報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“アンドロイドマスター”より、「敷島とアリスの因縁」

2014-02-10 20:12:23 | 日記
[3月1日 09:00.仙台市内の敷島のマンション 敷島孝夫、アリス・フォレスト、エミリー]

「What’s?シキシマ、どこか出掛けるの?」
「ああ。ちょっとね。アリスはここにいていいよ。雪降ってるし」
「なーに言ってるの。まだアタシ、この町のことよく知らないんだから、一緒に行くよ」
「……まあ、勝手にするさ」

[同日 10:00.JR仙台駅仙山線ホーム 敷島、アリス、エミリー]

〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。8番線に停車中の列車は、10時5分発、普通、愛子(あやし)行きです。発車まで、しばらくお待ち願います〕
 小雪が舞う中、首都圏のJR駅でも流れる言い回しの放送がホームに響く中、3人は電車に乗り込んだ。
 空いているボックスシートに座った。
「どこまで行くの?」
「葛岡だよ、葛岡」
「うーん……。仙台市内から出るほど遠いわけではないようね……」
「エミリーをGPS代わりにしない」
 アリスはエミリーの左耳に端子を接続し、手持ちのタブレットPCに差し込んだ。
「東北福祉大学……ではなさそうね。アタシのジャンルと違う」
「だったら、東北福祉大前で降りればいいだろ」

 電車は時刻通りに発車した。

〔今日も、JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は仙山線、普通、愛子行きです。(中略)次は、東照宮です〕

 首都圏の中距離電車と同じ声優、言い回しの自動放送が車内に流れる。
「一体、何の基地なの?軍事施設とか?」
「は???」
 敷島はアリスの質問に素っ頓狂な声を上げた。
「財団が何かの秘密研究をしているラボのある基地とか……?」
「何の話???」
「いや、だってホラ、Google mapに基地って書いてあるよ?」
 アリスはタブレットPCを見せた。そこには葛岡駅周辺の地図が出ている。アリスが指さした所には……。
「基地じゃない!墓地だ!」
「Oh!……漢字って難しいね」
「無理せず、英語版使えばいいだろ。英語版なら間違いない」
「もう使ってるよ。このタブレットのサイズ……」
「A5版とは言ってねぇ!」

[同日10:23.JR葛岡駅 敷島、アリス、エミリー]

〔まもなく葛岡、葛岡。お出口は、左側です〕

 線路脇に雪がうず高く積もっている。
 電車は一面一線だけのホームに停車した。
 仙台市内でも屈指の大規模霊園ということもあって、お盆やお彼岸は多くの墓参客で賑わうが、そうでない日は閑散としている。
 ここで電車を降りると、階段を下った。高架駅ではないが、元々この区間は高台を走行するので、駅舎が台地の下にある。
「誰かの墓参りなの?」
「そうだよ」
 敷島は何を言ってるんだという顔をした。

[同日11:00.仙台市葛岡霊園 敷島、アリス、エミリー]

 その墓は何の変哲も無い佇まいだった。ただ、その墓には『敷島家之墓』と書かれていた。
「ドクター南里の墓参りでは無かったのね」
「所長の墓はここには無いし、今日が命日じゃないし」
「敷島さんの・ご家族の・お墓です」
 エミリーが代わりに言った。
「ふーん……。グランパかグランマの?」
「違う違う」
 敷島は首を横に振った。
「敷島さんの・ご両親と・ご兄弟です」
「What’s!?」
「エミリー、余計なことは言わなくていいよ」
「なに?シキシマって……その……」
「今から10年前ね」
「10年前……ってことは、東日本大震災では無いのか」
「まあね。まあ、死因については秘密ってことで」
「フツーは事故か何かって思うけど?」
「まあ、そう思ってくれればいい」
 と、その時だった。
「あれ?敷島さん、やはりおいででしたか」
 そこへ現れたのは平賀と七海だった。
「平賀先生!どうしてここへ?」
「財団副理事として、ですよ」
「別に、結構ですのに……」
「いいからいいから。もう10年になるんですね」
「まあ、早いというか何というか……」
「何の話なの?」
 アリスが不思議そうな顔をした。
「さすがですね、敷島さん。当事者を連れてくるとは。アリス、ちゃんと墓前で謝ったか?」
「だから何の話よ?」
 アリスは訝しい顔をした。
「いや、いいんですよ、平賀先生。多分、アリスは知らないでしょうから」
「だったら、尚更知ってもらう必要があるんじゃないですか?」
「いえ、ですから、いいんですって」
「エミリー、一体どういうことなの?」
「ドクター・アリスは・バージョン2.0が・日本国内で・暴走した事件を・ご存じですか?」
「……?」
 アリスは首を傾げて肩を竦めた。
「バージョン2.0が・国内で暴走して・巻き添えに・なった人達に・多数の死傷者が・出ました」
「ああ、そうだったの。シキシマの家族は、バージョン2.0に……。ごめんなさいね。10年前って言ったら、じー様がアタシと一緒に日本を発つ頃だったから、置き土産に残したって話は聞いてた。アタシは放置プレイしていくものだと思ってたけど、そう……。暴走して、あんな事件を……」
「まあ、当の本人はもう死んでるからね、アリスも知らなかったんだから、しょうがないさ。バージョン2.0の詳細を知ったのも、南里研究所に出向してからしばらくの間だったし」
「じー様も抜けている所があったからね。廃棄処分にしたはずのバージョン2.0が動き出して、暴れ出すとは思わなかったらしいよ」
「全く。死んでからも迷惑な爺さんだ」
 平賀は憤慨した様子で言った。
「その恨みの矛先が、シンディに殺されたんだ。アリスの前で言うのも何だけど、自業自得だ。それで十分ですよ」
「敷島さんは人間ができてますなぁ……。自分なんか、南里先生を殺害したシンディ……つまり、それを命令したウィリーが憎くてしょうがないですよ」
「だから、アリスにその責任を取らせるのもどうかと思うんです。アリスはそのことを知らなかったんですから」
「シンディが裏で汚れ役をやっているんだろうというのは、何となく分かった。だけど、まさかドクター南里まで殺すとは思ってなかったよ」

