廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

セントラルパークでスケートを

2014年02月22日 | Jazz LP (United Artists)
私が一番好きなビル・エヴァンスのレコードは、リヴァーサイドの諸作ではなく、これかもしれません。



Bill Evans / Undercurrent ( United Artist UAJ 14003 )


理由は簡単で、B面に収録されている Skating in Central Park が好きだからです。 ジョン・ルイスが作曲した小さな愛らしいワルツ。
エヴァンスは、こういう可愛い曲を取り入れるのがうまかったですね。

このレコードは名盤ガイドブックには必ず載る必殺の名盤なわけですが、そこで評論家が褒めるのは My Funny Valentine をアップテンポで処理した
解釈の素晴らしさやジム・ホールのカッティングの見事さばかりですが、私は初めてこのレコードを聴いたときから今日まで、それをなるほどなあ
と思ったことは全然ありません。 

このアルバムは全体を通して、まるで冬のひんやりと寒い曇り空に覆われた人気のない都会の風景を思わせる静かに透き通る寂寥感が素晴らしく、
それがこのアルバムの魅力を決定づけています。 他にも、Dream Gypsy や Romain などの名曲があり、全編通して素晴らしい。

また、このレコードはオリジナル盤が芯の太い迫力のある素晴らしい音で、これはCDでは決して再現できません。 
だから、コンディションにはかなりこだわってきれいなのを探しました。 8,400円。

この愛らしいワルツを、オリンピックで苦悩と歓喜の涙を流した浅田真央さんに教えてあげたいです。 
いつか、彼女が理不尽な重圧から解放されて、誰も知らないどこか遠くの地でこれを聴きながら、誰かのためにではなく1人静かに
スケートを楽しんでいる、そういう日がくればいいのにな、と思います。



コメント
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