報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「孤独な探偵」

2021-02-24 15:47:00 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月24日13:00.天候:晴 神奈川県相模原市緑区 国家公務員特別研修センター地下医療施設]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 ようやく私が退所できる日がやってきた。
 午前中は最後の検査と医師の診察。
 その後で退所の為の書類手続きなどだ。
 最後に食堂で昼食を頂いてから帰ることになる。
 予定では善場主任が迎えに来てくれることになっていたが、急な捜査会議で行けなくなったという。
 リサは学校だし、高橋にも私の退院日を知らせていないということだった。
 後者に関しては、本来ここは国家機密的な場所であり、一般人がホイホイと来る場所ではないかららしい。
 私の場合は特殊な体質(Tウィルスへの抗体を持っていて、しかも中途半端ながら変異型Tウィルスへの抗体も持っていたこと)を調べる為、ここへは特別に収容されたということだ。
 Tアビスと同様、抗体があったとしても、別の化け物に変化するだけということで、本来なら私もその目に遭うはずであった。
 しかし、リサと1つ屋根の下で暮らしていたおかげか、彼女のGウィルスが僅かながらに私の体内に入っており、それが変異型Tウィルスが私の体の中で悪さをするのを抑えてくれていたらしい。
 それでも私を体調不良にし、最終的には人工呼吸器まで付けなくてはならぬほどにまでなったが……。
 さて、困ったのは帰りの足だ。
 ようやっと地上に戻れて、本来の研修センターの正門で、守衛達による手荷物検査を受けていた時だった。

 守衛:「ここからお1人で帰られるんですか?」
 愛原:「そうなんですよ。ここから電車で東京に行くには、どうしたらいいですかね……」
 守衛:「この門を出ると、坂道があるのは覚えてますか?」

 守衛は私がここに来たことがあることを知っている人だった。

 愛原:「あ、はい」
 守衛:「坂道を登ると、県道に出ます」
 愛原:「確かそうでしたね」
 守衛:「県道に出たら、右に曲がってしばらく歩いてください。そしたら、バス停が見えてきます。そのバス停から藤野駅に行けるので、あとはそこから中央線ですね」
 愛原:「なるほど。分かりました。ありがとうございます」

 私は御礼を言って検査を終えた荷物を手に、研修センターをあとにした。
 センター内では地下でも地上でも、個人的な連絡は禁止されていた。
 しかし、公道に出ればそんな禁止事項も無効だろう。
 それでも一応、そのバス停とやらに着いてから高橋に電話しようと思った。
 県道はセンターラインがオレンジ色の二車線。
 車通りは多くはないが少ないわけでもない。
 夜は寂しく、もしかしたら目撃情報が無さそうなのを良いことに、誘拐事件とか発生しそうな感じではある。
 だが、今は昼だからな。
 県道に出て教えられた通り道をしばらく進むと、ようやく『名倉』というバス停に着いた。
 そこでハッと気づく。
 そういえばここは、市街地からも遠く離れた山間の場所なのだ。
 そういう所って、バスの本数って少ないだろうな。
 実際、バス停には他にバスを待っている利用者がいない。
 時刻表を見ると、やはりお世辞にも本数が多いとは言えなかった。
 どうも、地域の学校の通学の利便性を念頭に置いたダイヤらしく、平日は何とか両手で数えるほどの本数があり、土曜日は片手で数えるほどの本数、休日は全便運休という有り様だった。
 幸い今日は平日だ。
 まあ、だからリサは迎えに来れないのだろうが。
 幸い時刻表には13時台の便があり、しかもあと10分ちょっとでバスが来るタイミングだった。
 ホッとした私はバス停の前にある商店の自動販売機で缶コーヒーを買うと、それを開けながら高橋に電話した。

 高橋:「先生!?大丈夫っスか!?」

 思った通りの反応で電話に出てくれる高橋。

 愛原:「ああ。大丈夫だよ」
 高橋:「今、どこにいるんスか!?」

 どうやら高橋は何も知らないようだ。
 いやもちろん、私がどこかの医療施設に入っていたことくらいは知っているだろうが……。

 愛原:「藤野の医療施設だよ。ほら、前に行ったことあるだろ?リサのウィルスで、もしかしたら新型コロナウィルスのワクチンが造れるかもしれないって行った所」

 結局はリサのGウィルスは強力過ぎてその力を調節することが難しく、一般人には使えないことが判明して頓挫している。
 私に使用されたGウィルスもリサのものではなく、善場主任の物が使われたそうだ。
 現役BOWたるリサと、元BOWの善場主任とではGウィルスの強さにも差があるだろうからな。

 高橋:「あそこっスか!」
 愛原:「ようやく完治して退院できたよ。本当は善場主任が迎えに来てくれるはずだったんだけど、急用ができて自力で帰らなくてはならなくなった」
 高橋:「ああ。善場の姉ちゃんなんスけど、『何とか東京中央学園上野高校にガサ入れする準備中』とか言ってるんスよ」
 愛原:「ああ、そう……」

