[1月2日02:00.天候:雪 宮城県遠田郡美里町某所 愛原公一の家]
夕食は豪勢なすき焼きをたらふく食べたリサ。
風呂にも入って、ちょっとした民宿気分を味わった。
しかし、寝る所は1人。
いくらBOWとはいえ、見た目は15歳の女の子を愛原達と同じ部屋に泊まらせるわけにはいかないということで。
その代わりと言っては何だが、公一の飼い犬で柴犬(雄 3歳)のジョンが一緒に寝ていた。
さすがは野性の勘。
この家の中で、一番強い者が誰かを瞬時に把握し、それに媚びるという犬の習性である。
ジョン:「ウゥウ……!」
リサと同じ布団に入って丸くなっていたジョンだが、何かの気配を察知し、起き上がって唸り声を上げる。
リサ:「ウゥウ……!侵入者……アリ……!」
リサは第1形態に変化しており、やはり布団から出た。
寒さなど物ともしないBOWだからか、この真冬にTシャツと短パンでも全く寒さを感じなかった。
リサ:「家の外……?」
リサは右手だけでバキッと骨を鳴らすと、玄関の鍵を開けて、そっと外に出た。
外はシンシンと雪が積もっている。
リサ:「あれは……!」
母屋の隣にある車庫兼農機具小屋。
何故かその横に、工事現場などで見られる仮設トイレが置かれている。
使われていない為か、鍵が掛かっているらしい。
それを開けようとしている者がいた。
大きなガタイの男。
リサ:「……おい」
ジョン:「ワンッ!ワンワンワン!!」
タイラント:「!?」
それはタイラントだった。
リサを見て驚いている。
リサ:「何をしてるの?タイラント君?」
タイラント:(;゚Д゚)
まさかここに、上級BOWのリサ・トレヴァーがいるとは思ってもみなかったのだろう。
リサを見て、明らかに狼狽している。
命令されれば、ターゲットをどこまでも追い掛けて殺すことを平気でするというのに……。
タイラント:「……!」
タイラントは慌てて逃げ出した。
リサ:「待てっ!」
リサは後ろからタイラントに飛び掛かった。
長く鋭く伸ばした爪で、タイラントを引っ掻く。
如何に上級BOWであっても、それだけでタイラントを殺すことはできないが、タイラントはうつ伏せに転倒した。
ジョン:「ガウウウッ!!」
ジョンはそんなタイラントの頭に噛み付いた。
リサ:「ジョン!離れて!」
リサが命令すると、ジョンはタイラントの頭から離れた。
だが、それで良かった。
タイラントもまた大きな腕を振って、起き上がったからだ。
リサが命令していなければ、ジョンはその腕の直撃を受けて即死していただろう。
リサ:「何をしていたの!?誰の命令でやっていたの!?」
リサが詰問したが、タイラントは答えない。
それどころか……。
リサ:「な、なに!?」
上空からヘリコプターが舞い降りたかと思うと、そこから縄梯子が下ろされ、タイラントはそれに掴まった。
そして、ヘリコプターが一気に舞い上がる。
そのヘリコプターはダークグレーに塗装されていて、どこのヘリだか分からなかった。
しかし、ライトグレーに塗装されたBSAAや、ブルーに塗装された“青いアンブレラ”のヘリではないようだ。
リサ:「逃げられた。一体、何だっていうの?」
するとジョンが、さっきタイラントが倒れた場所に向かって、そこから何かを咥えて来た。
それはグレーのカードのようなもの。
表には赤いアンブレラのロゴマークが大きく描かれており、その中心には『JP』と書かれていた。
明らかに日本アンブレラ社のロゴマークである。
リサ:「後で先生に言わなきゃ……!」
[同日07:00.天候:晴 愛原公一の家]
愛原学:「何っ、タイラントだと!?」
リサ:「そうなの!」
リサは昨夜のことを起きて来た愛原学に話すと、カードを渡した。
学:「うーむ……。何か、カードキーのようなものに見えるな……」
公一:「ワシが解析しよう。機械ならある」
学:「都合良くそんなものがあるの?」
公一:「うむ。昔、大学の研究所のカードキーを紛失したことがあってな。それの偽造に……」
学:「退職したから時効ってわけじゃないと思うよ、それは」
高橋:「さすが先生の伯父さん……」
それから1時間ほどして、解析が終わった。
公一:「これはやはり、日本アンブレラのパスカードらしいぞ」
