廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

国内盤の底ヂカラ その6

2020年03月08日 | Jazz LP (国内盤)

Charles Mingus / Pithecanthropus Erectus  ( 日本 ビクター SMJ-7228 )


目から鱗が落ちた。音がすごくいい。管楽器の音が輝いていて、ベースも重低音でズンズンと腹に響く。

1956年1月に録音されて、オリジナルは同年にアトランティックからモノラルで発売されている。日本では1965年にステレオで出されたこのペラジャケ
が初出のようだが、これが見事な音場感で鳴る。アトランティックのステレオ盤は見た記憶がないが、発売されているのだろうか。
なかなか納得いくコンディションのものとの邂逅がなくてオリジナルはまだ手許にないが、これならもう高い値段を出して買う必要もないなと思う。
そのくらい満足度が高いサウンドだ。アトランティックのモノラルプレスはいろいろと面倒臭いので、これで十分じゃないかと思う。

ミンガスを代表する名盤と言われるこのアルバムは当時としては表題曲の型破りさがウケたのだろうと思うけれど、私の感覚だとモントローズも
マクリーンもイマイチ中途半端な演奏に思えて、もっとキレッキレでもよかったのにと少し残念な印象がある。楽曲のスピードにもキレがなく、
精彩に欠けるのがちょっとなあ、と思う。やろうとしたことはよくわかるし正しい感じがするけれど、当初期待したほどの強い感銘は受けなかった。

それでもユニークな音楽であるのは間違いなく、それなりに愛聴しているアルバムなので、状態のいいオリジナルをと思っていたが、このビクターの
ペラジャケはそういう物欲から解放してくれるのに十分なサウンドだった。

適度な残響感の中、自然な配置で楽器がリアルな音で鳴っている。これも元はステレオ録音だったのだろうか。マトリクスは「SD 1237」という
アトランティックのステレオ盤の体系だ。

ジャケットの発色もよく、盤も硬質でしっかりとしたつくりで質感も高い。国内盤は侮れない、とやはり強く思う。最近は安レコ専門ハンターと
化していて、どっぷりとその沼にハマっているけれど、この世界は底なしに面白い。当分の間、抜け出せそうにはない。


コメント (2)
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