廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

今週の成果

2014年04月19日 | Jazz CD
今週も相変わらず中古CDをモソモソと探して、少し買いました。




■ Daniel Scannapieco ( 仏 Midnight Sun MSCD 010 )

これは去年の夏ごろから探していたCDで、High Five Quintet のテナー奏者のおそらく初ソロ名義のアルバムです。 ファブリッツィオ・ボッソが
入っているし、曲によってはステファノ・ディ・バチスタも加わっていたりと、その演奏は聴く前から容易に想像つきますが、まあ、その通りの
内容でした。 卸したての上等なスーツのような、とても品のいい、それでいてしっかりと音鳴りもするとてもいいテナーを吹くのですが、
このアルバムは意外に楽曲が地味です。 色々凝ったアレンジもされていますが、ちょっと考え過ぎ? という印象です。
初めての自己名義のソロだったせいもあったのかもしれません。 その後の活動を見ても、ボッソはソロを出しまくるは、客演はしまくるは、と
派手に動き回っているのとは対照的に、ソロをポツリポツリと残しているに過ぎず、ひょっとしたら前へ出るのが苦手なのかもしれません。
せっかくスジのいいテナーを吹くのに、もったいないなあ。 ジャズは、やはり「情」の部分で演ることも大事なんだと思います。
何かで一皮剥けるといいですね。


■ Harry Verbeke Quartet / Stardust ( 蘭 Timeless CD SJP 334 )

The Diamond Five のテナー奏者の、おそらく70~80年代に同レーベルに録音された音源の編集盤のようです。 欧州盤ブームの頃に、欧州盤なら
何でもよく売れるということで中古市場ではたくさん流通していたようですが、今はどういう扱いになっているのかよくわかりません。
こうやってソロで聴くと、こんなに貧弱なテナーだっけ?と訝しく思います。 テナーの音は所謂ゲッツやズートの系統で芯の抜けたような音色。
ただ割と重心の低い質感なので、悪くはないと思います。 フレーズが細切れになるのがクセのようで、これがちょっとよくない。
ワンホーンでスタンダードを吹いているものばかりを集めたCDだし、録音も悪くないので、部屋で流しておく分にはちょうどいいです。
音楽的には見るべきところは何もないので、正対して聴こうとは思いません。






■ Abraham Burton Quartet / Cause And Effect ( Enja 9377 2 )

Steve Davis のクインテット盤がすごくよかったので、探しました。 あいにくどの店舗にも在庫が無かったのですが、アマゾンに中古が
安く出ていたので購入。 全曲メンバーのオリジナル曲でワンホーン。 余計なギミックは無し、真っ向から実力勝負した内容で、
これは最高にいい内容でした。 とにかく、この人のテナーの音は最高に好きです。 ワンホーンなので、初めから終わりまでバートンの音を
堪能できます。 演奏もとても硬派なハードバップで、50年代のロリンズやコルトレーンたちがやろうとした本物のジャズの現代版、という感じ。
こういう人に、きちんとした評価とリターンをあげて欲しいです。 でなければ、ジャズは枯れていってしまう。


■ Abraham Burton / Closest To The Sun ( Enja 8074 2 )

こちらも同様にアマゾン購入。 94年のドイツ録音のワンホーン。 上記のCDは硬派で一本気な内容でしたが、こちらはスタンダードや
バラードを取り込んだヴァラエティに富んだ内容。 でも、こちらも内容は最高にいいです。 Left Alone をやっているのにはビックリしました。


偶然テナーの音盤ばかりを入手しましたが、こうして続けて聴いてみると、テナーサックスという楽器で音楽的にいいものを作るというのは
きっと想像以上に難しいんだろうな、ということを実感します。 我々は安易に良いとか悪いとか好き勝手なことを言う訳ですが、
楽器1つ1つが微妙に音が違うだろうし、リードの種類や硬さでも音は違うし、喋り方が人それぞれ違うように吹き方も違う。
和音を出せない単音楽器で音楽的な豊かさを出すのは本当に難しいだろうと思います。 そういうことを常に頭の隅に置きながら愉しむことを
忘れないようにしたいです。



コメント
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