ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

2018年を迎えて

2018年01月01日 | ITS
新年明けましておめでとうございます。
昨年は日本企業を定年退職し広東省仏山の中国ローカル企業へ単身赴任という、この年になって初めての大きな生活の変化があった年となりました。仏山での生活は特に問題なく、また会社の仕事も日本の大企業と比べればいい加減であることは間違いないものの、無意味な会議や報告書が業務の大半を占めていた日本企業よりはストレスは少ないと感じています。

さて、本ブログ本題のITS系ですが、2017年は圏央道の割引、道の駅への一時退出割引などETC2.0の各種優遇策が始まりました。
また、ETC2.0車載機のバリエーションが拡大し、価格も有る程度安くなったことから装着率も上がってきているようです。

しかし、これはユーザーニーズというよりは無理やりETC2.0だけに特典を付与し、あたかも便利であるかのような宣伝を行って拡大をしているだけで、実際にはETC2.0のメリットは圏央道をよく使う人以外にはほとんどないといってもいいでしょう。
この状況は2018年も変わらないと思います。おそらく2.0車載機の装着率はユーザー満足度不在のまま上がっていくでしょう。

2017年は中国のシェアバイクが話題になりました。
このブログでは2016年から何回かレポートしていましたが、これほど日本でも話題になるとは思いませんでした。
そして、昨年「中国すごい」とやや過熱気味に報道されていたシェアバイクも年末には不法投棄問題や後発事業者が軒並み破綻したことなどからやや冷めた見方に変わってきているように感じます。

やっぱりシェアバイクは無理だったんだろう、という論調もありますが、私はそうは見ていません。
問題は中国特有の、企業が「はやりものに群がる」「敵が死ぬまで金をつぎ込む」体質が供給過剰を生み出し、破綻業者がでたり放置が社会問題になったりしただけでありそれが落ち着いて適切な行政指導が行われればこのシェアビジネスは成立します。
これだけ大規模、かつ短期間でビジネスを立ち上げた中国の起業家精神は日本には見られない物です。

しかし、私が気になるのはそうした先進的な取り組みに対してシニカルな見方をする人がとても多いことです。特に中国が相手の場合にそれが顕著です。
例えば中国ではこの数年スマホキャッシュレスが急激に拡大しましたが、それに対しても「中国は偽札が多いからだ」「お札が汚いからだ」「現金を持ち歩くのが危険だからだ」「だから日本では必要ない」という意見を非常に多く見ました。
実際に住んでスマホキャッシュレスを使っている私の感覚では、これらは全く当てはまりません。使う理由は生活すべてを網羅し、特典もあり便利だから。そして事業者側の負担が小さいからです。

それは、10年ほど前にあった日本にはiモードがあるからiPhoneなんていらないとか、もっと極論するとファックスがあるからメールはいらないとか、そんな議論にも思えます。

ポイントは、中国のスマホキャッシュレスプラットフォームは完全に生活全般のエコシステムと一体化しているということです。
日本に存在する数々のキャッシュレスはそこまでの便益を提供していないことが普及しない最大の理由でしょう。
その前では、FelicaのほうがQRコード読み込みより早いとかセキュリティが優れているとかいう議論はまるで意味を持ちません。

中国の急速なIT化ははっきり言って拙速です。
でも、面白そうだからやってみるという起業家精神と、便利そうだから使ってみる、そして多少の不具合には目くじら立てない大陸的消費者がこの急速な変化、発展を生む原動力となっていて、中央政権もそれを後押ししています。

日本はそもそも進んでいるから不要なのだとか、中国のものはいい加減だから日本では通用しないのだという反論はややもすると思考停止にしかなりません。そうやって安心している間に世界はどんどん変わっていきます。

まだ日本の物つくりは世界一だと思っています。でも事つくりではどうなのか?この10年、日本発の新しい事ってなにかあったのか?
アベノミクスで景気が上向いている、というけどどう見てもほとんどが円安による既存商品の輸出為替差益。スマホや家電等、本来得意だった分野で負け続けです。
すくなくとも、「日本はこれでいいのだ」という内向きな考え方は変えていきたいものだと思います。


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