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Johnny Smith ( 米 Verve V-8692 )
ジョニー・スミスというギタリストは、ルースト盤を聴いてもギタリストとしての真価はわからない。 ただ単にレーベルの意向だったのだろうとは思うけれど、
ギターをしっかりと弾いていなくて、音の悪いムード音楽の域を出ない。 ニーズがあって作られているんだろうから、何もそれが悪いということではないけれど、
私には正直言って物足りない。 でも、このヴァーヴ盤を聴けば、この人はおそろしくギターが上手い人だったんだなということがよくわかるのだ。
1967年という時代の空気が反映されていて、レノン&マッカートニーの曲もやったりしてヴァーヴらしいセールスを意識した作りになっているけれど、
とにかくギターががっつりと弾かれていて録音のど真ん中にいるので、びっくりするくらいの正統派ギターアルバムになっている。 録音も良く、ギブソンの
フルアコの抜けのいいヴィンテージ・トーンが気持ちいい。
この人に師事したギタリストは多く、数多くの弟子たちが活躍しているし、ギブソンが早い時期にジョニー・スミス・モデルのギターを出したり、とアメリカでは
凄腕ギタリストとしての評価は固まっているけれど、日本ではおそらくそういう認識のされ方はしていない。 日本人はジャズという音楽やレコードなどの
媒体は大事にするけれど、ミュージシャン本人への関心や理解は低いから、この人の認知度もこの先も変わることはないのだろう。
ギタリストが "いそしぎ" を演るのは珍しいけど、この曲独特のムードを上手く表現していて短い演奏ながら印象に残るし、ビートルズの曲も上質な仕上がりで、
ギタリストの技量表現と観賞音楽の両立を果たしている見事な作品で、うーんと唸ってしまう。