ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

CEATEC 2007 ITS関連 その2

2007年10月06日 | ITS
パナソニックはDSRC車載器の展示をしていた。

実は私はその隣に展示されていた「全周囲監視カメラ」の方に感銘を受けた。(写真)
車両の周囲4箇所(若しくはそれ以上)に設置されたカメラからの映像を処理・合成し、車の上方からの俯瞰画像に変換してナビモニターに映し出す。
カメラが存在しない場所からの映像はまるで魔法のようだ。

この装置、10年後の車には標準装備になっていると思う。

で、DSRC車載器だが。

首都高の実証実験に使用している車載器が展示されていた。
DSRC(ETCの通信に使われる技術)を使い、前方の渋滞や合流車両の接近を警告する、というシステム。
通常のETCより2まわりは大きいが、説明員の方によれば、市販される時には通常のETCの大きさになるという。
で、肝心の市販はいつか。これは明確にお答えいただけなかった。

ここからは私の憶測も入るが、おそらく現時点での市販化計画は白紙だと思う。

だって、まったく売れる見込みがない。
首都高速の安全警告路側装置は実験用に5-6箇所設置されているが、同様の装置が全国展開されて少なくとも数千のレベルまで増加しなければ、だれもわざわざ高い機械を買うわけがない。

しかし路側機側、-これは設置をする官(それが国交省か警察庁かは微妙)ということになるが- も、車載器の普及が見込めなければ事業を進めることは出来ない。

もともとのシナリオでは、駐車場や給油所でのDSRC決済(商業利用)を拡大することで多機能型ETC=DSRC車載器の普及を民間主導で行う、一方、その為の規格統一は官主導で行う、ということだった。結果DSRC車載器が増加すれば、路側機の設置も可能になる。

しかし、規格統一などの基盤整備は終わったのだが、肝心の商業利用がまったく始まらずに完全にスタックしてしまっている。

結局のところ、現在の状況を打破するためにはDSRC車載器に国が補助をだすか、先行投資として路側機設置を開始するかしかない。いずれにしても税金投入だ。

しかし、私にはこの事業、これ以上国庫を使って進める価値があるようにはとても思えない。

そもそもシナリオが無理筋なのだ。
給油所やドライブスルーでのキャッシュレス決済なんかにそんな大きな市場は存在しない。個人経営が多い駐車場が高額のシステム投資をするわけがない。

官にはこうしたところが見えないのだろう。
民間も、複数社が関係するとお互いヘジテイトして正論が出せなくなる。
結局、こうした官民共同プロジェクトはマネジメントが不在になっちゃうんだね。


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