ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

限界集落とロボットタクシーは別の話だろう

2015年10月07日 | 自動運転
しばらくエントリーをできなかったが、自動運転に関する幾つかの話題についてアップデートしておく。

東京オリンピックまでにロボットタクシーを実現するというDeNA・ZMP合弁会社の動きとして、政府との共同プロジェクトにより来年から藤沢市で実証実験が行われる。
50名のモニターを募集し、住宅街とショッピングセンターの3キロの特定路線を運行する。ロボットタクシーと言っても係員が2名乗車する。
ENGAGET 日本版 

上記のENGAGETの記事に限らず、WEB上で見受けられる論調は
・ロボットタクシーは限界集落に暮らす老人への福音
・大きな問題は法規制
という感じだ。小泉政務官も同席した記者会見ではこの限界集落問題がロボットタクシーの主要な存在意義のように語られている

しかし私はなんとなく引っかかるものがある。

確かに自動運転は自分で運転できなくなった、もしくはできない人々の自由なモビリティを確保するという意味が非常に大きい。
しかし今回の実証実験は住宅地とSCの往復に限定される。それならSCが有人の巡回バスを出せばいいのだが、ビジネス的に成立しないのだろう。
特にこの実証実験、50人のモニターに対して専用車両2台、一台に係員が2名乗車。バックアップ車両2台を用意する。50人に対して車4台、係員4人が配備される訳で相当な費用がかかる。
有人タクシーのほうがはるかに安いが、もちろんこれは実験だからしかたがない。ではその延長にある完全ロボットタクシーならビジネス的に成立するのか?

完全自動運転のロボットタクシーが走り回る世界が実現すれば、その運行は集中管理されて実車率を極限までたかめ、かつ運転手の人件費がかからにということから現在の有人タクシーよりも相当コストが低減される。これは疑いようがない。
車を所有するより経費負担が小さく、かつdoor to doorで駐車の手間もなければ車を保有する意味は全くなくなるので、将来自動車はすべてロボットタクシー、要は公共交通機関になる。この世界は相当時間がかかるがいずれ実現する。

しかしそうなったとしても限界集落への送迎は実車率を落とすのでコスト割れになる。専用車を集落に配置する必要があるかもしれない。
公共交通機関という観点から全体で薄めることになるのだろうが、運転手の人件費分は削減できるものの、それでも赤字バスの運行とかわりない。

ロボットタクシーが運転できない人々に自由なモビリティをもたらす福音であることは全く疑問の余地はないが、それと限界集落は別の問題なのだと思う。


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