[2月11日11:02.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]
愛原:「! やべっ、寝坊した!遅刻だ!!」
私は慌てて飛び起きた。
着替える前に、取りあえず部屋の外に飛び出す。
リサ:「きゃっ!?」
ドアの前に立っていたリサがびっくりして飛び上がった。
愛原:「り、リサ、悪い!……あ、あれ?オマ、学校は?」
リサ:「今日休みだよ?建国記念日とかで」
愛原:「あ……!」
私は咄嗟にカレンダーを見た。
確かに数字が赤くなっている。
そ、そうか!今日は祝日だった。
ということは、事務所は休みだ。
役人である善場主任達も、国家行事的な祝日であれば休みだろう。
慌てて事務所に行く必要も無いし、そもそも開ける必要が無いわけだ。
高野君への面会も、祝日では認められないし。
愛原:「それにしても、起こしてくれても……」
リサ:「だってお兄ちゃんが、『先生はお疲れだ。ゆっくり休日を満喫させてあげるんだ』って……」
愛原:「そりゃま、その気遣いは嬉しいけど……。で、高橋は?」
リサ:「サイトーのメイドさんとデート」
愛原:「斉藤さんは?」
リサ:「『今日は重い日だからゴメンね』だって」
斉藤さん、生理中か。
愛原:「リサは重い日は無いのか?」
リサ:「あるけど、皆よりかは軽いみたい」
それが元々人間だった頃からの体質なのか、或いは今はBOWだからなのかは分からない。
ただリサの場合、初潮が始まる前には既に体を改造されていたから、そこの所は分かっていない。
検査の結果、卵巣はあるし、排卵もちゃんとあるとのことだが……。
愛原:「そうか。じゃあ、俺はもう起きるよ」
リサ:「お昼は何にする?」
愛原:「リサは朝、なに食べた?」
リサ:「BLTサンド」
愛原:「サンドイッチか。昼は……そうだな。外で食べるか」
リサ:「行こう行こう」
私は取りあえず、顔を洗いに行った。
[同日11:30.天候:晴 同地区 珈琲館菊川店]
顔を洗って着替えると、それから部屋の外に出た。
リサ:「風が強いねぇ……」
愛原:「春一番かもしれんな。スカート気をつけろよ」
リサ:「大丈夫。下スパッツ穿いてるから」
リサは少しスカートを捲くって見せた。
確かにそこから黒いスパッツがチラッと見えた。
愛原:「最近は高野君の指導を守るようになってきたな」
リサ:「うーん……。学校じゃ、皆がそうしているからって感じ?」
愛原:「学校で学ぶ“同調圧力”か……」
マンションの外に出て、それから駅前のカフェに向かう。
愛原:「それにしても、高橋と霧崎さんはどこに行ったのやら……」
リサ:「またアキバじゃない?」
愛原:「若いカップルが、揃いも揃ってミリタリーショップとは……」
店に入ってテーブル席に座る。
愛原:「遠慮しないで好きな物頼めよー」
リサ:「分かった」
愛原:「えーと……俺はビーフカレーランチセットにしよう」
リサ:「朝カレー?」
愛原:「俺にとってはな。リサは?」
リサ:「ハウスサンドランチセット」
愛原:「ん?朝もサンドイッチだったんじゃないのか?」
リサ:「うん。だから、今度はこの玉子の入ったサンドイッチ」
愛原:「そうか。まあ、リサがいいならいいや。すいませーん」
私は店員を呼んで注文した。
リサ:「最近、仕事無いの?」
愛原:「いきなりだな。バイオテロ絡みは話が大きくなったもんだから、少し膠着状態なんだ。海外のテロ組織にまで話が及んだんじゃなぁ……」
まだ日本アンブレラの中の話なら、それは国内企業なのでまだ良かったのだが……。
宗教テロ組織ヴェルトロは、地中海周辺を拠点にしていた組織だから、なかなか手を出せないのだ。
しかもその残党が日本にいるという証拠でもあればいいのだが、私がたまたまガスマスクの男を見たというだけで、まだ確固たる証拠が無い。
愛原:「せめて『1番』が動いてくれればいいんだがな……」
リサ:「ねー。『1番』がどこにいるか分かんないよね」
愛原:「あとは漁港で会った『220番』の正体だ。リサの亜種だってことは分かってるんだが、詳細が全く分からん」
リサ:「私の劣化版。あいつは弱かった」
愛原:「だろうなぁ……。それとも、もう一度霧生市に行けば分かるのかな?」
リサ:「今度こそ『1番』がそこにいたりしてね」