[同日12:30.仙台市内のファミレス 敷島、アリス、エミリー、平賀、七海]

「まあまあ、昼食にしましょう」
 敷島達は平賀の車に便乗して、街中まで戻ってきた。
「アタシも大きくなるにつれて、じー様のテロリズムはおかしいとは思ってたの。だけど養護施設から拾ってくれて、大学まで行かせてくれた恩があるから、とても言えなくて……」
「普通なら、『言い訳がましいこと言うな』と反論する所だけども、一応はそうだな」
 平賀は頷いた。
「一応、キミが復讐の為に敷島さんを狙っていた時、少なくとも1人の死者も出していない」
「アタシの場合は正直、個人的な恨みだったからね。その為に死者を出してもいいってんじゃ、じー様のテロリズムと同じだと思ったから」
「随分と計算ずくの行動だったな」
「もちろん。じー様の為に色んな勉強をしてきて博士号まで取ったけど、それでもじー様には近づけないと思ったね」
「どういう所が?」
「アタシが子供の頃、過ごしていた養護施設はキリスト教会がやっていた所でね、一応はアタシも洗礼は受けているのよ」
「まあ、アメリカの国教みたいなものだからね」
 しかしアリスは熱心な信者というわけではないようだ。食事前にお祈りをすることもなければ、別に教会のミサに行くわけでもない。
「『宗教テロを無くす為には、神をも抹殺する科学の発達が必要だ』って言ってたから」
「なるほど。変わった御仁だ」
「それを信仰している人間の方に問題があるのにね」
「すると、アリスにはミドルネームがあったんだ」
「そうね。もう忘れたけど」
「10年前のことだから、敷島さんは25歳でしたか」
「ちょうど会社の……大日本電機の研修で海外に行ってて、難を逃れました。見たこともないロボットが大暴れして大変なことになったとニュースで知りましたが、それがまさかうちの実家だったとは……」
「1ヶ所に固めると居場所が知られるからって、じー様は全国に散らしたの。たまたまこの町に散らばった個体が、暴走したってことね。じー様も首を捻ってたわ」
「自分が魔改造したからだろ。どうせ」
「これは学会でも話題になってるんですが、バージョン2.0というのはそんなにバリエーションが無いそうです。そうだな、アリス?」
「うん。バージョン3.0を作る為の“繋ぎ”みたいなものだったから。本当は2.0で完成体にしたかったらしいんだけど、色々と欠陥が見つかってね。結局、じー様の中じゃ失敗作扱いよ」
「だからって日本に捨てて行かれても困るな。おかげで、多数の死傷者を出したんだから」
「3.0でも満足できず、やっと4.0で完成体か」
「まだまだ。5.0よ。でも、マリオとルイージのことじゃないの」
「えっ?」
「じー様が作りたかったのは、実は試作機の方だったのね」
「ああ。そういえばそっちの方が、よっぽどテロ用ロボットだったな」
「マリオとルイージは、アタシのオリジナル。多分、じー様が見たらズッコケるわよ」
「正式名が“Bersion 5.0 Alice Original Version.”だもんね」
「学会ではバージョン5.5とか呼んでる学者もいる」
「旧式も旧式の2.0で、あんなテロができるんだから凄いよ」
「まあホント、じー様が申し訳ないことしたね。孫娘として謝らないとね」
「もういいから。それよりアリスは、どうしてその2.0が暴走したか分からないかい?」
「作った本人のじー様が首傾げてたくらいだからねぇ……。その暴走したヤツは、この世に無いんでしょう?」
「自衛隊が出動して、やっと破壊したくらいだからね。今は保存もされていないはずだ」
「残ってたら、調べてやれるんだけど……」
「一応、財団に問い合わせてみよう」
「そうしてくれる?このままじゃ、アタシも収まりつかないから。せめて、暴走した原因くらいは突き止めてあげるわ」
 その後、とんでもない事実が発覚することになろうとは、この時は思いもしなかったのである。