 善場主任、私の治療先は伝えずに、もっと極秘な捜査情報は伝えてるんだな。
 てか、いよいよ学校法人に乗り込むってか!?
 いや、よくよく考えてみると、そこまで行き着くのも無理はないと思う。

 高橋:「あっと……!で、先生、どうします?俺、迎えに行きましょうか?」
 愛原:「そうだな……」

 手持ちの金で東京には帰れる。
 それに、あと少しでバスが来る。
 しかも藤野駅周辺には何も無いから、そこで高橋の迎えを待つのもどうかと思う。

 愛原:「取りあえず、自力で帰るわ。一応、東京駅には迎えに来て欲しいかな」
 高橋:「分かりました!車、準備しときます!」

 高尾から西の中央本線は本数が少なくなる。
 しかしそこから電車に乗ってしまえばこっちの物だ。
 上手い事東京行きに乗れればベストだし、そうでなくても接続は上手くされているだろうから、そこまで不便でもないだろう。
 高橋としては、しばらく会えなかった私と話をしたいのか、色々と話し掛けてきたが、タイムリミットだ。
 バスが来てしまった。
 行き先表示には『名倉循環』と書かれている。

 愛原:「ああ、バスが来た。取りあえず切るぞ」

 私は電話を切った。
 それから運転席の方を見て、運転手と目が合うと、バスの左ウィンカーが点滅してバスが停車した。
 開いた中扉の横にある経路表示板を見ると、藤野駅の文字が見えた。
 うん、やはりこのバスで藤野駅に行けるようだ。
 しかも富士急行のバスとあってか、SuicaやPasmoが使えた。
 これなら、現金を使わずに東京まで帰れそうだ。
 バスに乗り込んで、1番後ろの席に座る。

〔発車します。ご注意ください〕

 乗り込んだ客は私1人だけ。
 バスの中扉が閉まり、走り出す。
 乗客は他に、2~3人ほどだった。

〔次は園芸ランド事務所前、園芸ランド事務所前でございます〕

 午後の日差しが差し込み、開いた窓から冷たい風が入って来る中、私は東京中央学園のことについて考えていた。
 白井のことといい、黒木のことといい、学校法人東京中央学園にその責任追及の手が及んでもおかしくはない。
 善場主任はそこを狙うつもりなのだろう。
 そして、もっと思う。
 リサが東京中央学園に入学させたのは、前々から善場主任達はそこが怪しいと睨んでいて、捜査の糸口を掴む為にそうしたのではないかと。
 後で善場主任に聞いてみよう。
 面と向かって聞いてみても、否定されるかはぐらかされるかだけだとは思うが。
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“私立探偵 愛原学” 「復活の探偵」

2021-02-24 10:40:12 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月20日18:32.天候:晴 神奈川県相模原市緑区 国家公務員特別研修センター地下医療施設]

 愛原:「……!」

 光に包まれた私が目が覚めた時、そこがどこだかさっぱり分からなかった。
 思考がしばらく停止し、もしかしたらまだ夢の続きではないかと思った時、誰かが話し掛けて来た。

 医療技官:「具合はどうですか?」
 愛原:「私は……どうなったんだ……?」
 医療技官:「危険なウィルスに感染していましたので、ワクチンを投与しました。それであなたは眠っていたんですよ」
 愛原:「重篤なウィルス?それじゃあ、あれは……」
 医療技官:「次の投与時間です。段階的に投与する必要がありますので」

 医療技官は私の前に注射を取り出した。

 愛原:「また……眠ることになるのですか」
 医療技官:「ええ。また少し……眠くなるかもしれませんよ」

 それからまた私は夢を見た。
 今度は具体的なものではなく、断片的なもの。
 ある時は、外国の刑務所的な所の見学者になっていた。
 死刑執行の見学までできた。

 愛原:「あの名無しの囚人は、自分の犯した罪を知らされずに処刑されるのですか?」
 トチロ~看守長:「教えてやる必要は無いでしょう。何しろ、これから自分の体に刻み込まれるのですから」

 フランツ・カフカの“流刑地にて”か。
 ある時はお伽話の主人公になっていたり、はたまた傍観者になっていたりした。
 薬で眠っているとはいえ、夢を見ているのだから、けして深い眠りではなかったということだ。
 しかし、最後に見た夢は恐ろしく不気味だった。
 いや、最初の刑務所とか、途中の『本当は恐ろしいグリム童話』とか、『本当は恐ろしいイソップ物語』とか、そういうのもアレなのだが……。
 最後に見たのは、またあの東京中央学園だった。
 “トイレの花子さん”が旧校舎の中を歩いている。
 しかも今度は、リニューアル後の教育資料館としての旧校舎の中だ。
 私はその後ろをついていくが、“花子さん”はある教室の中に入って消えた。
 その教室は展示室になっていたが、どうしてここで消えたのだろうか?
 この元教室は“花子さん”が最後にいた教室なのだろうか?

