ITSを疑う

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ますます便利にはなりそうもうないETC2.0

2018年10月03日 | ITS
前回のエントリーで中国のナンバー読み取り式ノンストップ駐車場について書いたら、日本人さん(ハンドルネーム)より情報を頂いた。

ETC2.0はユーザーにとっての利便性向上という謳い文句に、各種料金支払いのキャッシュレス、ノンストップ化というのがある。
曰く、駐車場、ガソリンスタンド、ドライブスルー、フェリー等。
しかし、これは実は2.0に限ったことではなく、ETC出現時からすでに15年以上言われ続けていることなのだ。

それがフェリーを除いては未だに実現していないというのは、何らか問題があると考えるべきだろう。

ガソリンスタンド、ドライブスルーはいずれにしてもノンストップにはならないから現実的にさほどのメリットがない。
唯一確実に便利になるのは駐車場だ。

それもあって、通信設備等の関係業界が「ETC2.0普及促進研究会」を作って駐車場のETC利用(2.0普及といいながら、通常ETCで対応可能)の実験を全国3箇所で進めていた。
その実験は今年の3月末で終了
そして、この研究会のウェブサイトのNEWSはこの半年前の記事以降、更新がない。
記事には「結果を国土交通省へ報告し、駐車場などにおけるETCの多目的な活用ができるまで、お待ちください」と書かれている。
そもそもETCは高速道路料金収受専用なので法改正が必要らしいが、それにしてもあまり進展がないと見るのが妥当だろう。

ユーザーからみれば間違いなく便利な駐車場のETC利用だが、なぜ普及が進まないのか?

以下は以前にも指摘しているが、実情はこのようなものだろう。

1.費用対効果
ETC決済をするためには駐車場にポストを設置し、それをオンラインで繋げる必要がある。その費用についてはネット上にあまり情報がないのでわからないが、古い情報では1基800万円。
では、その費用を回収できるか?答えはNO。駐車場の料金収受は自動精算機の活用などで今でも最低の人数で運営している。ETC専用にして現金車お断りにしない限り収受員は必要であり、結果人件費削減は望めない。
一方、投資に見合う収入増となるかというとそれも怪しい。駐車場はまずロケーションと料金で選ぶ。ノンストップだからといって大幅に入場車が増えるとは思えない。

2.割引処理
商業施設利用による駐車料金割引はたいていの駐車場で行っている。これをノンストップ退場時に反映することが難しい。
今考えられている方法は、ETCカードと同じ発行会社(イシュアー)のクレカで買い物をしてもらい、発行会社側でカード料金請求時に割引するという方法しかないようだ。
そのほかにも、ETCカードを抜き取り持参し、買い物時にレジで情報インプットしてもらいオンラインで割引情報をサーバーに送る等の方法があるだろうが、結構煩わしい。

法改正がされたとしても、上記二点が解決されない限り急速な普及はないだろう。


追記
上記の制約がない公共駐車場、例えば空港などはさっさと導入するべきだろう。ETC普及が日本ほどではない中国でも、筆者の知る限りでは上海虹橋、北京首都空港の駐車場で使われている。