前回の "Fair weather" 繋がりです。
The Diamond Five / Montmartre Blues ( Sonorama C-50 )
彼らのラジオ放送音源の4曲を含むコンピレーションCDで、このラジオ音源の中に "Fair Weather" があります。 これがすっきりとしたアレンジで
なかなかいい演奏です。 正確に言うと、演奏そのものというよりすっきりしたアレンジに極めて忠実で逸脱のない優等生ぶりに感心させられます。
これはこのグループの際立った特徴です。 こういうのはアメリカのジャズにはあまり見られないので、愛好家に人気があるのもよくわかります。
尤も、これってジャズなのか?という生真面目な疑問が頭をよぎることもないわけじゃないのですが・・・・
1958年10月からアムステルダムのシェヘラザード・クラブに月イチで出演するようになり、1959年にOmegaレーベルから2曲入りの7inchを出したのを
皮切りに、年一枚前後のペースで7inchを録音していきます。 演奏活動は活発に行っていたようですが、録音に恵まれませんでした。
録音日時順に彼らが残した曲を聴いていくと、面白いように演奏の腕が上がっていくのがわかります。 最初の2曲は雰囲気は悪くありませんが
演奏としては稚拙な感じです。 ところが、1年ごとに演奏が闊達になっていき、上記の "Fair Weather"(1963年)になると、演奏スタイルが
完成したんだなということがわかります。
このシェヘラザードというクラブは、彼らにとって腕を磨く修行の場所だったようです。 その様子が僅かに7inchという小さな断片でしか
残されなかったのは残念です。 彼らが主要なレコードを残した1959年~1964年の5年間に欧州で作られたクラシックのレコードの膨大さを想うと、
当時のヨーロッパ社会がいかにこのジャズという音楽のことをまともに相手にしていなかったか、ということがよくわかります。
事前のアレンジをきっちりと設計してその通りに演奏するので、どの曲も清潔感がありますが全体的に小振りな印象になるのは否めません。
その緻密な設計振りを聴いているとハードバップへの強い愛着を感じます。 ただ、こんな音楽を何年も続けていると、その音楽的飛躍の無さに
ついて悪口を言いだす人が出てきて、本人たちにも迷いが出てくるようになります。
私がレコード漁りをやめていた時期に、たまたまフォンタナの "Brilliant!" がCD化されて売り出されました。 幻の稀少盤の復刻、と大げさに
宣伝されていて、何の予備知識もなく手に取って聴きましたが、随分つまらない内容だなあと思って、そのまますっかり忘れていたくらいです。
でも、こうやって最初から順番に聴いていくと、このフォンタナ盤で急に雰囲気が変わったのがよくわかります。 演奏技術が急にうまくなって
いるし、楽曲もオリジナルで固めてかなり気合いの入ったものを作ろうとしていたんだなということがわかります。
きっと品のいいハードバップからの卒業を目指したんでしょう、演奏が格段にうまくなっているのは間違いないですが、内容については正直、
取り立てていい出来とは思いません。 この後、ぷっつりと録音が途切れることになるのも、そういうことと無関係ではなかったのでしょう。
The Diamond Five / Amsterdam Blues ( 蘭Philips 6440 321 )
私は7inchは買いません。 音楽を聴くメディアとしては取扱いが面倒だし、大金をはたいて買っても商品としての満足感が全くないからです。
それでしか聴けない音源は多いし、ジャケットの意匠も見事なものが多いし、こだわって集める方の気持ちはよくわかりますが・・・・
幸運なことに、このグループには1978年に12inchとして切り直したこのレコードがあります。 EPのすべてが収録されているわけではありませんが、
主要な曲は入っているし、音も悪くない。 7inchの再発は板起こしの場合も多く、私のような"7inchは買わない派"にはなかなか辛いところですが、
このLPはマスターテープを使っているようです。 さすがはフィリップス、ありがたいです。 6,300円、高いんだか安いんだかよくわかりませんが。