[2月22日06:05.天候:晴 国家公務員特別研修センター地下医療施設]

 愛原:「……!」

 色んな目を見て目が覚めた。
 今度は気分がいい。

 看護師:「おはようございます。御気分は如何ですか?」
 愛原:「だいぶいいです」

 どうやら私の意識が戻ったから来たのではなく、元々起床時刻らしい。
 気がつけば、前回目が覚めた時には人工呼吸器を着けて集中治療室のような所にいたのに、今は個室ながら普通の病室にいて、人工呼吸器も着けていなかった。

 看護師:「体温図りますね」
 愛原:「はい」

 赤外線式の体温計を額に近づけられる。
 ピッという音がして、私の体温は平熱であることが分かった。

 看護師:「36度ちょうどですね」
 愛原:「そうですか……。今日は何日ですか?」
 看護師:「2月の22日です」
 愛原:「あれから、1週間が経ったのか……」

 それから朝食が出た。
 それは流動食であった。
 胃的には1週間も休まされたので(私の意識が無い時は栄養分を点滴されていた)、いきなり固形物を入れないようにする為だという。
 その後で抗体検査やら、色々とまた検査を受けさせられた。
 だいぶ体調は良くなったので、検査室へは自力で歩けるほどであったが、やっぱり1週間もずっと寝ていたからか、時々足がもつれてしまうことがあった。
 もっと長い期間入院した者が、どうしてリハビリを行うのかよく分かるものである。
 昼食は麺類が出た。
 流動食で何も異常が無かったので、今度は固形物で消化の良い物ということだろう。

 看護師:「愛原さん。デイライトの善場さんが面会に来ております」
 愛原:「あ、本当ですか。今、行きます」

 昼食を食べ終わると、私は病室を出て面会室に行った。
 ああ、これは……。
 ガラス越しに電話で面会するタイプである。
 なるほど。私は変異型Tウィルスを発症したので、こういうことになるのか。

 善場:「愛原所長、体調は如何ですか?」
 愛原:「おかげさまで、良好ですよ。今すぐにでも退院したいくらいですよ」
 善場:「ここはただの医療施設ではないんですよ」
 愛原:「高橋やリサは元気にしていますか?」
 善場:「ええ。リサは寂しがっています。何しろ、高橋助手も入院しましたからね」
 愛原:「ええっ!?」
 善場:「所長とは濃厚接触者になりますし、助手もTウィルス感染者ですから、検査入院の対象ですから」
 愛原:「ああ、そういうことですか」
 善場:「幸い高橋助手は新型コロナウィルスに感染してはいなかったので、体内のTウィルス抗体に影響はしていません」
 愛原:「すると私は感染していたと。今は何とも無いですが……」
 善場:「リサや私がどうして『絶対に感染しない』のか、ですよ。Gウィルスが基本的に他のウィルスを食べてしまうからです。私やリサから取り出したGウィルスでワクチンを造りましたので、それで所長は治ったのですよ」
 愛原:「私も化け物に……?」
 善場:「検査の結果次第ですが、少なくともワクチンを投与した人よりは治癒力が高かったりするかもしれません。私やリサほどではないでしょうが……」
 愛原:「なるほど……」
 善場:「かつてのアンブレラが造ったウィルスで治すというのは、何とも皮肉な話ですが……」
 愛原:「まあ、しょうがないです。使える物は何でも使うということですね」
 善場:「退院は、何も無ければ明後日になるとのことです」
 愛原:「明後日ですか。本当は明日でもいいんだけど、明日は祝日だからってことですかね」
 善場:「それもあると思います。明後日、お迎えに伺いますから」
 愛原:「あ、はい。よろしくお願いします。それと主任、ちょっと気になることがあるのですが……」
 善場:「何でしょう?」
 愛原:「あくまでも意識が無い時に見た夢なので、笑わないでくださいよ」

 私は夢の話をした。

 善場:「……かなり信憑性がありますね。詳しくお聞かせください」

 意外にも善場主任は神妙な顔になった。

 愛原:「信じてくれるんですか?」
 善場:「ええ。これは後で所長にお話ししようと思っていたのですが、黒木先生こと、黒木源三は死亡していることが分かりました」
 愛原:「ええっ!?」
 善場:「しかもチェーンソーによる自殺です。所長の見た夢の内容は半分以上フィクションですが、黒木源三が自宅アパート内で自殺していたことが分かりました」
 愛原:「すると、白井に繋がる情報は断たれてしまったということですね」
 善場:「少なくとも、黒木からは。でも所長が、『黒木がチェーンソーで自殺した』という夢を見たこと自体は凄いと思います。実際その通りなのですから」
 愛原:「そ、そうですか」
 善場:「あの旧校舎の壁の向こうには、何かあるということですね。分かりました。私が何とかしましょう」
 愛原:「ええっ?」

