Grant Green / Green Street ( Blue Note 4071 )
ギターアルバムは、人数の少ないグループ編成のもののほうがその魅力がよく伝わります。 一番理想的なのは、g、b、ds のトリオです。
そして、その最高峰はやはりこれではないでしょうか。
ブルーノートは4000番台にもなってくると、企画力が優れてきます。 このレーベルでデビューしたグラント・グリーンは4000番台に素晴らしい
レコードをたくさん残しましたが、そのどれもが違ったグループ編成となっていて、アルバム毎のコンセプトがはっきりしているのに感心します。
あとは各自の好みで好きなのを選べばいいわけです。
私はできるだけ上記のトリオ編成のものを探して聴くようにしています。 ピアノやオルガンはやはりギターと音域がかぶるので、
アンサンブルとしては重複感があってよくないなあと思うし、管楽器が入っているとどうしても主役を奪われた格好になって不満が残ります。
でも、そういうトリオ編成の音盤は少ないし、そもそも変化が乏しいのでアルバム1枚通して退屈させずに聴かせるのは相当難しい。
そういう意味では、このアルバムの出来の良さは奇跡的といっていいかもしれません。 A面1曲目のブルースの素晴らしさにガツンとやられますし、
B面1曲目のリフの格好よさはウェスの "Four On Six"みたいだし、とにかくオリジナル曲の出来が素晴らしいのですが、1番の成功要因は
やぱり全編を覆う夜の雰囲気でしょう。 ちょっと筆舌に尽くしがたいムードがあります。 "夜ジャズ"という言葉が流行ったそうですが、
この言葉にはやはりブルースが相応しく、そのフィーリングがないものに対して使われるとちょっとイラッとします。
このレコードは溝有りがオリジナルだと言われていますが、1500番台後半のNY23問題と同じく、溝有りは盤厚の薄いものが多いです。
だから、このジャケットは底が抜けてないわけです。 それに音の違いも別にあるわけでもないので、もうこのあたりになると
溝の有るなしにはこだわらなくてもいいんじゃないかと思います。 ピカ盤で、23,000円也。
4000番台はいよいよジャズが多様化の兆しを見せ始める重要な時期の録音なので、細かい仕様よりも純粋にその内容を楽しめばいいですよね。