廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

無口なベンソンがカッコいい

2017年01月21日 | Jazz LP (70年代)

George Benson / Beyond The Blue Horizon  ( 米 CTI Records 6009 )


ビル・エヴァンスのモントルー・ライヴを聴いてからCTIレーベルを見直すようになり、値段の安さにも後押しされて、昔からの愛聴盤をCDから
レコードへボチボチと切り替えている。 さほどたくさんある訳ではないけれど、好きな作品というのは時間が経っても相変わらず好きだから、
これがなかなか愉しい。

この作品も冒頭の "So What" がとにかくカッコよくて、折に触れてよく聴いてきた愛聴盤。 こうやって原盤で聴くと、CDの音の悪さが際立つ。
デッドワックス部には手書きのRVGと機械打ちのVAN GELDERの2つが刻まれており、カッティングまで本人が手掛けたことがわかる。

ロン・カーター、ディ・ジョネットのリズム隊にオルガン、パーカッションと本人のギターというシンプルな構成で本腰を入れて取り組んでいる。
一般的に嫌われるイージー・リスニング風要素は皆無で、この時代の雰囲気を色濃く反映した直球ど真ん中のストレート・ジャズだ。
その心意気がビンビンに伝わってくる。

ベンソンのギターはケニー・バレル直系で、太いシングル・トーンでしっかりとギターを弾いていくのがいい。 ギターを聴いたなあという手応えが
しっかりと自分の中に残る。 ジャズ・ギターでこういう感触が残る作品は意外に少ないもので、ギター・ジャズが日陰者扱いされる原因の一つに
なっていると思うけど、このアルバムはそういうフラストレーションを晴らしてくれる。 オルガンもコンガも音楽を下品にすることなく、
全体の雰囲気の中にうまく溶け込んでいる。

ソフィスティケートな歌声をメインに切り替えた後年の作品も好きだけど、無口にひたすらギターを弾いていたこの頃の作品もとてもいい。
"So What" の曲のとしてカッコよさをより引き出した、という1点だけとっても、このアルバムはもっと褒められていいと思う。



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