 善場主任、国家権力を使ってくれるのだろうか。
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“私立探偵 愛原学” 「学校であった怖い話」

2021-02-23 19:57:48 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[年月日不明 時刻不明(但し、夜間) 場所:東京中央学園上野高校 旧校舎]

 ここはどこだ……?
 私は暗闇の中を歩いている。
 歩いている場所が地面なのか、それとも空中なのかは分からない。
 ふわふわとした感じである。
 それが少しずつ明るくなっていき、足元の感覚が分かるようになった。
 どうやら、ちゃんと地面を歩いているようだ。
 そして、周りが明るくなったとはいえ、暗闇であることには変わりは無い。
 具体的には最初、周りが本当の闇だったのに対し、今は所々外灯が灯った夜であるということだ。
 ここは一体、どこなんだ?

 愛原:「ん?」

 すると、目の前に鉄筋コンクリート造りの建物が現れた。
 その建物には見覚えがある。
 これは東京中央学園上野高校か。
 どうして私は、こんな時間にここにいるんだ?
 しかも、足の感覚が無い。
 いや、足元を見ればちゃんと足はある。
 御丁寧に靴まで履いている。
 そして、地面を踏む感触も一応ある。
 ところが、進ませる足にだけは感覚が無いのだ。
 私はゆっくりと歩いているのだが、それが自分の意思ではなく、足だけが別の意思でもって歩いているといった感じなのだ。
 ほら、夢の中で自分が移動しているとするだろう?
 だけど、自分で歩いているという感覚が無いではないか。
 それに似た感覚だ。
 そしてその足は、学校の校庭を木造2階建ての旧校舎に向かおうとしていた。

 愛原:「……?」

 しかしその旧校舎、何だか様子がおかしい。
 建物自体は戦前から存在し、戦中には半壊半焼の憂き目に遭い、戦後には復旧している。
 1970年代まで現役で使用され、1980年代には今の鉄筋コンクリート造りの新校舎に校舎としての機能を全て移管したという。
 それ以降は廃校舎となり、1990年代には取り壊しが予定されていた。
 しかし一部教職員の猛反対と、他の“大人の事情”により取り壊し計画は中止され、学園の歴史を今に伝える『教育資料館』としてリニューアルされた。
 但し、老朽化した建材の一部を交換したり、電気系統を交換したり、機械警備を導入しただけで、内外共に往時の記憶を伝えている。
 確か私がここに来た時、リニューアル後だったから、正面入口の横には木製の『教育資料館』と縦書きされた看板が掲げられ、警備会社のステッカーが貼ってあったり、非常口の誘導灯が点灯していたりしていたものだが、今目の前にしているその建物は、まるでリニューアル前の取り壊しを待つだけの状態に見えた。
 実際、看板も無ければ、ステッカーも貼られていないし、非常口誘導灯も点灯していない。
 私の手は勝手に動き、正面入口のドアを開けた。
 鍵は掛かっていなかった。
 中は真っ暗で何も見えない。
 前に来た時は通電していて、とても明るいわけではないが、ある程度安心感のある明るさは確保されていたというのに。
 しかし、私の足はどんどんと中に入って行く。
 “トイレの花子さん”がいるトイレがある2階への階段を横目に、廊下を進んで行く。
 やっぱりおかしい。
 前に来た時は床板はリニューアルされていたのに、今はボロい床だ。
 歩く度にギシギシと軋み音を立てているし、埃っぽいし、木くずなんかもやたら落ちている。
 ここは本当に東京中央学園上野高校の旧校舎なのだろうか。

 愛原:「!!!」

 私がびっくりしたのは、暗い廊下の奥で突然大きな機械の音がしたからだ。
 それは一瞬、大型バイクのエンジン音のように聞こえたが、どうやら違うようだ。
 もっと近づいてみると、一筋の明かりが見えた。
 それは懐中電灯だった。
 そして、あの壁の前に2人の男がいた。
 どちらも見覚えが無い。
 10代の男子高校生達のように見える。
 この学校の生徒達だろうか。
 1人は中肉中背で、もう1人はデップリとした体型だ。
 そのデップリがチェーンソーを手にしていた。

 男子高校生:「細田さん、本当にやるんですか!?」
 細田:「ヒャーッハッハッハーッ!!」

 細田という名字に似合わず、太い体型をした男子高校生は高笑いを上げながら、チェーンソーを振り上げた。
 そして、あの防空壕付きの教室があるという壁を壊して行った。
 おいおいおい、いいのか!?勝手に壁壊して!