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 アリスが「基地」と「墓地」でボケをかましているが、実は作者の私も、小学生の時はよく勘違いしていた。アリスと敷島のやり取りは、実は20年以上前の私と両親のやり取りが元ネタである。
 当時は漢字関係で、国語の成績はそんなに良くなかったものだ。

 それと敷島家の墓が葛岡霊園だということに対して、特にモデルは無い。アリスが便宜上とはいえクリスチャンということした為、市営の共同墓地にしただけである。
 続編では平賀も敷島も、日蓮正宗信徒という設定は無い。
コメント (2)
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本日の動向

2014-02-10 15:56:25 | 日記
 今日は秋葉原に行ってきた。無論、2次元関係である。いとす氏と休みが同じなので、合わせてやってきた。
 やはり趣味が同じ者同士であれば、心強いことこの上ない。
 鉄ヲタ仲間ともかつては“青春18”や“大回りの旅”などで盛り上がったものだが、今ではほとんど下火になってしまっている。
 平日の昼間であっても、私のようなヲタは秋葉原に押し寄せる。……のだが、どちらかというと外国人の方が多いような……。
 電気街は特定アジアとの関係が冷えているせいか、そちら系よりも白人の観光客が多かった。アリス・フォレストのような理系美女はなかなかいないか。
 いとす氏は、あくまでアイドルマスターと“のんのんびより”関係が目的だったようだが、私もつられてCDを購入。またもや、iPodの中身が増えそうだ。
 その後ラノベの棚を物色するも、とある新装版かつハードカバーの作品に食指を動かされたが、旧版を既に所有しているため、マーラを撃退することにした。
 アニメイトでもらった“きゃらびぃ”の中に、食指を動かされるものがあったので、改めて訪れることにしよう。
 東方ボーカルは、ちょっと分からんな……。東方ボーカルとは東方Project内で使用されている楽曲をアレンジして、それに歌詞を付けて歌ったものなんだけどね、音楽(原曲)から入った私も少しは分かるつもりでいたが、原曲全部知ってるわけじゃないしなぁ……。
 “牛に引かれて善光寺参り”という曲に、日蓮正宗愛唱歌“地涌讃徳”の歌詞を合わせるとピッタリというのはだいぶ前にも述べたが、いかんせん原曲のタイトルが既に謗法なので、【お察しください】。
 東方Projectファンの中で、ゲーム派と音楽派が対立しているらしい。その音楽派の中でも、原曲派とアレンジ派で別れているらしい。私は基本前者だが、ちゃんと原曲の面影を残した上で、歌詞を付けて歌ってほしい。少なくとも聴いている限りでは、歌詞や歌い手が下手というのは無いようなので。
 あ、因みに東方Projectって言うのは、同人系シューティングゲームのことである。なもんで、ゲーム購入はアニメイトなどの専門店か、ネットでということになり、一般販売はされていない。音楽もなかなかレベルが高いので、私はそれで興味を持ったんだけどね。白状するとアイマスやボカロもそうだったりする。

 いとす氏がタブレットPCに興味があるということで、ヨドバシ・アキバに立ち寄ってみる。ここでは、意外と特定アジアの客が多かったな。
 ああ、そうそう。アンサイクロペディアのニュースに、『ネトウヨ、都知事選惨敗』とか書かれてたな。アンサイクロペディアでは田母神俊雄氏は、ネトウヨ扱いされているらしい。
 私も都民だったら田母神氏に投票していたかもしれんが、あいにくと埼玉県民なので。
 いいのか?舛添氏も在日だという噂だぞ?埼玉県民の私はしーらないっと。
 いとす氏がタブレットPCに興味を持ったのは、外でも“艦隊これくしょん”をやるためらしい。スマホでは対応していないらしく、要はiPadやAndroidではできないかららしいんだな。やはり、2次元モード全開なのであった。

 JR宇都宮線で帰宅。さいたま新都心や大宮くらいまでならロングシートで寝ているのだが、BGMが東方Projectなのでたまにはボックスシートに座ってみた。座る向きが違うだけで、随分と雰囲気が違うものだ。3ドアの211系と違って必ずボックスシートを狙えるE231系やE233系はいいのだが、数が少ないので、本当に狙いうちしないと着席できないかもしれない(高崎線・宇都宮線の211系は付属の5両編成にしかボックスシートが無く、それとて全部ロングシートの車両もある。両者は完全共通運用なので、完全に狙えない)。
 帰り際、ついでに散髪してきた。頭はスッキリして、制帽も被りやすくなったが、その代わり寒いのなんの。
 弊社の制帽は夏用と冬用に別れているが、周りがメッシュになっているか否かの違いなだけなので、特に冬用を被っているからといって暖かいというわけでもない。失敗したか?まあ、私の今のお寺の紹介者も、結構刈り込んでるからな……。私と違って、普通のサラリーマンなのに。

 2次元にどっぷり浸かったことだし、明日から仕事頑張ろう。
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