らびおがゆく Vol.3

山形県を中心とした演奏活動等

PANOCHA QUARTET

2009年07月17日 23時48分24秒 | お気に入りのCD
 やはり演奏を聴くのは本場ものに限る。なんて思っていた時期があった。ベートーヴェンならドイツの演奏家で、チャイコフスキーならロシアの演奏家で、ミヨーならフランスの演奏家でなどなど。

 確かに作曲家のゆかりの国の演奏家なら極東の私達に知ることの出来ない伝統というもの(教育など)があって、隠し味的な演奏のコツを知っていたり、民族の民謡が題材となっていれば心を込めて演奏する事も出来るだろう。

 ただグロ~バル化が進んだ狭い世界となった今となっては、民族色的なものはどんどん薄れてきていているだろうし、楽譜が手に入れる事が出来れば、優秀な演奏家の演奏は国地域に関係なく魅力的なものになると考え始めた。

 本場ものだけが本物という事を極東のプロ奏者である私が認めてしまっては、私が奏でる演奏はほとんどが偽物である事を自ら認めてしまうことになるし、あまりにもマイナス思考である。邦人作品を演奏する事は大好きだが、それだけを演奏していくというわけにも・・・!?(それはそれで楽しいことだと思うけど)

 もう一つ付け加えれば、邦人作品を私が演奏する時、誰が本場ものだから素晴らしいという感想を持つだろうか?そんな感想こそが、まったく笑い話である。

 そう思い始めたらだんだん本場では無い人達の演奏をわざわざ選択して聴くのも面白くなってきた。

 本日紹介するCDは、上記の駄文を何故書いたの?と突っ込まれる位の本場中の本場の演奏である。

 1971年に結成されたチェコのPANOCHA QUARTETによるA.ドボルジャークの弦楽四重奏全集である。ここ数年は草津夏季国際音楽アカデミー参加で来日しているので、その実演にふれる事の出来た方も多いだろう。

 A.ドヴォルジャークはそのメロディ~の親しみやすさや切なさからもう少し日本で人気が出ても良いだろうと思う作曲家なのだが、演奏される曲は有名な内のほんの数曲である。

 奏者側から偉そうなことを言わせてもらうとまず調性の選択が難しく、転調も多く弦楽器奏者からは敬遠される。そして、彼の作曲の癖なのか?、楽章のバランスが悪いと言われている。やけに長い楽章と短い楽章が混在するのだ。

 ここの楽章を小品として演奏するとかっこ良さそうだが、そうも出来ない。

 このパノハ四重奏団の演奏を聴いていると「さすが本場もの!!」と思えるマジックが色々行われている。難しい事は解説しかねるが、聴いていてどの曲も愛情たっぷりに演奏されていて聴く者を飽きさせないのである。本場とかは関係なく彼らが魅力的な演奏家なのかもしれないが・・・・・・・・・・。

 録音:1983、84、85、92-99年、プラハ[デジタル]
HMVジャパン
コメント
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