 ???:「お前達、何をやってるんだ!!」

 その時、もう1個の懐中電灯が私達を照らした。

 愛原:「ち、違うんです!あの、私はその……」

 ヤバい!私は何て説明したらいいんだ?!
 だが、声が出ない!
 そうだ!
 さっきからこの高校生達に何か言おうかと思っているのに、声が出ないのだ。
 これは一体、どういうことなんだ?
 だが、険しい顔をして懐中電灯を持った男性は私の方など見向きもしなかった。
 まるで、私の存在に気づいていないかのように……。

 男子高校生:「ち、違うんです!黒木先生!これは細田さんが……」

 黒木先生!?
 私は改めて男性を見た。
 ジャージ姿であることから、体育教師であることが分かる。
 確か、黒木先生は体育教師だと聞いた。
 しかし、見た目が若い。
 30代半ばといったところだろうか。
 私よりも年下だ。
 あれ?今はもう60代半ばから後半くらいだと聞いたのだが……。

 黒木:「何てことをしてくれたんだ……!」
 男子生徒:「ほ、細田さんが……細田さんがどうしても、この奥を見たいって……」

 だが、細田という男子生徒は壁を粗方壊すと、チェーンソーを床に落とした。
 安全装置でも働いたか、それでチェーンソーは動きを止めた。
 そして、呆然と立ち尽くしている。
 この奥に、何があるのだろうか?
 私も気になって、細田君の後ろに立った。
 だが!

 細田:「アァア……!」

 クルッと振り向いた細田君の顔は腐っていた。
 それどころか、一気に全身が腐り果てた。
 少し青み掛かった皮膚になり、呻き声を上げて私達に近づいてくる。
 ゾンビ化したのだ!
 ゾンビ化のスピード、そして青白く変色した肌の色からしてCウィルスだと思われる。
 Cウィルスはバイオハザード兵器として使う場合、青い粉末になっており、その影響からか、それに感染してゾンビ化した者は肌が青白くなるのである。

 男子生徒:「細田さん!」
 黒木:「ウォォォォッ!」

 黒木は雄叫びを上げるとチェーンソーを拾い上げて、ゾンビ化した細田君の首に突き立てた。

 細田:「ギャアアアアアアッ!!」

 細田君は断末魔を上げながら首を刎ね飛ばされ、血しぶきを上げてその場に倒れた。
 黒木先生、ナイス判断だ。
 残酷なようだが、ゾンビ化してしまうと、もう頭を撃ち抜くか、首を落とすしか無いのだ。
 しかし、それにしてもどうして細田君はゾンビ化してしまったんだ?
 この壁の奥で、Cウィルスが充満していたのか?

 黒木:「お前達!」

 黒木の怒鳴り声が聞こえた。
 ヤバい!これは警察に通報される案件だ!
 どうやって説明しよう……?

 黒木:「お前達はヤツらを逃がそうとしたんだな!?」
 愛原:「は?」

 この奥に、何かいるのか?!

 男子生徒:「や、ヤツらって……?」
 黒木:「誤魔化すな!壁の向こうで蠢いているヤツらだ!この学校を裏から支配する、血に飢えたあいつらのことだ!」

 男子生徒は呆気に取られている。
 何のことだかさっぱり分からないといった感じだ。
 しかしそれでも、2人が私の方を見ることはなかった。
 まさか、この2人からは私が見えていないのか?
 私はそっと壁の中を覗いて見ることにした。
 壁の中には、確かに空間があった。
 しかし、真っ暗闇で、中に何があるのかさっぱり分からない。
 が、微かに白い物が見えた。
 あれは人骨……?

 黒木:「ヤツらを復活させてなるものかっ!」
 男子生徒:「ひいいっ!」

 黒木は再びチェーンソーのエンジンを掛けると、それで男子生徒に襲い掛かった。
 男子生徒は慌てて逃げ出す。

 愛原:「や、やめろっ!」
 黒木:「待てっ!!」

 黒木が男子生徒の後を追う。
 その後ろを私が追う。
 あの壁の奥には何があるというんだ!?

 男子生徒:「ああっ!」

 正門は夜で閉まっているからか、通用門の方へ逃げようとする生徒。
 しかし、その門から外に出ようとして転んでしまった。
 もうダメか!?
 追い付いた黒木がチェーンソーを振りかざし、男子生徒に振り下ろそうとする!
 その時、パトカーのサイレンが聞こえて来て、それが通用門の前で止まった。
 そして、そこから警察官達が降りて来て、こっちへやってくる。
 緊急出動してこっちに来た?
 誰かが通報したのだろうか?
 ……ああ、なるほど。
 いくら旧校舎の中とはいえ、こんな夜中にチェーンソーの音を響かせていたら、不審に思った近所の人が通報するかもしれない。

 黒木:「うおおおおっ!!」

 その時、黒木が信じられない行動に出た。

 警察官:「おい、やめろ!」

 警察官の1人は男子生徒を助けに入り、もう1人は黒木を制圧しようとした。
 しかし、黒木は自分の首にチェーンソーの刃を当て、自分で自分の首を刎ね飛ばしたのだ!

