[1月10日19:00.東京中央学園上野高校・教育資料館(旧校舎)2F女子トイレ]
ここからはリサをプレイヤーキャラとしよう。
つまり、リサ視点で物語が進む。
リサは先頭を行く高橋の後ろを付いていた。
その後ろには、栗原蓮華が日本刀をいつでも抜けるように持って付いてくる。
また、リサは自分の白い仮面を着けた。
高橋:「ここだな」
女子トイレには個室が5つあった。
天井からぶら下がった蛍光灯が煌々とトイレの中を照らしている。
しかし、古い校舎のトイレの照明だ。
新しいビルのトイレのそれと比べれば、明らかに照度は足りなかった。
高橋:「何だ。誰もいねーじゃねーか」
リサ:「いや……そんなことない。何かいる」
蓮華:「この学校に伝わる“花子さん”の呼び出し方にはコツがあるの」
リサ:「“花子さんは”奥から2番目の個室にいるが、たまに気まぐれで他の個室にいることもある。でも、基本的には奥から2番目。そのドアを3回ノックする。すると、向こうからもノックが返って来る。だけど、ドアには鍵が掛かっていない。思い切って開けてみると、中には誰もいない。ドアを閉めると、また向こう側からノックがしてくる。だけど、また開けるとやっぱり誰もいない。そこで天井を見上げると……いる!」
蓮華:「うん、そうだね。よく知ってるね。中等部でも有名なの?」
リサ:「違う。研究所で、そうしろって言われたの。……うっ!」
リサに再びフラッシュバックと激しい頭痛が襲った。
フラッシュバックには、口から下しか分からない男の姿があった。
リサに“花子さん”に扮して人間を襲うように命令した男だ。
リサ:「白井……伝三郎……!」
リサの脳裏に一瞬だけ、口から上の顔が映る。
だが、逆光のせいで顔がはっきり見えない。
男の名前は思い出せた。
白井伝三郎と。
リサ:「日本版リサ・トレヴァーの開発責任者……白井……伝三郎……」
愛原:「何だって!?」
斉藤:「やはり噂は本当だったか!」
リサがそんなことを話しているうちに、高橋は奥から2番目以外のドアを全て開けてしまった。
高橋:「他には誰もいないぜ。この個室に誰もいなかったら……誰がこのトイレの電気を点けたんだろうな?」
高橋はマグナム44を取り出した。
栗原蓮華もスラッと日本刀を抜いた。
高橋:「ノックはしねぇ。いるかいねぇかだ」
蓮華:「いや、ノックはしようよ!?」
高橋:「うるせっ!」
高橋はドアを思いっ切り開けた。
開けると同時に、マグナムを構える。
だが、個室内には誰もいなかった。
あるのは、ポッカリと穴を開けた汲み取り式の和式便器があるのみ。
坂上:「うわなにをするやめr……!」
突然、トイレの外で待っていた坂上が叫び声を上げた。
愛原:「坂上先生!?」
愛原がトイレの外に飛び出すが、坂上の姿は無かった。
愛原:「わぁっ?!何だ!?」
そして愛原の叫び声がした。
斉藤:「愛原さん!?どうしました!?」
リサ:「ダメっ!おじさん!外に出ちゃダメ!」
斉藤:「わあっ!?」
斉藤の叫び声がして、それからトイレの外は静かになった。
そして、ゆっくりとトイレのドアが勝手に閉まる。
???:「くすくす……」
リサ:「!?」
その時、トイレの中で笑い声がした。
声のした方を見ると、いつの間にいたのだろう?
