らびおがゆく Vol.3

山形県を中心とした演奏活動等

生きものの記録

2010年02月27日 23時43分50秒 | DVD鑑賞(主に映画)
 最近映画の記事が多いですが、何とか時間をつくって心に余裕を持ちながら生活したいと思っている現れでしょうか?今まであまりしてこなかった映画を見るという時間を過ごそうと思っています。

 「生きものの記録」は、東宝の1955年(昭和30年)の黒澤明映画です。

 出演者は以下のとおりです。
三船敏郎(中島喜一)、三好栄子(中島喜一の妻~とよ)、佐田豊(中島一郎~長男)、千石規子(一郎の妻~君江)、東郷晴子(山崎よし~長女)、清水将夫(よしの夫~山崎隆雄)、千秋実(中島二郎~次男)、青山京子(中島すえ~次女)、水の也清美(中島喜一の三妾~里子)、米村佐保子(三妾の女妙子)、根岸明美(中島喜一の四妾~栗林朝子)、上田吉二郎(朝子の父)、志村喬(原田)、太刀川洋一(須山良一)、東野英治郎(ブラジルの老人)、藤原釜足(岡本)、三津田健(荒木)、渡辺篤(石田)、清水元(鋳造所職長)、小川虎之助(堀)、中村伸郎(精神科医)、左卜全(地主)、土屋嘉男(鋳造所職員)、谷晃(留置人A)、高堂国典(工員の家族)、本間文子(工員の家族)、加藤和夫(原田の息子~進)、宮田芳子(田宮書記)、大久保豊子(進の妻~澄子)、桜井巨郎(鋳造所職員)、大村千吉(留置人B)

     

 まず、この映画で音楽を担当している早坂文雄(1914~1955)について少しだけ。黒澤映画において重要な作曲家だった早坂文雄は、この映画の曲を作曲中に亡くなってしまったので、この映画音楽が遺作となっています。映画音楽作曲家というイメージがありますが、実は管弦楽曲や協奏曲、室内楽、ピアノ曲なども作曲しています。中でも弦楽四重奏曲(1950)は、2006年に札幌交響楽団員で組織するノンノン・マリア弦楽四重奏団により再演されています。宮城県仙台に生まれて、幼少時に札幌に移り住んだので、札幌の弦楽四重奏団として発掘再演は大きな快挙でした。
ノンノン・マリア弦楽四重奏団

 さて、映画の内容ですが、あらすじ等はウィキペディアで調べて下さい。当時35歳だった三船敏郎が老人の役をしていて、白黒映画ということもあり、本当に年老いた頑固な老人を好演しています。昭和30年頃のアスファルトで舗装されていない街並や建物内の電灯、ラヂオなどの小物など昭和の空気感を映し出しています。千石規子さんの若き姿も映し出されています。我々の世代は千石規子さんといえば、老人役しかイメージないですからね・・・。

 自分の子供の頃に見た祖父祖母の家の空気感を思い出します。本当に懐かしいです。私の子供の頃は東京でもアスファルトの無い砂利道はいくらでもありましたしね。そこで面子をやるのが本当に楽しかったのです。

 脱線しました。

 映画の最後の方で、中村伸諸(1908~ 1991)演じる精神科医が、志村 喬(1905年~1982年)演じる原田に言った台詞がなかなか印象深いです。ちなみにこの映画で、志村喬氏は、黒澤映画の主役級を降ります。

 「狂っていると思われている中村喜一が実は正常で、今日の危機を見て見ぬふりしながら正常を保とうとしている我々が狂人なのか・・・。分からなくなっている」セリフの一言一句は全く正しくありませんが、こんな内容のセリフです。

 この映画のテ~マを考えると気持ち的にドスンと重くなってしまいました。

 それが良いか悪いかは別として、見る人にもの凄いインパクトを与えるのはさすがに黒澤映画です。
HMVジャパン
コメント
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