 愛原:「うわ……!な……なんてことを……!」

 警察官が慌てて無線で応援を呼んでいる。
 私はあの壁の向こうのことが気になって、旧校舎に戻ってみた。
 今度は足の感覚がある。
 だが、今度は正面入口のドアが開かなかった。
 誰も鍵なんて掛けていないのに……。

 愛原:「!?」

 するとドアの向こうに、セーラー服を着て白い仮面を着けた“トイレの花子さん”が現れた。
 “花子さん”が閉めたのだろうか?
 “花子さん”は無言で私の後ろを指さした。

 愛原:「?」

 私が振り向くと、私は眩い光に包まれた。
 一体、何だこれは?
 今度は一体、何が起きたんだ……?
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“愛原リサの日常” 「Gウィルスを使用せよ」

2021-02-23 16:11:31 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月15日17:00.天候:晴 神奈川県相模原市緑区某所 国家公務員特別研修センター]

 愛原達が2度訪れたことのある国家公務員特別研修センターに、1機のヘリコプターが舞い降りた。
 それは自衛隊機で、貨物輸送に使われる機種であった。
 そこから降ろされたのは、大型のゲージ。
 軽自動車くらいの大きさであった。
 さぞかし何か猛獣でも収容しているかと思いきや、その中にいたのは……。

 リサ:「ウウウ……!」

 檻はヘリコプターから、今度はコンテナ運搬用のトラックに乗せられる。
 そのトラックが移動し、それはセンターの地下駐車場に向かった。
 トラックは中型車で、荷台にコンテナが1個だけ載せられるタイプだったので、高さ制限3メートルの地下駐車場に入ることができた。

 守衛:「こっちだ、こっち!」

 センターの警備業務を行っている守衛が地下荷捌場にやってきたトラックを誘導する。

 守衛:「ありゃりゃ!?キミは……前に来たこと無かったっけ?」

 守衛の1人はリサのことを覚えていて、檻に入って第1形態に変化しているリサに話し掛けた。
 リサは檻の中で胡坐をかくようにして座り、不貞腐れた顔をしていた。

 守衛:「何をやったの、キミ?」
 リサ:「ガァァァッ!!」

 リサは牙を剥いて、長く尖らせた右手の爪を立てながら檻の鉄格子に噛み付いた。

 守衛:「な、な、な……!」
 善場:「彼女は興奮しているんです。あまり話し掛けないで」
 守衛:「は、はっ!」
 善場:「いきなりでゴメンね。こうでもしないと、自衛隊が協力してくれなくてね……」
 リサ:「ぶー……!」

 リサは完全に頬を膨らませて拗ねていた。
 何しろ学校帰りにいきなりパトカーに取り囲まれ、有無を言わさず警察の特殊車両に乗せられたのだ。
 一緒に帰っていた斉藤絵恋は必死に抵抗したが、屈強な機動隊員に取り押さえられている。
 それから何がどうなったか、檻に入れられて自衛隊の基地に連れて行かれ、それからヘリコプターに乗せられて現在に至る。

 リサ:「いよいよ殺処分なの?私、最終形態まで変化して暴れるよ?」
 善場:「あなたが人を1人でも食べたらね。でも、そうじゃないでしょう?これは演出なのよ」
 リサ:「随分とお金の掛かった演出だねぇ……!」
 善場:「こうでもしないと、色々と法律で雁字搦めにされている自衛隊や警視庁の協力が得られなかったのよ。私達は表向き、NPO法人の職員。国家公務員としての権限は、非常時にならないと使えない」
 リサ:「で?殺処分じゃないなら、私に何をしろというの?」
 善場:「あなたの血を分けて欲しい。もちろん、私もそうする。今、日本でGウィルスを有しているのは私とあなた、そして『1番』しかいない」
 リサ:「Gウィルス?化け物でも造るの?」
 善場:「その逆。化け物を造れるということは、化け物を抑えることもできるということなのよ」
 リサ:「ふーん……?」
 部下:「お待たせしました」

 善場の部下が急いで鍵を持って来た。
 それで檻の扉を開錠した。

 リサ:「いざとなったら私の力で鉄格子を押し広げることくらいできるんじゃない?」
 善場:「それをしたら高圧電流が流れて、感電死させるようになっているの。そうしなくてあなたは賢いわね」
 リサ:「私もそうだし、タイラント君であってもそれくらいじゃ死なないと思うけど……」
 善場:「早くこっちへ来てくれる。これは愛原所長を助ける為でもあるのよ」
 リサ:「先生を!?え、なに?先生はそんなに重い病気だったの?」
 善場:「そう、重い病気だった。あなたのGウィルスが僅かに愛原所長の体の中に入っていたおかげで、何とか命を繋ぎ止めている。だから、もっとあなたの血が必要なのよ」
 リサ:「わ、分かった。先生を助ける為ならいいよ」
 善場:「それでいいわ。こっちよ」