学:「この近くにあるの?」
公一:「いや、この近くではない。だが、日本アンブレラの施設であることは間違いない。具体的な場所まではこのカードのデータでは分からんが、『Onagawa』とか『Kinkazan』とかいう文字は出て来た」
学:「女川!?金華山!?」
公一:「恐らくはな。もしかすると、東日本大震災の復興のドサグサに紛れて、施設でも造ったのかもしれんな」
学:「でもその頃には、日本アンブレラは倒産していたよね?」
公一:「そうじゃ。しかし、あの倒産自体が計画倒産の茶番劇だとも言われておる。これ以上、アンブレラの悪事が露見せんようにな。資金はまだタップリある状態での計画倒産じゃ。しかも、震災の後で地価が大幅に下落した場所に設置する。地価の安い田舎や山奥に秘密の研究所を建てるのが、アメリカのアンブレラのやり方じゃった。それを現地法人たる日本アンブレラが真似ても、何らおかしいことはない」
学:「確かに、この前は日光にあったな……。学校施設の地下に造って、ものの見事に誤魔化すというやり方ね」
公一:「そしてそれとはまた別に、震災復興のドサグサということも有り得る」
学:「そういった意味では、福島第一原発付近もかなり怪しいことになるね」
公一:「まあな」
高橋:「先生、どうします?」
学:「どうせ明日までヒマなんだから、ちょっと行ってみるか。幸い、小牛田駅から石巻線一本で行ける」
高橋:「はい!」
リサは愛原達の会話を聞いていて疑問に思った。
リサ:(どうしてタイラント君が、あのトイレをこじ開けようとしていたのか……調べないの?)
リサはそのことについて愛原に指摘しようとしたが……。
高橋:「先生。このことを報告書にまとめて、正月休み明けに善場の姉ちゃんに出したら、びっくりしますぜ?」
学:「それもそうだな!上手く行けば報酬もバッチリ!」
公一:「おいおい。解析したのはワシじゃぞ?その暁には、ワシの功績も忘れんといてくれな?」
学:「へいへい」
高橋:「さすが先生の伯父貴っス!」
リサ:「…………」
夕食は豪勢なすき焼きをたらふく食べたリサ。
風呂にも入って、ちょっとした民宿気分を味わった。
しかし、寝る所は1人。
いくらBOWとはいえ、見た目は15歳の女の子を愛原達と同じ部屋に泊まらせるわけにはいかないということで。
その代わりと言っては何だが、公一の飼い犬で柴犬(雄 3歳)のジョンが一緒に寝ていた。
さすがは野性の勘。
この家の中で、一番強い者が誰かを瞬時に把握し、それに媚びるという犬の習性である。
ジョン:「ウゥウ……!」
リサと同じ布団に入って丸くなっていたジョンだが、何かの気配を察知し、起き上がって唸り声を上げる。
リサ:「ウゥウ……!侵入者……アリ……!」
リサは第1形態に変化しており、やはり布団から出た。
寒さなど物ともしないBOWだからか、この真冬にTシャツと短パンでも全く寒さを感じなかった。
リサ:「家の外……?」
リサは右手だけでバキッと骨を鳴らすと、玄関の鍵を開けて、そっと外に出た。
外はシンシンと雪が積もっている。
リサ:「あれは……!」
母屋の隣にある車庫兼農機具小屋。
何故かその横に、工事現場などで見られる仮設トイレが置かれている。
使われていない為か、鍵が掛かっているらしい。
それを開けようとしている者がいた。
大きなガタイの男。
リサ:「……おい」
ジョン:「ワンッ!ワンワンワン!!」
タイラント:「!?」
それはタイラントだった。
リサを見て驚いている。
リサ:「何をしてるの?タイラント君?」
タイラント:(;゚Д゚)
まさかここに、上級BOWのリサ・トレヴァーがいるとは思ってもみなかったのだろう。
リサを見て、明らかに狼狽している。
命令されれば、ターゲットをどこまでも追い掛けて殺すことを平気でするというのに……。
タイラント:「……!」
タイラントは慌てて逃げ出した。
リサ:「待てっ!」
リサは後ろからタイラントに飛び掛かった。
長く鋭く伸ばした爪で、タイラントを引っ掻く。
如何に上級BOWであっても、それだけでタイラントを殺すことはできないが、タイラントはうつ伏せに転倒した。
ジョン:「ガウウウッ!!」
