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高速道路大口割引継続、ETC2.0限定の闇

2016年08月31日 | ITS
高速道路の各種割引はリーマンショック以降、政権交代や大震災があり複雑に推移してきたが基本的にはすべて近いうちにその期限を迎える。
これらには経済対策という名分があったものの、実態としてETCの普及に効果があったことは間違いない。ETC普及という意味ではその役割を終えたわけだが、だからといって割引が常態化している中、すぐやめるわけにはいかないし経済状況も決して好転はしていない。

一方で250億円だかを使って路側機を1600基も整備したETC2.0の普及はさっぱりだ。
よし、割引は継続するけど対象をETC2.0だけにして普及促進しよう、というアイデアが出てくることは子供でも分かる。

しかし、一般の乗用車ユーザーがわざわざお金を払って今でも使えるETCを2.0に買い替えるわけがないし、そうでなければ割り引かないと言い張れば批判が殺到し、逆に2.0の失敗-無駄使いをさらけ出すことになってしまう。だからETC割引はなんだかんだと継続することになるだろう。

そこで目を付けられたのが大口ユーザー。物流円滑化などの大義名分がある。

大口割引はその内容が複雑なので詳しくは言及しないが、2014に経済対策としてETC装着車の最大割引が50%となり、それの期限が今年4月に来たのだが「ETC2.0 装着車に限り最大50%を2017年4月まで継続、通常ETCは最大40%」にすることを決めた。
しかしこれについても当然ながら運輸業界からの反発があり、経過措置として通常ETCでも今年16年の9月末までは割引継続としている。(多分、9月末になっても実施は無理だろう)

国交省や道路会社のWEBサイトを見ても、なぜ2.0に対して割引優遇をするかの説明がない。あっさりと「物流コストの安定化や物流の円滑化のため」という形容詞がついているがその実態は全く不明。これが事実なら物流業者は喜んでETC2.0に買い替えているだろう。しかも今年の4月から大口ユーザー対象(45万台)の買い替え10000円助成キャンペーンもしている。

これでも抵抗されるということは、いかにETC2.0が運送業者にとって「必要ない」ものであるかということだろう。

ETC2.0を装着することで従来より正確なリアルタイム渋滞情報を入手できる、というのがうたい文句だが、VICSやGoogleマップの情報で十分なのだろう。また物流管理サービスにも使えるといって推進しているようだが、社会実験が始まったばかり。これとて通信を使ったシステムが既に沢山存在しており、ETC2.0でなければできないことは一つもない。

それでも国交省がETC2.0の普及促進をあきらめない理由はなんなのだろうか?
国として交通のビッグデータを取りたいというのが一つあるだろうが、そんなものはもう世の中にいくらでもある。
ドカンとぶち上げたITS政策のなかで残ったのはこれだけ。これがぽしゃったら何も残らない。だらだら続けている限り失敗の烙印が押されることはない、ということなのだろうか。

しかしETC2.0はこの先続けてもこれまでの投資に見合う社会的効果が出るとはとても思えない。
潔く失敗を認め、お金をかけて無理やり普及を進めるのはもうやめにしたらどうか。
投資はサンクコストと割り切ってきっぱり清算したほうが良い。


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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
高速道路3社、ETC2.0未搭載車の割引適用を12月で終了 (後野まつり)
2016-09-30 22:05:28
ある意味普及率をよく分かっている方々…
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