愛原:「そうだなぁ……。リサは何か心当たりがあるのか?」
リサ:「全然」
愛原:「そうかぁ……」
リサ:「『1番』は臆病みたいだから、命令でもされないと出て来ないと思う」
愛原:「なるほど。そうか」
向こうから出てくるのを待つか、何としても居場所を見つけて、こちらから乗り込むかのどちらかってことになるか。
後者は現実的ではないな。
仮に居場所を特定したとしても、民間の探偵業者としては、それをクライアント、つまり善場主任に報告するところまでしかできない。
善場主任はそれを精査してBSAAに伝え、あとはBSAAが突入するといったところか。
リサ:「それより先生。卒業式は来てくれるの?」
愛原:「ああ。行くよ。珍しいな。いくら三密対策とはいえ、卒業式を2日に分けて行うなんて」
完全中高一貫校では中等部における卒業式を行わない学校もある(修了式を行う所はある)。
しかし併設型中高一貫校である東京中央学園では中等部卒業後、別の高校へ行く者もいるので、一応の卒業式はある。
そもそも、中等部の校舎と高等部の校舎が全く別の場所にあるので。
これは東京中央学園の中等部設立は、かなり後になってからのことであるからだそうだ。
リサ:「今年初めてらしいよ。1組から4組までが初日で、5組から8組までが2日目なんだって」
愛原:「するとリサは3組だから初日組か」
リサ:「うん、そう」
保護者の参加も生徒1人につき1人までとされ、参加できない保護者の為にオンラインでも参加できるようにするという。
つまり、リモート卒業式だ。
愛原:「この辺は私立だからか、結構自由にできるな」
リサ:「うん、そうだね」
愛原:「ということは、あれか?高等部の入学式も2日に分けるのか?」
リサ:「どうだろうね。高等部の方が生徒数が多いから、3日くらいに分けないとってサイトーが言ってた」
愛原:「それだと学校側は大変だな」
入学式こそ完全リモートになったりしてな。
あとは無観客……もとい、無保護者入学式とか?
愛原:「まあ、多分、卒業式だの入学式だのやる頃には緊急事態宣言も解除されてると思うけどね」
リサ:「だといいねぇ……」
その後注文されてきた料理が運ばれ、私達は昼食にありついた。
愛原:「! やべっ、寝坊した!遅刻だ!!」
私は慌てて飛び起きた。
着替える前に、取りあえず部屋の外に飛び出す。
リサ:「きゃっ!?」
ドアの前に立っていたリサがびっくりして飛び上がった。
愛原:「り、リサ、悪い!……あ、あれ?オマ、学校は?」
リサ:「今日休みだよ?建国記念日とかで」
愛原:「あ……!」
私は咄嗟にカレンダーを見た。
確かに数字が赤くなっている。
そ、そうか!今日は祝日だった。
ということは、事務所は休みだ。
役人である善場主任達も、国家行事的な祝日であれば休みだろう。
慌てて事務所に行く必要も無いし、そもそも開ける必要が無いわけだ。
高野君への面会も、祝日では認められないし。
愛原:「それにしても、起こしてくれても……」
リサ:「だってお兄ちゃんが、『先生はお疲れだ。ゆっくり休日を満喫させてあげるんだ』って……」
愛原:「そりゃま、その気遣いは嬉しいけど……。で、高橋は?」
リサ:「サイトーのメイドさんとデート」
愛原:「斉藤さんは?」
リサ:「『今日は重い日だからゴメンね』だって」
斉藤さん、生理中か。
愛原:「リサは重い日は無いのか?」
リサ:「あるけど、皆よりかは軽いみたい」
それが元々人間だった頃からの体質なのか、或いは今はBOWだからなのかは分からない。
ただリサの場合、初潮が始まる前には既に体を改造されていたから、そこの所は分かっていない。
検査の結果、卵巣はあるし、排卵もちゃんとあるとのことだが……。
愛原:「そうか。じゃあ、俺はもう起きるよ」
リサ:「お昼は何にする?」
愛原:「リサは朝、なに食べた?」
リサ:「BLTサンド」
愛原:「サンドイッチか。昼は……そうだな。外で食べるか」
リサ:「行こう行こう」
私は取りあえず、顔を洗いに行った。
[同日11:30.天候:晴 同地区 珈琲館菊川店]
顔を洗って着替えると、それから部屋の外に出た。
リサ:「風が強いねぇ……」
愛原:「春一番かもしれんな。スカート気をつけろよ」
リサ:「大丈夫。下スパッツ穿いてるから」
