Duke Ellington / Duke's Big 4 ( 独 Pablo 2310 703 )
元祖スムーズ・ジャズとはこのことか、と思えるような上質の極みに酔わされる。 知らぬ者はいない巨匠たちの演奏にも関わらず、枯れたところがなく、
こんなにもみずみずしい音楽になっているということは驚異以外の何物でもない。 奇跡なのか、それとも当然のことなのか、よくわからなくなってくる。
4人がまったくの対等な位置関係で、誰1人弾き過ぎず、物足りなさもなく、完璧なバランスを見せている。 エリントンのインディゴ・ブルーを思わせる
深い色合いのピアノ、深くタメの効いたジョー・パスのギター、くっきりとした輪郭で完璧なリズムキープをみせるレイ・ブラウンのベース、かつてのドタバタ
うるさいイメージを裏切る繊細で静かなブラッシュワークが終始冴えるルイ・ベルソンのドラム、それぞれが見事な匙加減で寄り添い合っている。 完璧だ。
誰もがアンサンブルの秘技を知るジャズマスター、この「和」の雰囲気は只事ではない。 どんな批評をも寄せ付けない、彼岸の音楽ともいうべき内容だ。
と、もはや賛辞の言葉しか出て来ない。 デューク・エリントンといえば権威の象徴みたいなイメージがあったりして近寄り難い向きもあるかもしれないが、
これを聴けばそんなことはまったくないのだということがわかると思う。 エリントンはスモールコンボの演奏をいくつか残していて、どれもみな素晴らしい。
このレーベルのものではレイ・ブラウンとのデュオアルバムがオーディオファイルには人気があるみたいだが、どんな楽しみ方でもいい、あまり身近な存在
とは言い難いこの人が残した数々の至高の音楽がもっと聴かれるようになってくれたら、と思う。 これはそれらの中でも群を抜いて出来がいい。