奥から2番目の個室に、セーラー服を着て白い仮面を着けたおかっぱ頭の少女が立っていた。
体格はリサと大して変わらない。
そのセーラー服は東京中央学園の旧制服であった。
白を基調とした夏服である。
リサが研究所にいた頃に無理やり着せられたセーラー服とよく似ていた。
高橋:「出やがったな、化け物!」
高橋は“トイレの花子さん”と思しき者にマグナムを発砲した。
だが、それは“花子さん”の前でボトッと落ちた。
高橋:「あ?は???」
高橋は何が起きたのか分からず、もう1度発砲した。
確かにマグナムは大型拳銃のドゴン!という発砲音と共に、大きな弾が“花子さん”に向かって飛んで行った。
だが、“花子さん”に当たる直前、急に威力が削がれたかのようにボトッと落ちてしまうのである。
高橋:「な、何がどうなってんだ!?」
高橋は硬直する他無かった。
高橋:「うわっ!?」
その高橋が、まるで彼だけ引力が逆転したかのように、天井に向かって叩き付けられた。
そのまま天井に磔のように状態になる。
蓮華:「家に代々伝わる退魔の刀だよ。でやぁーっ!」
蓮華はその刀を構えて、“花子さん”に振り下ろそうとした。
だが、蓮華もまた引力が逆転したかのように天井に叩き付けられる。
リサ:「な、なに……これ?……ちょ、超能力なの……?」
リサはリサ・トレヴァーになって、初めて死の恐怖に襲われた。
もちろん変化すれば勝てるのかもしれない。
だが、勝てる気がしなかった。
花子さん?:「私と同じ仮面を着ける者よ。お前は、この者達を助けたいか?」
少女とは思えない太い声が仮面の中から聞こえて来た。
太い声といっても、男の声というわけではない。
女の声をスロー再生した時に聞こえるような感じであった。
リサ:「た、助けて欲しいに決まってるじゃない!何でそんなことを聞くの!?」
すると仮面の少女は、仮面の向こうでニヤリと笑ったような気がした。
そして……。
花子さん?:「ダメだ」
そう言って右手を大きく挙げる。
そして開いていた手をギュッと握った。
高橋:「うぉぉぉぉっ!?何だこれは!?何だこれはーっ!?」
蓮華:「くっ……!放せ……!放せ……!」
まるで天井が底なし沼になったかのように、2人の体はズプズプと天井の向こうに飲み込まれて行った。
リサ:「い……一体……何なの、あなた?」
花子さん?:「それはこっちのセリフよ。どうしてあなたは、私と同じ仮面を着けているの?見たところ、『生きている人間』のようだけど、しかし今の連中とは違うみたい」
今度は花子さん(と思われる少女)は、電話の向こうから聞こえてくる10代の少女の声のようになった。
リサ:「私は愛原リサ。確かに、今はただの人間じゃない。白井伝三郎達、アンブレラの研究員達に体をいじくり回されて、今は化け物になっているの。あなたは?どうしてこんなことをしたの?」
花子さん?:「私は……そうね。あなたは、このトイレに“花子さん”がいると聞いて来たんでしょう?結論から言うと、それは確かに私のこと」
リサ:「!」
花子さん?:「どうしてこんなことをしたのか、ですって?……そうね。知りたかったら、私の質問に答えて。正直に答えてくれたら、私のことを話してもいいよ。あなたの態度が良かったら、今の人達も解放してあげる」
リサ:「殺してないの!?」
花子さん?:「今はね。……そうそう。私ね、あなたの心が読めるから。今、自分が化け物だって言ったよね?で、今化け物になって、私を襲おうとしたでしょ?そんなことしても無駄よ」
突然、リサも天井に叩き付けられた。
まるで見えない何かに押さえつけられているかのように、全く身動きができない。
しかし、花子さんはすぐにリサをまた床に下ろした。