 リサは善場に付いて、見覚えのある施設に入っていった。

 リサ:「ここは藤野の研究所?」
 善場:「そう。あの研修センターの地下にある研究所よ」
 リサ:「研究所は……嫌だな……」
 善場:「私だって嫌よ。でも、今はそんなこと言ってられる場合じゃないからね」

 善場とて大学生時代に白井伝三郎とは別の日本アンブレラ研究員に捕まり、リサ・トレヴァー『12番』となる人体改造を受けた。
 しかし改造手術後の昏睡状態時に、デイライトやBSAA突入の際に救出され、ワクチンを投与されて元に戻っている(が、人外的な傷痍治癒力や身体能力は残っており、現在も観察中である。その為、便宜的に『0』という数字に変えられた)。
 愛原リサにはそのワクチンは効かないとされており、愛原リサには別のワクチンを用意する必要があるということになっている。

 善場:「このエレベーターに乗って」
 リサ:「うん」

 エレベーターで更に地下深い研究施設に向かう。
 無機質な空間のエレベーター内に表示されているインジゲーターは、B7を示していた。

 善場:「まずは愛原所長の様子から見る?」
 リサ:「見る!見たい!是非!」
 善場:「こっちよ」

 白い壁に白い照明で照らされているフロアの中を進むと、ガラス張りの部屋があった。
 そのガラスの向こう側は、まるで病院のICUのような感じであった。
 そしてその中央のベッドに、愛原が人工呼吸器を着けて横になっていた。
 こちら側から見る限り、意識がある状態には思えない。

 リサ:「先生?!」
 善場:「担当医師の話によれば、愛原所長はもっと別の化け物に変化してしまう所だったらしいわ。突然の激しい咳や吐血ではなく、ゾンビ化するわけでもない。愛原所長はなまじTウィルスに対して、特別な抗体を持っているが為に、もっと別の化け物に変化してしまうはずだったそうよ」
 リサ:「でも、人間の姿をしてる……」
 善場:「それは、あなたから愛原所長にGウィルスが僅かに移ったからよ。まあ、1つ屋根の下で暮らしていれば、そういうこともあるでしょう。保健所も認める濃厚接触だったもんね。でもそのおかげで、愛原所長の体内に入った変異Tウィルスを抑え込むことはできている。あとは追加のGウィルスで造るワクチンを投与すれば、愛原所長は助かるはず。そしてそれは今、都内で蔓延している変異Tウィルスの抑え込みにも役に立つのよ」
 リサ:「分かった。都内のことはどうだか知らないけど、そういうことなら協力する」
 善場:「ありがとう。もちろん私も協力者になる。私のGウィルスとあなたのGウィルスは違うから、どのくらい役に立つのか分からないけど、やってみなければ分からないからね。行きましょ」

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“私立探偵 愛原学” 「隔離される愛原」

2021-02-20 21:04:27 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[2月17日13:02.天候:曇 場所不明 とあるヘリコプター機内]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 何かがおかしい。
 私は今朝、風邪のような症状が出て事務所を休み、部屋で寝ていたはずだ。
 高橋に氷枕を用意してもらって、額に貼る冷却シートと市販の風邪薬を救急箱から出して使用した。
 それで寝ていたはずだ。
 リサは心配しながらも学校へ行き、高橋は連絡すべき場所へ連絡してくれた。
 それで一応安心した私は、すぐに寝落ちした。
 次に目が覚めた時、高橋の怒号が聞こえて来た。
 だが、その者達は高橋を薬で眠らせると、私の部屋にドカドカ入って来た。
 それは防護服を着た者達であった。
 朦朧とする意識の中、私は有無を言わさず担架に乗せられ、そのままマンションの屋上に連れて行かれた。
 で、屋上の上でホバリングしているヘリコプターに、まるで遭難者を救助するかのように吊り上げられて乗せられたというわけである。
 えーと……私はその……何か重い病気だったのだろうか?
 それも、防護服を着た者達に有無を言わさずドクターヘリに乗せられるような……?
 新型コロナウィルスの感染者でも、こんな搬送はされないよなぁ……?
 私がドクターヘリだと思ったのは、機内で私にしている行為がテレビで観たドクターヘリの機内そのものだったからだ。

