報恩坊の怪しい偽作家!

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“私立探偵 愛原学” 「体育祭の終わりと、今後の予定について」

2023-02-09 20:19:19 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[10月10日16時00分 天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]

 体育祭が無事に終わった。
 転倒するなどして発生した軽傷者、体調不良などの罹病者がいたものの、大きな事故も無かった。

 愛原「高橋、そっち持って!」
 高橋「うっス!」

 終了後の片づけを行うのも、仕事のうち。
 まあ、これもPTA役員が嫌がられる理由でもあるのか。
 私がPTA役員になったのは、リサの学校内での監視をしやすくする為であった。
 会長代行に推薦されたのは、前会長の斉藤秀樹容疑者と親しい関係にあったからだろう。
 で、来年度からは正式な会長就任を打診されている。

 リサ「わたし達も手伝う」
 愛原「リサ!」

 ジャージに着替えたリサ達、『魔王軍』が片づけの手伝いに来た。

 リサ「重い物はわたしに任せて」
 愛原「いいけど、人外だとバレないようにな?」
 リサ「分かってる」

 とはいえ、力持ちのBOW『リサ・トレヴァー』が手伝ってくれると早い早い。
 何しろオリジナルは、手枷が付けられたままで、大理石の石像を一殴りして破壊できる腕力を持つからな。
 映画に登場した個体は、リッカーの首を捩じり切る力業を披露した。
 その改良版というか改造版というか、亜種であるこっちの日本版リサ・トレヴァーも、その力は継承されているというわけだ。
 尚、蛇足だが、ジャージの下はブルマを穿いているとのこと。

[同日19時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川 ジョナサン菊川店]

 片づけが終わった後で、私達は車で学校を出た。
 本来、来校者は車でのそれは禁止されているのだが、運営側にいれば、特別に許可されていた。

 愛原「いやあ、疲れたな」
 高橋「全くっスね」
 愛原「軽く打ち上げをやろう。今日の夕食は、ファミレスでいいかな?」
 リサ「おー!」

 リサはジャージから制服に着替えていた。
 ジャージやブルマは明日、洗濯することになる。
 というわけで私達は、近所のファミレスに入った。
 リサは当然の如く、ステーキを注文する。

 高橋「はいはいっと」

 高橋がテーブルの上に置かれたタブレットで、注文を開始した。

 高橋「ビールはどうします?」
 愛原「おい、今回は俺が運転だで?」
 高橋「そ、そうでした。サーセン」

 高橋がまたまた免停を食らったので、今回、車は私が運転した。
 一般道はともかく、久しぶりの運転で首都高や中央高速を走るのはちょっと怖い。
 上野から菊川までなら、もちろん一般道で十分である。
 問題は、来週の話だ。

 愛原「オマエが飲みたいなら、それでもいいがな?」
 高橋「い、いえっ!遠慮しておきます。……リサも入れて、ドリンクバー3つっスね」
 愛原「そうだ」

 注文を終える。

 リサ「それじゃ、ドリンクバー取ってくる」
 高橋「お、俺も行く。せ、先生はお待ちください。な、何にしましょう?」
 愛原「ウーロン茶」
 高橋「了解っス。少々お待ちください」

 高橋とリサは、ドリンクバーへ向かった。
 それと同時に、私のスマホに善場主任からメールが来る。
 善場主任は今回、リサが体育祭に参加することを知っていた。

 善場「リサの活躍を撮影されたと思いますので、明日、それをデータにしてください」

 とのことだった。

 愛原「かしこまりました。DVDに焼いてお持ちする形でよろしいですか?」
 善場「結構です。それと来週、リサの検査に関する話もしたいと思います」

 というやり取りであった。
 リサの動画データをDVDに焼く作業なんて、そんなに掛かるものではないが、善場主任は明日の午後に持ってきてくれれば良いと仰った。
 かなり余裕を見てくれたというよりは、主任自身が明日の午前中、何がしかの用事でもあるのだろう。

[10月11日13時00分 天候:雨 東京都港区新橋 NPO法人デイライト東京事務所]

 今日はあいにくの雨。
 まあ、体育祭の後で良かったと思う。
 私と高橋はリサの動画データを焼いたDVDを手に、デイライトの事務所を訪ねた。

 善場「昨日はお疲れ様でした」

 応接会議室で善場主任を待っていると、彼女はすぐに来た。
 相変わらずスーツを着て、ポーカーフェイスである。
 しかし、リサは教えてくれた。
 体中には痣があり、その痣は間違いなく、触手が収納されていた痕であると。
 リサの肩甲骨付近にも、第2形態時に赤黒い触手が出てくる為の赤黒い痣が存在する。
 善場主任の場合、それが薄くなっているので、今はもうそこから触手が出てくることは無いのだろう。
 それもまた、彼女が『人間に戻った』ことの証とされているが……。

 愛原「いえ、恐れ入ります。こちら、お約束のDVDです」
 善場「ありがとうございます。リサをメインに撮影してますね?」
 愛原「もちろんです」
 善場「他のブルマのコを撮影してはダメですよ?」

 善場主任は、ポーカーフェイスを少し崩して言った。
 部下の人がポツリと言っていたのだが、私達と会うまで、彼女が冗談を言ったことは一度も無かったそうだ。
 私達との出会いで、少しでも柔和になれたのなら、それは嬉しいことだと思う。

 愛原「も、もちろんです。ただ、背景として、やや映り込んだ部分はあるかもしれませんが……」
 善場「その程度なら、許容範囲です」

 善場主任は頷いた。

 善場「今回の愛原所長方の任務は、リサの監視ですから」
 愛原「はい。最近、リサの学内における監視体制が強化されましたね?」
 善場「これには大きく分けて、2つの理由があります。1つはリサ、大学進学を希望しているそうですね?」
 愛原「あ、はい。東京中央学園にできた大学部に行きたいらしいです」
 善場「それに相応しいかどうかの見極めを今からしたいというのが1つです」

 大学に行くには、それに相応しい学力を持っているかどうかが焦点になるのが普通であるが、リサの場合はもっと別の理由か。

 善場「もう1つは、『ブルマ復活運動』による騒動ですね」
 愛原「ああ……」
 善場「リサは愛原所長の為だけに、あそこまで動きました。しかし、少々世間からの注目を浴びてしまったようです」

 再びブルマ復活なんて、各方面から注目されそうなものだ。

 善場「学校生活を楽しむことは大いに結構ですが、やり過ぎには注意してもらいたいのです」
 愛原「それは私も同意見です」
 善場「ですので、しばらくの間は監視を強化したいと思います」
 愛原「分かりました」
 善場「次の大きな行事は……来月の文化祭のようですね」
 愛原「またもやお化け屋敷を企画して、リサ自身が『リサ・トレヴァー』に扮して、騒ぎを引き起こすなんてことにならなければいいのですが……」
 善場「ありましたね、そういうこと。……監視強化で、お願いします」
 愛原「かしこまりました」
 善場「それでは次の議題に移ります。来週の検査についてですが、場所は皆さん既に行かれたことのある、神奈川県相模原市の例の施設で行います。リサの学校の予定に合わせますので、土曜日から始めたいと思いますが……」

 こちらの話についても、比較的とんとんと進んだ。
 しかし、帰り際になっても、雨が止むことはなかった。

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