ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

外環道着工

2012年09月05日 | 高速道路
9月5日、外環道練馬世田谷間の着工式が行われた。昭和41年に事業計画が決定し、46年間凍結されていた工事だ。

ニュースステーションでは、これについて以下の2点が指摘された。
まず、渋滞がなくなって便利になることと、それにかかる多額の費用の関係をもっと明らかにするべきだ、という提起がなされ、
もう一つは、外環道整備の理由の一つに国交省が提示した「都心環状線の架け替え工事の間のバックアップに外環が必要だ」という話をくせ球と非難した。

後者については、同意。都心環状線の老朽化は否定出来ない事実だが、なぜ補修ではダメで架け替えなのか、架け替え(多分、地下化)にするとしても、なぜ現在の環状線を供用しながら工事ができないのか、ということに合理的な説明がなければ到底納得出来ない。これは別議論だろう。

しかし、前者についてはあまり納得できない。
放射状線と環状線によって構成される自動車専用道は、都市インフラの基本。それが未整備で、大型トラックをはじめとする物流車両が一般道を通過しなければならないという状態を50年近く放置したことが異常なのだ。
大型トラックが一般道を通過することによる環境負荷は大きい。

これは環状八号の渋滞がなくなって便利になる、というような単純な事ではない。
一般道を通過するトラフィックを自動車専用道に振り替えることで確実に交通事故が減少する。一般道と自動車専用道では交通事故死の発生率に大きな違いがある。さらに沿線の環境も好転する。一定速度で連続して走れば環境負荷は小さくなる。

インタビューでは「車は将来減るのだから不要だ」という反対団体の方の意見が放映されたが、たとえ渋滞が将来緩和されたとしても通過車両は専用道を走らせるべきなのだ。

また、自動車保有台数は今年あたりがピークで、今後緩やかに減少していくと思われるが、この先 10年というスパンで都内の渋滞が解消するほどに少なくなるとは思えない。 私が免許を取得した昭和50年代の半ばでも東京の渋滞は激しかった。今、自動車保有台数は その当時の倍になっている。
環状八号を取り巻く状況が問題なくなる程度まで改善するという保証はどこにもない。
(むしろ東京の渋滞が問題なくなるほどに人口、 車の数が減ってしまった日本の姿を想像するのが恐ろしい。)

また、建設費用は通行料でまかなえず一兆円の税金が投入されることを問題視しているが、社会インフラってのはそんなもんだ。 収支が取れない道路に税金を投入してはいけないとしたら、一般道は一切作れない。

必要なら税金を投入する。不要ならしない。それだけのことだろう。

だからこそ言いたいのだが、なぜマスコミは第二東名を取り上げないのか。
さして渋滞しない東名高速静岡県区間にもう一本多額の費用をかけて高速道路をつくってしまったことをなぜ問題視しないのだろう。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