ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

中国における日本製品の現状

2014年09月18日 | 上海生活
本日は満州事変のきっかけとなった柳条溝事件の日。2年前は反日デモが盛んに行われ,我々も自宅待機等大変であったが,今年はあまり話題になっていない。反日影響はかなり薄らいでいる。

以下はNNAが実施した在中国日系企業への最新アンケート結果だが,ここからもその状況は見て取れる。
高まる日系の中国投資意欲

ポイントとなる数字は
・対象企業の49.7%が「(反日デモについて)当初は影響があったが、現在は無くなった」と回答。
・計87.1%の企業が事業環境はデモ発生前の水準に戻ったと認識
・しかし2年経った今でも依然として1割以上の企業で影響が残っている

役所等の日本製品に対する入札禁止等,直接的な障害は今は殆どなくなっている。
しかし,53.3%の企業が「日本製品ボイコット、買い控えによる売り上げ減」は未だある,としている。これはデモ直後の79.8%から減少傾向にあるが、「中国消費者の一部では日本製品に対する敬遠ムードが定着化している」という見方をこの分析はしている。

しかし,日本製品に対する敬遠ムードは本当に反日感情によるものなのだろうか?
反日感情は感じられない,とする前半部分と矛盾しているように思える。

前にも書いたが,中国ではSONYのBRAVIAは低価格ゾーンで販売されている。テレビだけではない。スマートフォンもエクスペリアのローエンドモデルは中国ローカルメーカーと同じ価格帯で販売されいてる。

もはや,「日本ブランドでござい」だけでは付加価値商売が出来ない,と見た方がいい。
それは反日影響ではなく,日本製品は「故障の少ない高性能な日常品」のスタンスでありプレミアム商品やクールな商品ではなくなっている,ということなのだ。
だから,中国製でも小米等,品質,デザインで問題ない商品が出てきたら日本製品は非常に苦戦する。
実はこの影響は韓国製品の方が深刻だろう。サムソン,LGが今後中国のローカルブランドと戦っていくのはかなり難しい。

それでも,上記アンケートからは日系企業の依然として旺盛な対中国投資意欲が見て取れる。
・41.1%は「拡大・新規投資を考えている」

チャイナ・リスクで外国企業はどんどん中国から撤退している,という報道が最近よく見られるが,実際はそれほどでもない。その理由は,「世界最大の消費マーケットである」ということに尽きる。この市場からきっちり利益を得る企業がグローバルを制することになる。

そういう意味では,自動車も例外ではない。VWやBMWは中国から莫大な利益を得て,それを元手に世界的に拡大を続けている。
この状況が続けば,欧米企業に対する日本製品のグローバル市場でのパワーは益々弱くなる。

ブランドの再構築は難しい。今や,性能や品質だけではブランドは築けない。
しかしAppleのような総合戦略を日本ブランドが構築していくのはたやすいことではない。
唯一できるかもしれないと思ってたSONYがこの状況であれば,もはや絶望的かもしれない。

ブランド力による付加価値ビジネスは欧米にやられ,ローエンドは中国製にやられ,日本製品のポジションは希薄になっていく。「品質と性能の良い製品」を作っているだけではそれは打破できない,ということを真剣に考えなければいけない。