ジョンはそんなタイラントの頭に噛み付いた。
リサ:「ジョン!離れて!」
リサが命令すると、ジョンはタイラントの頭から離れた。
だが、それで良かった。
タイラントもまた大きな腕を振って、起き上がったからだ。
リサが命令していなければ、ジョンはその腕の直撃を受けて即死していただろう。
リサ:「何をしていたの!?誰の命令でやっていたの!?」
リサが詰問したが、タイラントは答えない。
それどころか……。
リサ:「な、なに!?」
上空からヘリコプターが舞い降りたかと思うと、そこから縄梯子が下ろされ、タイラントはそれに掴まった。
そして、ヘリコプターが一気に舞い上がる。
そのヘリコプターはダークグレーに塗装されていて、どこのヘリだか分からなかった。
しかし、ライトグレーに塗装されたBSAAや、ブルーに塗装された“青いアンブレラ”のヘリではないようだ。
リサ:「逃げられた。一体、何だっていうの?」
するとジョンが、さっきタイラントが倒れた場所に向かって、そこから何かを咥えて来た。
それはグレーのカードのようなもの。
表には赤いアンブレラのロゴマークが大きく描かれており、その中心には『JP』と書かれていた。
明らかに日本アンブレラ社のロゴマークである。
リサ:「後で先生に言わなきゃ……!」
[同日07:00.天候:晴 愛原公一の家]
愛原学:「何っ、タイラントだと!?」
リサ:「そうなの!」
リサは昨夜のことを起きて来た愛原学に話すと、カードを渡した。
学:「うーむ……。何か、カードキーのようなものに見えるな……」
公一:「ワシが解析しよう。機械ならある」
学:「都合良くそんなものがあるの?」
公一:「うむ。昔、大学の研究所のカードキーを紛失したことがあってな。それの偽造に……」
学:「退職したから時効ってわけじゃないと思うよ、それは」
高橋:「さすが先生の伯父さん……」
それから1時間ほどして、解析が終わった。
公一:「これはやはり、日本アンブレラのパスカードらしいぞ」
学:「この近くにあるの?」
公一:「いや、この近くではない。だが、日本アンブレラの施設であることは間違いない。具体的な場所まではこのカードのデータでは分からんが、『Onagawa』とか『Kinkazan』とかいう文字は出て来た」
学:「女川!?金華山!?」
公一:「恐らくはな。もしかすると、東日本大震災の復興のドサグサに紛れて、施設でも造ったのかもしれんな」
学:「でもその頃には、日本アンブレラは倒産していたよね?」
公一:「そうじゃ。しかし、あの倒産自体が計画倒産の茶番劇だとも言われておる。これ以上、アンブレラの悪事が露見せんようにな。資金はまだタップリある状態での計画倒産じゃ。しかも、震災の後で地価が大幅に下落した場所に設置する。地価の安い田舎や山奥に秘密の研究所を建てるのが、アメリカのアンブレラのやり方じゃった。それを現地法人たる日本アンブレラが真似ても、何らおかしいことはない」
学:「確かに、この前は日光にあったな……。学校施設の地下に造って、ものの見事に誤魔化すというやり方ね」
公一:「そしてそれとはまた別に、震災復興のドサグサということも有り得る」
学:「そういった意味では、福島第一原発付近もかなり怪しいことになるね」
公一:「まあな」
高橋:「先生、どうします?」
学:「どうせ明日までヒマなんだから、ちょっと行ってみるか。幸い、小牛田駅から石巻線一本で行ける」
高橋:「はい!」
リサは愛原達の会話を聞いていて疑問に思った。
リサ:(どうしてタイラント君が、あのトイレをこじ開けようとしていたのか……調べないの?)
リサはそのことについて愛原に指摘しようとしたが……。
高橋:「先生。このことを報告書にまとめて、正月休み明けに善場の姉ちゃんに出したら、びっくりしますぜ?」
学:「それもそうだな!上手く行けば報酬もバッチリ!」
公一:「おいおい。解析したのはワシじゃぞ?その暁には、ワシの功績も忘れんといてくれな?」
学:「へいへい」
高橋:「さすが先生の伯父貴っス!」
リサ:「…………」
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