいしかった。一番受けたのはローストしたパイナップルだったけど。正式のディナーの後はこれまた恒例になりつつある二次会。今回はアイリッシュパブ。寒くなっていたし、朝が早いということで、ギネス一杯だけでみんなにお別れ。(来年シアトルで会おうね・・・ちょっぴりオリンピックの閉会式みたいなせりふ。)
日中は25度くらいあって暑かったのに、夜中近くになるとぐんと冷える。海抜1マイルの盆地だからだろうな。ホテルに帰りついたのは午後11時半で、就寝は夜中過ぎで、起床は午前6時過ぎ、これじゃあこれじゃあ寝不足になるのも無理はないよね。でも、今夜はバンクーバー交響楽団「Musically Speaking」シリーズのシーズン第1回コンサート。このために「取るものも取りあえず」みたいな日程になったんだから、なんとか早く普通のパターンに戻らなきゃ・・・。
ハロウィーンの夜は更けて
10月31日。日曜日。正午過ぎに目が覚めて、人心地がついた気分。カレシはまだぐっすり眠っているようなので、先に起き出して、留守中に送られてきていたフィードバックに対するフィードバックの作業を始めた。チェックをするのはたいていがネイティブスピーカーか英語で育ったバイリンガルの人。究極的に「より質の高い翻訳を」という点で目的も利害も一致しているから、いってみれば「下請業者」のワタシもチームの一員のようなもの。エンドユーザーの自称バイリンガルの担当者とは大違いで、さすがにこの会社だと思えるレベルの人たちからのフィードバックだから、こっちもきちんと目を通して、まじめに返答する。それにしても、解釈に関する質問事項が最後の方にかたまっているのは、やっぱりだらだらしていた挙句に追い込みというときになって集中力を乱されるようなことがあったからだろうな。気をつけないとね。
ほぼ終わりかけたところでカレシが起きて来て、遅い朝食。カレシも人心地がついたらしく、だいぶ生気が出てきたような顔をしている。デンバーでは10年くらい老けて見えたんだそうだけど、へえ、まだそんなこと気にしているのかなあ。「くたびれたらこんな顔になるんだなあと思っただけさ」とカレシ。たった1時間の時差のはずなんだけど、たった3日の世間並みの生活時間だったから、あんがい調整でつかなくてきついと感じたのかもしれないな。ゆうべのコンサートでは、バンクーバー交響楽団にバンクーバー青少年オーケストラが加わっての大人数が奏でる大音響だったから、カレシはいつものように舟をこぐこともできなかったよね。「いや、まじめに聞いてたよ」とカレシ。ま、帰って来たばかりで2、3日は仕事がないと思うから、少し「おうちでのんびり」を決め込もうか。
デンバーはアジア系は少ないようだし、アフリカ系もそれほど多くないようで、基本的に典型的な中西部の都市ということなんだろうけど、開放的な雰囲気があって居心地は良かった。木曜日の午後遅くにホテルに着いて、近所の探検に出かけて、まず目についたのがこれ・・・[写真]
ホテルのとなりにあるコンベンションセンターの外で中をのぞき込んでいたこの巨大な青クマ君、なんだか「みんな何してんの~?ボクも仲間に入れてよ~」と言っているようで、かわいいので気に入ってしまった。デンバーはユーモアのセンスのあるところだなという印象。
コロラド州の州都デンバーは「Mile High City」と呼ばれている。海抜1マイル(約1600メートル)にあるからで、キャピトルヒル(州議会議事堂)正面玄関への階段に「海抜1マイル」のマークがあるというので、16番街モール(建築家のI・M・ペイがデザインした延長1マイルの歩行者天国・・・といっても無料シャトルバスが端から端まで走っているけど)を歩いて、議事堂まで行ってみた。天気が良くて、暑い。午前中はまだ寒かったのに、あっという間に気温が上昇して、午後には20度をはるかに超えていた。モールの行きあたりで、一番高いところに州議会議事堂、反対側の低いところに市庁舎がある。階段を上がって行って、見つけた、海抜1マイル。
ステップの前に刻まれているのは15段目にあるオリジナルのマーク。真ちゅうの板をつけていたら、あまりに何度も盗まれるので、ちょうど1マイルにあたる階段に「One Mile Above Sea Level」と刻んだのが1947年とか。ところが、海抜1マイルは実はもう少し上の方ということがわかって、1969年になって18段目に丸い真ちゅうのマークがつけられた。ところが、測量技術の進歩による計測方法の変化のおかげで、「ほんとうの海抜1マイル」は実は13段目ということになって、2003年に新しいマークがつけられたんだそうな。ま、まだ印のついていないステップはいくつもあるから、いつかまた技術の進歩で「実は・・・」ということになるかもしれないけど、ずっと昔に「1マイル」の段に立って記念写真を撮った人は困っちゃうだろうなあ。
ということで、3つの「海抜1マイル」が一堂に会して、はい、パチリ・・・。[写真]
さて、ハロウィーンの今夜は雨になったというのにあちこちで爆竹がなり、花火が上がって炸裂し、うさん臭い若者連中がうろうろしている。どういうわけかトラックの警報装置が2度も鳴り出して、そのたびにカレシが懐中電灯をつかんで点検に出て行ったけど、被害はなしのもよう。何かが当たったわけではなさそうだけど、悪ふざけもいい加減にせんかい!今までずっと静かで当日になって盛大に花火が上がっているのは許可制になったせいかな。ゆうべはコンサートが終わってグランヴィルの通りに出たら、仮想した男女の大人子供がいるわ、いるわ。しらふなのか、酔っ払っているのか知らないけど、奇声を上げながら警備の警官たちの間を縫うようにぞろぞろ。パーティ会場を目指していたのかな。おかげで帰りの地下鉄は空いていた。でも、ガスタウンでは無差別と思われる銃撃があって、歩道に集まっていた若者たちが何人か撃たれて大けがをしたそうな。
もう子供たちは近所でさえ危険がいっぱいで、キャンディをもらいに家々を回ることができない。風に吹かれて外に立っていたら、ぞろぞろ現れて、我が家のゲートを見て「このうち、なんかあるかなあ」とか「なさそうじゃん」とか騒いでいたのは少なくともハイティーンの女の子たち。ワタシが懐中電灯をもって立っているのを見て、きゃっきゃと笑い転げながら道路を渡って行った。長い長い伝統のあるハロウィーンの行事、いつのまにか大人がおばか丸出しで無礼講をやる夜になってしまったけど、そろそろ子供たちに返してあげたらどうかなあ。