とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

アルツハイマー病になっても記憶は失われていない?

2016-03-24 21:55:58 | サイエンス
ずっと前から理化学研究所のメールマガジンを購読している。難しい科学の話ばかりで、ほとんど理解できない事も多いのだが、時々気になる研究成果が載っていることがある。今回、気になった研究結果は、アルツハイマー病についての研究結果だ。

アルツハイマー病(AD)は、物忘れなどの記憶障害から始まり、徐々に認知機能全般が低下する病気で、世界で4,750万人と推定されている認知症患者のうちADは7割程度を占めているという。ADにおいては、記憶の形成、保存、想起に重要な海馬の周辺で神経細胞の変性が始まることから、海馬の異常が記憶障害を引き起こす可能性が指摘されていた。しかし、AD初期における記憶障害の原因が、記憶を新しく形成できないためなのか、形成された記憶を正しく思い出せないためなのか、そのメカニズムは全く不明だったという。今回、マウスを使った研究の結果、AD初期の患者の記憶は失われているのではなく、思い出すことができないだけなのかもしれないという事が分かってきたという。

別の研究でも、個々の記憶の痕跡は海馬の「記憶エングラム」と呼ばれる細胞群に物理的に保存されることが証明されている。初期の患者には記憶を保持する細胞が維持されているのであれば、将来、これらの細胞から記憶を取り出す技術が開発されることによって障害を軽減できるかもしれないという。しかし、この研究結果が、直ちにADの治療法の開発に結びつくわけでもないそうだ。

まずは、研究の標的の一部を同定したという意味で、今後のAD病治療・予防法の開発に大きく貢献することが期待できるという内容だった。ADは、高齢化が進む現代社会の大きな問題である。身近でも、ADになった人があり、決して他人事ではない。人間の脳のメカニズムを簡単に解明することは難しいのだろうが、記憶がなくなってしまうというのは、本人も辛いし、周りも辛い。少しでも、進行を止める方法が見つかることを期待したい。