Billie Poole / Confessin' The Blues ( 米 Riverside RM 458 )
リヴァーサイドにはポチポツとヴォーカルアルバムが残っているが、そのどれもが深く唸らされるものばかりだ。ネームヴァリュー先行で
アルバムを作ったのではなく、本当に実力のある人だけを取り上げており、その見識の高さには頭が下がる。その最右翼はマーク・マーフィーの
2作だが、その次に続くのはこのビリー・プールあたりだろう。
ダイナ・ワシントンの声質とサラ・ヴォーンの伸びやかな唱法をミックスしたような感じだが、持ち味はもっとすっきりさっぱりしていて、
その真っ直ぐな歌唱が聴き手の心にストレートに刺さってくる。問答無用に上手い歌で、これはもう敵わないなあという感じである。
歌の上手さというのは神から与えられたギフトであることがよくわかる。
ジュニア・マンスのピアノ・トリオにケニー・バレルが入ったバックの演奏が最高の仕上がりで、ミッドナイト・ブルーそのもの。
この時の収録の流れで、この4人の演奏だけでアルバムを1枚作って欲しかった。
ディープなブルースがメインでマーク・マーフィーのアルバムと同じコンセプトだけど、管楽器がいないのでもっと静かで穏やかな時間が流れる。
あまりのインパクトの強さで、一旦こういうのを聴いてしまうと、なかなか他のヴォーカルアルバムに手が伸びにくくなるのが唯一の難点か。
50年代末に欧州で評価されたために大陸を行ったり来たりしていたせいで、アルバムがリヴァーサイドの2作しか残っていないなのが残念である。