とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

西尾維新を読みつくす

2016-03-03 23:03:08 | 読書
『掟上今日子の備忘録』をはじめとする西尾維新の『忘却探偵シリーズ』を読み始めたのをきっかけにして、このところずっと西尾維新の作品を読み漁っていた。それまで一度も読んだことがなかったが、その可笑しな作風に魅せられて、ついつい嵌ってしまったようだ。図書館で借りられる全作品のうち、約80冊くらいは読んでしまった。残っているのは新刊で予約が混んでいて順番が回ってこない数冊だけなので、ほぼ完了したと言っていい。

この作家のジャンルとしては、ミステリーぽいライトノベルといえるだろうか。大きな特徴としては、言葉遊びみたいな部分がやたらに目立つ。状況を表す言葉が、一つだけではなく三つくらいは必ず書き加えられており、その毒のある表現が可笑しく、言葉を自由自在に操る面白い作家だというのが気に入り、嵌ってしまったのかもしれない。はじめの頃は、「物語シリーズ」から入って行ったのだが、荒唐無稽というより、あまりにも馬鹿馬鹿しい内容に、読むのをやめようかと思ったくらいだったが、巻を重ねるごとにその世界観にのめり込んでしまい、ついには抜けることができなくなってしまった。作品の中には、「戯言使い」なる人物が登場するものがあり、まさに作者そのものが「戯言使い」なのかもしれない。

また、各作品に共通するもう一つの特徴としては、登場するキャラクターは、ほとんど女性だ。それも、幼児、小学生、中学生、高校生といった若い女の子ばかり。わずかに登場する男性も、少年といった年齢で、周りは女性ばかりというハーレム状態の設定が多い。そして、各キャラクターの名前が奇妙奇天烈だというのも大きな特徴だ。例を挙げれば、化物語の阿良々木暦(あららぎこよみ)とか、戯言シリーズの零崎人識(ぜろざきひとしき)等、その可笑しなネーミングセンスは、他の作家の追随を許さない。また、登場人物が簡単に殺されてしまったり死んでしまうというのも、常識ではありえない話なのだが、怖いとか不気味という感覚にはならないのが、この作家の不思議な特徴だ。ただ、人によっては、好き嫌いが大きく分かれるかもしれない。

以下、主要なシリーズの概要をまとめてみた。

「戯言シリーズ」
戯言遣い(いーちゃん)と工学の天才・玖渚友を中心に様々な事件が起こるミステリー。 全9巻で、言葉遊びが最も特徴の作品。途中からバトルシーンがあったりして、萌えキャラが次々にあっさりと死んでいく。

「人間シリーズ」]
戯言シリーズと同一の世界を舞台とするスピンオフ作品。戯言において主人公いーちゃんの「表裏」とされ、"殺し名"として戯言にも名前が登場していた『零崎一賊』の零崎人識たちの物語。

「りすかシリーズ」
魔法が存在する日本を舞台に、魔法を使えない普通の人間である主人公の少年・供犠創貴と魔法使いの少女・水倉りすかの2人が、りすかの父親・水倉神檎を追う中での戦いと冒険を描いている。既刊3巻で、最終巻はまだ刊行されていない。

「物語シリーズ」
21世紀初頭の日本の田舎町を舞台とした、阿良々木暦(あららぎこよみ)と彼に出会った少女たちの、「怪異」に関わる不思議な物語。怪異と戦って倒すような展開はほとんど無く、怪異の出現した原因を探ったり、謎を解いて事件を解決するというのがストーリーであるが、コメディ要素が強く押し出されており、少女のボケに対して暦がツッコミを入れる夫婦漫才のようなギャグが延々と続くので、話がなかなか前に進まない。

「刀シリーズ」
講談社BOXのメイン企画「大河ノベル」の2007年作品として、12か月連続で発売された時代劇作品。毎月刊行するなんて、凄い速さで書かれた作品ではあるが、西尾作品の中では、一番面白かった。内容は、「刀を使わない剣士」と、それぞれある1つの能力に特化した12本の「変体刀」と呼ばれる刀を持った者たちの戦いを描いたもの。

「伝説シリーズ」
”西尾維新史上、最長巨編”がキャッチコピーで、1巻あたり500ページにも及び現在7巻まで刊行されている。人類を抹殺せんとする「地球」と、それを阻止しようとする人々の戦いをテーマにした長編小説。「大いなる悲鳴」と呼ばれる大災害により人類の3分の1が死に絶えた世界を舞台に、科学や魔法を用いて「地球」へ対抗しようとする人々の姿が描かれる。

「忘却探偵シリーズ」
寝ると記憶がリセットされる「忘却探偵」の掟上今日子が、依頼人から持ち込まれる事件を「ほぼ」1日で解決に導いていく推理小説。昨年は、テレビドラマ化されているので知っている人も多いはずだ。