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ベニー・ゴルソンの予習 ~その1~

2019年06月22日 | Jazz LP (Prestige)

Benny Golson / Groovin' With Golson  ( 米 New Jazz NJLP 8220 )


来週ベニー・ゴルソンが来日して、ブルーノート東京でライヴをやる。 最近はほぼ毎年来日していて、去年も一昨年も都合がつかず行けなかったが、
今年はうまくタイミングが合ったので、行くことにした。 御年90歳ということで、もうこれ以上先送りにはできない。

ゴルソンが絡む作品はリーダー作以外も含めると無数にある。 それだけジャズ界への貢献が大きかったということだが、その割には巨匠扱いされる
こともなく、ウネウネとしたフレーズになるところが嫌われることもあり、まともに評価されているとは言えない。

私の場合、ベニー・ゴルソンと言えばNew Jazzレーベルに残した3部作がまず頭に浮かぶ。 カーティス・フラーとの2管編成だが、バックのトリオの
顔ぶれがそれぞれ違い、その違いがアルバム毎の雰囲気を微妙に変えているところが面白い。 その違いを聴き分けて楽しんでみよう。


このアルバムはレイ・ブライアント、ポール・チェンバース、アート・ブレイキーがバックを務めていて、当然ながらブレイキーのドラムがサウンド全体の
印象に大きく貢献している。 我々にはお馴染みの、ザ・ハードバップ・サウンドである。 このアルバムが一番ブルー・ノートっぽい雰囲気が濃厚なのは
ひとえにブレイキーの輝かしいシンバルワークのおかげだ。

ゴルソンのテナーもフラーのトロンボーンも骨太の分厚い音で、その存在感は圧倒的だ。 もちろん、それはヴァン・ゲルダーの録音が上手くいっている
からだが、それだけではない。 ゴルソンの深くくすんだ音色の魅力には抗いがたいものがあり、これが本来のこの人の持ち味だったのだろう。
いくら録音技師が優秀だからといって、そこに存在しないものまで録ることはできないのだ。 録ったものをいかにロスレス再生できるかが腕の見せ処
だったのであり、そういう意味では録音技師というよりは再生技師という称号のほうが相応しいのかもしれない。

全体的に濃厚に漂う深く煙ったようなサウンドと音場感にヤラれてしまう、素晴らしいアルバムだ。 ピンポイントで話題になる要素はないけれど、
5人の演奏は最上級で纏まりがよく、究極のハードバップの姿を見ることができる。 音質も3部作の中では一番音場感が明るく張りがあるように思う。
最後に置かれた "Yesterdays" の穏やかで繊細な表情がこのアルバムを上手くクロージングさせるのも素晴らしい。 完璧な仕上がりだと思う。


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2 コメント

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Unknown (cotton club)
2019-06-22 23:19:13
なるほど、と思いました。Curtis Fuller+Golsonではサボイばかり聴いていたので、明日取り出して聴いてみます。ほとんど聴かなかったなあ、このレコード。
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Unknown (ルネ)
2019-06-22 23:45:24
まあ、私も頻繁に聴くというわけではないんですけど。でも、たまに聴くと、こりゃスゲエ!となるんです。サヴォイもいいですね。同じRVGでもちょっと雰囲気が違いますね。
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