花子さん?:「これで分かったでしょ?あなたは自分の強さに自信があるみたいだけど、私はそれを封じることができる。はっきり言って今、生殺与奪の権を握っているのは私。それを忘れないでね」
リサ:「……分かった」
リサは従うしか無かった。
どう見ても今、かなり自分は不利な状況に置かれている。
もしかしたら、見えない何かの力で自分の首をねじり切ることも可能かもしれない。
いかに上級BOWと言えども、そんなことをされれば死ぬ。
リサは肩を落として、花子さん?の指示に従うことにした。
ここからはリサをプレイヤーキャラとしよう。
つまり、リサ視点で物語が進む。
リサは先頭を行く高橋の後ろを付いていた。
その後ろには、栗原蓮華が日本刀をいつでも抜けるように持って付いてくる。
また、リサは自分の白い仮面を着けた。
高橋:「ここだな」
女子トイレには個室が5つあった。
天井からぶら下がった蛍光灯が煌々とトイレの中を照らしている。
しかし、古い校舎のトイレの照明だ。
新しいビルのトイレのそれと比べれば、明らかに照度は足りなかった。
高橋:「何だ。誰もいねーじゃねーか」
リサ:「いや……そんなことない。何かいる」
蓮華:「この学校に伝わる“花子さん”の呼び出し方にはコツがあるの」
リサ:「“花子さんは”奥から2番目の個室にいるが、たまに気まぐれで他の個室にいることもある。でも、基本的には奥から2番目。そのドアを3回ノックする。すると、向こうからもノックが返って来る。だけど、ドアには鍵が掛かっていない。思い切って開けてみると、中には誰もいない。ドアを閉めると、また向こう側からノックがしてくる。だけど、また開けるとやっぱり誰もいない。そこで天井を見上げると……いる!」
蓮華:「うん、そうだね。よく知ってるね。中等部でも有名なの?」
リサ:「違う。研究所で、そうしろって言われたの。……うっ!」
リサに再びフラッシュバックと激しい頭痛が襲った。
フラッシュバックには、口から下しか分からない男の姿があった。
リサに“花子さん”に扮して人間を襲うように命令した男だ。
リサ:「白井……伝三郎……!」
リサの脳裏に一瞬だけ、口から上の顔が映る。
だが、逆光のせいで顔がはっきり見えない。
男の名前は思い出せた。
白井伝三郎と。
リサ:「日本版リサ・トレヴァーの開発責任者……白井……伝三郎……」
愛原:「何だって!?」
斉藤:「やはり噂は本当だったか!」
リサがそんなことを話しているうちに、高橋は奥から2番目以外のドアを全て開けてしまった。
高橋:「他には誰もいないぜ。この個室に誰もいなかったら……誰がこのトイレの電気を点けたんだろうな?」
高橋はマグナム44を取り出した。
栗原蓮華もスラッと日本刀を抜いた。
高橋:「ノックはしねぇ。いるかいねぇかだ」
蓮華:「いや、ノックはしようよ!?」
高橋:「うるせっ!」
高橋はドアを思いっ切り開けた。
開けると同時に、マグナムを構える。
だが、個室内には誰もいなかった。
あるのは、ポッカリと穴を開けた汲み取り式の和式便器があるのみ。
坂上:「うわなにをするやめr……!」
突然、トイレの外で待っていた坂上が叫び声を上げた。
愛原:「坂上先生!?」
愛原がトイレの外に飛び出すが、坂上の姿は無かった。
愛原:「わぁっ?!何だ!?」
そして愛原の叫び声がした。
斉藤:「愛原さん!?どうしました!?」
リサ:「ダメっ!おじさん!外に出ちゃダメ!」
斉藤:「わあっ!?」
斉藤の叫び声がして、それからトイレの外は静かになった。
そして、ゆっくりとトイレのドアが勝手に閉まる。
???:「くすくす……」
リサ:「!?」
その時、トイレの中で笑い声がした。
声のした方を見ると、いつの間にいたのだろう?