The Diamond Five / Montmartre Blues ( Sonorama C-50 )
彼らのラジオ放送音源の4曲を含むコンピレーションCDで、このラジオ音源の中に "Fair Weather" があります。 これがすっきりとしたアレンジで
なかなかいい演奏です。 正確に言うと、演奏そのものというよりすっきりしたアレンジに極めて忠実で逸脱のない優等生ぶりに感心させられます。
これはこのグループの際立った特徴です。 こういうのはアメリカのジャズにはあまり見られないので、愛好家に人気があるのもよくわかります。
尤も、これってジャズなのか?という生真面目な疑問が頭をよぎることもないわけじゃないのですが・・・・
1958年10月からアムステルダムのシェヘラザード・クラブに月イチで出演するようになり、1959年にOmegaレーベルから2曲入りの7inchを出したのを
皮切りに、年一枚前後のペースで7inchを録音していきます。 演奏活動は活発に行っていたようですが、録音に恵まれませんでした。
録音日時順に彼らが残した曲を聴いていくと、面白いように演奏の腕が上がっていくのがわかります。 最初の2曲は雰囲気は悪くありませんが
演奏としては稚拙な感じです。 ところが、1年ごとに演奏が闊達になっていき、上記の "Fair Weather"(1963年)になると、演奏スタイルが
完成したんだなということがわかります。
このシェヘラザードというクラブは、彼らにとって腕を磨く修行の場所だったようです。 その様子が僅かに7inchという小さな断片でしか
残されなかったのは残念です。 彼らが主要なレコードを残した1959年~1964年の5年間に欧州で作られたクラシックのレコードの膨大さを想うと、
当時のヨーロッパ社会がいかにこのジャズという音楽のことをまともに相手にしていなかったか、ということがよくわかります。
事前のアレンジをきっちりと設計してその通りに演奏するので、どの曲も清潔感がありますが全体的に小振りな印象になるのは否めません。
その緻密な設計振りを聴いているとハードバップへの強い愛着を感じます。 ただ、こんな音楽を何年も続けていると、その音楽的飛躍の無さに
ついて悪口を言いだす人が出てきて、本人たちにも迷いが出てくるようになります。
私がレコード漁りをやめていた時期に、たまたまフォンタナの "Brilliant!" がCD化されて売り出されました。 幻の稀少盤の復刻、と大げさに
宣伝されていて、何の予備知識もなく手に取って聴きましたが、随分つまらない内容だなあと思って、そのまますっかり忘れていたくらいです。
でも、こうやって最初から順番に聴いていくと、このフォンタナ盤で急に雰囲気が変わったのがよくわかります。 演奏技術が急にうまくなって
いるし、楽曲もオリジナルで固めてかなり気合いの入ったものを作ろうとしていたんだなということがわかります。
きっと品のいいハードバップからの卒業を目指したんでしょう、演奏が格段にうまくなっているのは間違いないですが、内容については正直、
取り立てていい出来とは思いません。 この後、ぷっつりと録音が途切れることになるのも、そういうことと無関係ではなかったのでしょう。
The Diamond Five / Amsterdam Blues ( 蘭Philips 6440 321 )
私は7inchは買いません。 音楽を聴くメディアとしては取扱いが面倒だし、大金をはたいて買っても商品としての満足感が全くないからです。
それでしか聴けない音源は多いし、ジャケットの意匠も見事なものが多いし、こだわって集める方の気持ちはよくわかりますが・・・・
幸運なことに、このグループには1978年に12inchとして切り直したこのレコードがあります。 EPのすべてが収録されているわけではありませんが、
主要な曲は入っているし、音も悪くない。 7inchの再発は板起こしの場合も多く、私のような"7inchは買わない派"にはなかなか辛いところですが、
このLPはマスターテープを使っているようです。 さすがはフィリップス、ありがたいです。 6,300円、高いんだか安いんだかよくわかりませんが。