廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

カウント・ベイシーと一緒に

2014年09月14日 | Jazz LP (Roulette)

Count Basie and His Orchestra / Dancing Along with Basie  ( Roulette R 52036 )


ビッグバンドは大好きだし、オールドタイムジャズも好きだけど、上限200枚と決めた中でそれらのレコードをどこまで買うかは悩ましいです。
人気が無いせいでレコード屋にはあまり在庫が置かれていませんが、おそらく生産された量自体はバップ期のレコードと同等か、若しくは
それ以上の枚数があるはずです。 架蔵枚数は現時点で70数枚程度なのでまだまだ心配する必要はないのですが、この手のレコードは値段も安いし、
油断するとすぐに枚数が増えてしまいそうです。

ボーカルも少し欲しいし、フリーも何枚かは必要だしな、などと考えていくと、せいぜい枠は10枚前後かなあとか考えたりします。
そう仮定した場合、じゃあカウント・ベイシーはどれを手許に置くのか?と考えると、まずはこれだよな、ということになります。

筋金入りのベイシー・ファンは絶対にこんなのは聴かないんでしょうが、私はこれが一番好きかもしれません。
全体を貫く懐の深くて大きくゆったりと揺れるこの感覚は凄くて、やっぱりベイシー楽団でしか味わえないです。 
このアルバムは全てスタンダードで固められているので、音楽としての情感も濃厚ですごく聴きやすい内容です。
特に、冒頭の "It Had To Be You" の素晴らしさには絶句してしまいます。

また、1958年の録音にも関わらず、このルーレット・レーベルの音の良さには驚かされるし、レコードで聴く快楽度も満点です。
40年代の演奏が崇められる理由はよくわかるのですが、やはり録音の貧しさはどうしてもビハインドになってしまいます。
振れ幅の大きなところは50年代も同じだし、それが生々しくうまく録れているのはやはりこの頃のレコードのほうだと思います。

私が持っているこのレコードのジャケットの裏面にはベニー・パウエルのサインが入っています。 ベイシー楽団のメンバーが直接触った
レコードなんだなあと思うと、ちょっと得をした気分になります。




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1年待ったレコード

2014年09月14日 | Jazz LP (Riverside)

Art Blakey's Jazz Messengers / Ugetsu  ( Riverside RM 464 )


やっと入手できました、"雨月"。 別に稀少でもなんでもないのに、きれいなものが意外に見当たらない。 1年近く待ったかもしれません。
でも、待った甲斐がありました。 お値段も格安で、3,200円。

ジャズ・メッセンジャーズでは2番目に好きなレコードです。 ショーター時代の新しい芽吹きを感じる素晴らしい演奏です。
音楽的頂点を迎えたこの3管セクステットはスタジオ録音では張り詰めた緊張感と最高のテンションで突っ走る演奏をしていましたが、
このバードランドでのライヴはとてもリラックスしていて、それでいて3管のきれいなハーモニーも冴えわたっています。

御大から釘を刺されていたのか、ハバードはすごく控えめに抑えたプレイをしていますが、これがとてもいい。 フラーはハーモニーの要として
とても効いているし、ショーターのテナーも若々しくて瑞々しくて、別人のようです。 本当に楽しそうに演奏してる様子が伝わってきます。

楽曲の良さも光っていて、ショーター作の"One By One"やシダー・ウォルトン作の"Ugetsu"、フラーの"Time Off"など親しみやすいメロディーを持った
曲が並んでいるのも嬉しい。 この頃はモードに移行した時期で、などと言われてそれだけで敬遠されているとしたらこれほど残念なことはない。 
若いメンバーたちがこぞっていい曲を持ち寄ったのがこの時期の最大の特徴で、ここでの音楽の魅力に気が付けばもう1500番台やゴルソン/モーガン時代
のレコードなんて聴いてられなくなります。 シダー・ウォルトンのピアノの響きも印象的で、ビル・エヴァンスがマイルスの音楽を変えた時と同じような
役割を果たしていると思います。

スレのないきれいなジャケットのお蔭でステージでの楽しそうな様子がよくわかります。 ショーターの笑顔が全てを物語っています。




コメント (2)
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