奥から2番目の個室に、セーラー服を着て白い仮面を着けたおかっぱ頭の少女が立っていた。
体格はリサと大して変わらない。
そのセーラー服は東京中央学園の旧制服であった。
白を基調とした夏服である。
リサが研究所にいた頃に無理やり着せられたセーラー服とよく似ていた。
高橋:「出やがったな、化け物!」
高橋は“トイレの花子さん”と思しき者にマグナムを発砲した。
だが、それは“花子さん”の前でボトッと落ちた。
高橋:「あ?は???」
高橋は何が起きたのか分からず、もう1度発砲した。
確かにマグナムは大型拳銃のドゴン!という発砲音と共に、大きな弾が“花子さん”に向かって飛んで行った。
だが、“花子さん”に当たる直前、急に威力が削がれたかのようにボトッと落ちてしまうのである。
高橋:「な、何がどうなってんだ!?」
高橋は硬直する他無かった。
高橋:「うわっ!?」
その高橋が、まるで彼だけ引力が逆転したかのように、天井に向かって叩き付けられた。
そのまま天井に磔のように状態になる。
蓮華:「家に代々伝わる退魔の刀だよ。でやぁーっ!」
蓮華はその刀を構えて、“花子さん”に振り下ろそうとした。
だが、蓮華もまた引力が逆転したかのように天井に叩き付けられる。
リサ:「な、なに……これ?……ちょ、超能力なの……?」
リサはリサ・トレヴァーになって、初めて死の恐怖に襲われた。
もちろん変化すれば勝てるのかもしれない。
だが、勝てる気がしなかった。
花子さん?:「私と同じ仮面を着ける者よ。お前は、この者達を助けたいか?」
少女とは思えない太い声が仮面の中から聞こえて来た。
太い声といっても、男の声というわけではない。
女の声をスロー再生した時に聞こえるような感じであった。
リサ:「た、助けて欲しいに決まってるじゃない!何でそんなことを聞くの!?」
すると仮面の少女は、仮面の向こうでニヤリと笑ったような気がした。
そして……。
花子さん?:「ダメだ」
そう言って右手を大きく挙げる。
そして開いていた手をギュッと握った。
高橋:「うぉぉぉぉっ!?何だこれは!?何だこれはーっ!?」
蓮華:「くっ……!放せ……!放せ……!」
まるで天井が底なし沼になったかのように、2人の体はズプズプと天井の向こうに飲み込まれて行った。
リサ:「い……一体……何なの、あなた?」
花子さん?:「それはこっちのセリフよ。どうしてあなたは、私と同じ仮面を着けているの?見たところ、『生きている人間』のようだけど、しかし今の連中とは違うみたい」
今度は花子さん(と思われる少女)は、電話の向こうから聞こえてくる10代の少女の声のようになった。
リサ:「私は愛原リサ。確かに、今はただの人間じゃない。白井伝三郎達、アンブレラの研究員達に体をいじくり回されて、今は化け物になっているの。あなたは?どうしてこんなことをしたの?」
花子さん?:「私は……そうね。あなたは、このトイレに“花子さん”がいると聞いて来たんでしょう?結論から言うと、それは確かに私のこと」
リサ:「!」
花子さん?:「どうしてこんなことをしたのか、ですって?……そうね。知りたかったら、私の質問に答えて。正直に答えてくれたら、私のことを話してもいいよ。あなたの態度が良かったら、今の人達も解放してあげる」
リサ:「殺してないの!?」
花子さん?:「今はね。……そうそう。私ね、あなたの心が読めるから。今、自分が化け物だって言ったよね?で、今化け物になって、私を襲おうとしたでしょ?そんなことしても無駄よ」
突然、リサも天井に叩き付けられた。
まるで見えない何かに押さえつけられているかのように、全く身動きができない。
しかし、花子さんはすぐにリサをまた床に下ろした。
花子さん?:「これで分かったでしょ?あなたは自分の強さに自信があるみたいだけど、私はそれを封じることができる。はっきり言って今、生殺与奪の権を握っているのは私。それを忘れないでね」
リサ:「……分かった」
リサは従うしか無かった。
どう見ても今、かなり自分は不利な状況に置かれている。
もしかしたら、見えない何かの力で自分の首をねじり切ることも可能かもしれない。
いかに上級BOWと言えども、そんなことをされれば死ぬ。
リサは肩を落として、花子さん?の指示に従うことにした。