リサは少しスカートを捲くって見せた。
確かにそこから黒いスパッツがチラッと見えた。
愛原:「最近は高野君の指導を守るようになってきたな」
リサ:「うーん……。学校じゃ、皆がそうしているからって感じ?」
愛原:「学校で学ぶ“同調圧力”か……」
マンションの外に出て、それから駅前のカフェに向かう。
愛原:「それにしても、高橋と霧崎さんはどこに行ったのやら……」
リサ:「またアキバじゃない?」
愛原:「若いカップルが、揃いも揃ってミリタリーショップとは……」
店に入ってテーブル席に座る。
愛原:「遠慮しないで好きな物頼めよー」
リサ:「分かった」
愛原:「えーと……俺はビーフカレーランチセットにしよう」
リサ:「朝カレー?」
愛原:「俺にとってはな。リサは?」
リサ:「ハウスサンドランチセット」
愛原:「ん?朝もサンドイッチだったんじゃないのか?」
リサ:「うん。だから、今度はこの玉子の入ったサンドイッチ」
愛原:「そうか。まあ、リサがいいならいいや。すいませーん」
私は店員を呼んで注文した。
リサ:「最近、仕事無いの?」
愛原:「いきなりだな。バイオテロ絡みは話が大きくなったもんだから、少し膠着状態なんだ。海外のテロ組織にまで話が及んだんじゃなぁ……」
まだ日本アンブレラの中の話なら、それは国内企業なのでまだ良かったのだが……。
宗教テロ組織ヴェルトロは、地中海周辺を拠点にしていた組織だから、なかなか手を出せないのだ。
しかもその残党が日本にいるという証拠でもあればいいのだが、私がたまたまガスマスクの男を見たというだけで、まだ確固たる証拠が無い。
愛原:「せめて『1番』が動いてくれればいいんだがな……」
リサ:「ねー。『1番』がどこにいるか分かんないよね」
愛原:「あとは漁港で会った『220番』の正体だ。リサの亜種だってことは分かってるんだが、詳細が全く分からん」
リサ:「私の劣化版。あいつは弱かった」
愛原:「だろうなぁ……。それとも、もう一度霧生市に行けば分かるのかな?」
リサ:「今度こそ『1番』がそこにいたりしてね」
愛原:「そうだなぁ……。リサは何か心当たりがあるのか?」
リサ:「全然」
愛原:「そうかぁ……」
リサ:「『1番』は臆病みたいだから、命令でもされないと出て来ないと思う」
愛原:「なるほど。そうか」
向こうから出てくるのを待つか、何としても居場所を見つけて、こちらから乗り込むかのどちらかってことになるか。
後者は現実的ではないな。
仮に居場所を特定したとしても、民間の探偵業者としては、それをクライアント、つまり善場主任に報告するところまでしかできない。
善場主任はそれを精査してBSAAに伝え、あとはBSAAが突入するといったところか。
リサ:「それより先生。卒業式は来てくれるの?」
愛原:「ああ。行くよ。珍しいな。いくら三密対策とはいえ、卒業式を2日に分けて行うなんて」
完全中高一貫校では中等部における卒業式を行わない学校もある(修了式を行う所はある)。
しかし併設型中高一貫校である東京中央学園では中等部卒業後、別の高校へ行く者もいるので、一応の卒業式はある。
そもそも、中等部の校舎と高等部の校舎が全く別の場所にあるので。
これは東京中央学園の中等部設立は、かなり後になってからのことであるからだそうだ。
リサ:「今年初めてらしいよ。1組から4組までが初日で、5組から8組までが2日目なんだって」
愛原:「するとリサは3組だから初日組か」
リサ:「うん、そう」
保護者の参加も生徒1人につき1人までとされ、参加できない保護者の為にオンラインでも参加できるようにするという。
つまり、リモート卒業式だ。
愛原:「この辺は私立だからか、結構自由にできるな」
リサ:「うん、そうだね」
愛原:「ということは、あれか?高等部の入学式も2日に分けるのか?」
リサ:「どうだろうね。高等部の方が生徒数が多いから、3日くらいに分けないとってサイトーが言ってた」
愛原:「それだと学校側は大変だな」
入学式こそ完全リモートになったりしてな。
あとは無観客……もとい、無保護者入学式とか?
愛原:「まあ、多分、卒業式だの入学式だのやる頃には緊急事態宣言も解除されてると思うけどね」
リサ:「だといいねぇ……」
その後注文されてきた料理が運ばれ、私達は昼食にありついた。