 防護服A:「血圧、130の85。脈拍……」
 防護服B:「血中のウィルス濃度……」
 防護服C:「こちらC班。現在、対象者を搬送中。現着まであと5分の見込み」

[同日15:58.天候:曇 東京都葛飾区小菅 東京拘置所]
(ここから三人称視点となります。プレイヤーキャラは高野芽衣子)

 刑務官:「う……ゲホゲホ!ゲホッ!ブブォッ!」
 収監者:「な、何だこりゃ……!か、体が……熱い……ブボッ!」

 次々と激しい咳と喀血の症状を起こして、バタバタと倒れる職員や収監者達。
 運動の時間で独房の外に出ていた時だ。

 高野:「…………」

 しかし高野だけは全く症状が無かった。
 しかも、この状況を想定内とばかりに無表情で見ている。
 そして、倒れた刑務官から鍵を取った。

 高野:「そのうちこの拘置所にも、あれが収監されるとは思っていたけど、案外早かったわね」

 高野が収容されていた独房が並ぶ所から、化け物の呻き声のようなものが聞こえる。

 高野:「ここからは、おさらばさせてもらうわよ」

 高野の脱走に刑務官達が気づいて追おうとするが、直前まで元気だった者も突然血を吐いてバタバタ倒れていった。

 高野:「変異Tウィルス。それも強毒化に変異したヤツ。これに比べたら新型コロナウィルスなんて、ただの風邪よ。症状は……ゾンビ化する者はほんの僅か。あとはゾンビ化すらせず、ただ激しい咳に見舞われ、吐血してそのまま死ぬ」

 高野は悠々と拘置所の外に出た。
 高野は未決囚なので、いわゆる囚人服は着ておらず、私服である。

 高野:「恐らく、霧生市のバイオハザードに巻き込まれて生き残った元住民が、その後、何かの事件を起こしてここに収監された。Tウィルスのワクチンは打っているはずだけど、あくまでも抗体ができただけ。そこに新型コロナウィルスが体内に入ると……低い確率で変異Tウィルスが生まれ、たちまちバイオハザードを引き起こす。……バイオハザード発生地帯が拘置所だけで済めばいいけど……」

[同日17:04.天候:曇 都内某所 某医療施設]
(引き続き三人称視点です。ブレイヤーキャラは善場優菜)

 医師:「愛原学さんの状態ですが、今は安定しています」
 善場:「安定しているの?何か特別な処置をして?」
 医師:「いえ、それが……。愛原さんの体内には、僅かながらGウィルスの反応がありました。そのGウィルスが変異型Tウィルスの増殖を抑えているようです」
 善場:「Gウィルス?……ああ、リサの体内にあるヤツね。まあ、確かに1つ屋根の下で暮らしてるから、あの子のGウィルスがどこかで入ってもおかしくはないけど……」
 施設責任者:「善場主任。話があります。あなたの血液を調べさせてください」
 善場:「元リサ・トレヴァーの私だもの。注目するのは当然ね。Tウィルスは無いけど、Gウィルスなら体内に残っていると思うから」
 施設責任者:「理解が早く、助かります。丁重にお連れしろ」
 部下A:「はっ!」

 善場は施設関係者数名と共にエレベーターに乗り込んだ。

 善場:「……都内の状況は?」
 部下B:「バイオハザードの発生は散発的です。ただ、東京拘置所で大規模なバイオハザードが発生したとの報告が入っております」
 善場:「東京拘置所で?」
 部下B:「3日前に収監された未決囚が霧生市の出身者で、今朝方、体調不良を訴えておりました。そこから爆発的に広がったと見られます」
 善場:「……あと2人ばかり、確保して欲しいコ達がいるんだけど?」
 部下B:「情報提供ありがとうございます」
 施設責任者:「ほぼTウィルスに感染したことのある日本人は、新型コロナウィルスにはもっと注意しなければならないようですな」
 善場:「日本人だけなの?」
 施設責任者:「今のところは。アメリカなどでもTウィルスやCウィルスが発生したことがありましたが、そこではまだ変異型Tウィルスは発生しておりません。恐らく、霧生市で蔓延したTウィルス自体が変異株だったのかもしれません」
 善場:「確かにアメリカの物と比べて、比較的ゾンビ化が遅い感染者が多かったような気はしたけど……」
 施設責任者:「毒性が比較的弱い株だったのではなく、他のウィルスと融合することで強毒性を増す新型兵器ウィルスだったのかもしれません」
 善場:「何を今さら……!」
 施設責任者:「Tウィルスは人工ウィルスです。そして、新型コロナウィルスも……」
 善場:「中国・武漢の……!私の体内に残っているGウィルスならいくらでも使って構わないわ!生物兵器には生物兵器で対応するのよ!あと、リサ・トレヴァー『2番』、愛原リサにも召集を!あのコもGウィルスを持っている!」

 もはやリサ・トレヴァー『1番』だの、エブリンだのという話では無くなった。
コメント (1)
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