ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

NOTTVの状況について

2012年04月08日 | モバイル・ウエアラブル
4月から、いよいよ関係者注目の的であるmmbiのNOTTVが放送をスタートした。
ネットには批判的な意見が渦巻いている。NOTTVでぐぐると「NOTTV 失敗」というレコメンドが3つ目に出てくる。

モバHOが失敗した携帯端末向け放送事業、しかもたいしたコンテンツもないのに月額420円、対象端末はドコモだけで2つしかないという状況で、これからまだまだアンテナ設置に投資がかかるし、魅力あるコンテンツ作りにもお金がかかる。
サブスクライバー1000万人が損益分岐点と聞くと、非常に厳しい。

ブログやツイッターで、「NTTはマーケテイングセンスがない」などの意見が見られるが、これは全くの的外れだ。
NTTはそこまで愚かではない。

では、なぜこの「成功の見込みがほとんどない」事業にNTTは乗り出したのだろうか?

これは、私のブログの「このグログを検索する」窓に「マルチメディア放送」を入れていただくと、2010年夏頃からの記事でだいたいのことはわかる。(携帯版はなぜか検索機能がうまく働きません。PCから見てください)

要約すると
・地デジ化を進めた総務省としては、その大義名分であるアナログ周波数空き地の有効利用をすすめる必要があった。
・国民のコンセンサスを得るためには、ここに新しいデジタル放送で使う、というアイデアが出された。
 少なくとも、計画の初期段階ではそれにそこそこの需要があると思われていた。
・この事業について、NTT系のmmbiとKDDI+クアルコムのMediaFLOでコンペが行われた。
・結果、NTT系mmbiが選定された。この背景には政府は外資(クアルコム)を排除した、と見る向きもあるが、私は違うと思う。クアルコムはMediaFLO事業に見切りをつけていた。何としてもこの事業を進めたい総務省が、余裕のあるNTTに押し付けた、と見るべき。
・NTT内にも事業の成立性についてはかなりの疑問があったようだが、国策として受けた。その見返りに700mhzをもらったという話も聞くが、これは本当かどうかは分らない。
・国策がらみということに加え、すでに商社、広告代理店、メディア等からの出資がmmbiにされ、NTT単独の判断での撤退はできない状況となってしまった。
・実際、NTTから出向してNOTTVを任された人たちからは「少しでも可能性があればチャレンジするのだ」などというかなり悲愴なコメントが漏れていたらしい。

ということで、負け戦に向かって巨額の投資がこれからもなされるようだが、間違いなく無駄金になる。
これは結局のところ、消費者に跳ね返ってくるということを忘れてはならない。

もう一つ、アナログ空き地の大義名分にはITSも入っている。これも、「安全、交通事故防止」という旗印は誰からも批判されないので政府的には都合がいい。700Mhz帯を使って交差点事故防止の実験がやっと豊田市で始まったが、今進めている5.8GHz帯のITSスポットとの関係などは不透明だ。