ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

2009年

2009年01月01日 | 雑記
新年あけましておめでとうございます。

2009年波乱の幕開けとはうらはらな、穏やかなお正月となった。
しかし、この先の自動車業界を考えるととても素直に新年を祝う気持ちにはなれないというのが正直な感想だ。
国内はクルマの日用品化が進んでしまい、2009年は自家用車の買い替えはほとんど望めない。
今までの不況では、日本がだめならアメリカ、先進国がだめならBRICS、自家用車がだめでも商業者というような逃げ道があったが、今回はすべての市場がダウンしている。さらにアフターマーケットも恐ろしく冷え込んでいる。
正確な統計はないと思うが、感覚的にはモータースポーツや改造車といった市場は一時の1/3以下に縮小したように感じる。巣ごもり消費の影響で走行距離が伸びず、整備需要も伸びない。

日経の元日版恒例となったIT特集では、ユビキタスやクラウドコンピューティング、SNS、スマートフォンなどが生活を変えるという内容になっているが、車と通信の融合については全く触れられていない。
このブログも、今年あたりから内容的に方向転換を余儀なくされるかもしれない。

IT特集でいちばんに取り上げられていたユビキタスについて考えてみよう。
未だにユビキタス社会の実現は既定路線的に語られているが、どうなのだろう。
オフィスと家庭にパソコンがあり、通勤途上も携帯でつながっている現在の社会で、これ以上のユビキタスって本当に必要なのだろうか?

ある程度の改善、進化(ケータイの広い意味でのスマートフォン化など)はあっても、革新的なマーケット創造の余地はもはやないと思うのだが。
実際、オープンカフェでノートブックを広げるとか、出張先で急に調べものといったオケージョンって、実はそんなにない。

このマーケットが存在するなら、WiFiのホットスポットビジネスはもっと普及しているはずだが、たいした進展がない、というのが本当のところだ。

結局、ITは生活を便利にして、消費者が外に出なくてもよくなってしまったのだ。昔は家の中の娯楽は地上波TVしかなかったから、車でどっかいこうぜ、というのが普通の休日パターンだった。
今、インターネットがあれば暇がつぶせる。動画、ネットショッピング、ブログ、SNS、ゲームなど、いくらでもやることはある。
少し前までは家にこもってインターネットをするのは特殊な人種とおもわれていたが、今やだれでもそうだ。
巣ごもり消費を牽引しているのはITなのだ。ITが生活を変える、という言葉はいままで一貫して肯定的に使われてきた。
しかし、モビリティを必要としない巣ごもり消費は明らかに景気の回復力を鈍らせる。
日経記事とは裏腹に、ITの進化はユビキタス不要の方向に進んでいるのかもしれない。

これは実は結構深刻な問題だと思う。

正月早々長文で失礼しました。今年もよろしくお願いします。