今回は雄さんの記録を拝借
スノーブリッジに危険を感じながら渡り岩場を越え遮る灌木を潜り抜け十字架にかけられたキリストの様な姿になりながら
ようやく尾根に登りつめると、そこは痩せ尾根で雪庇が高倉山頂方向に続いていた
此処まで来るのに4時間以上、費やしたので疲労も深く
とにかく何か腹に入れないとまずいとの意識から休憩し持参したバナナを口にした
垣間見える山々の美しさは不安を打ち消す材料にはなってはくれないものの暫くは残雪の景色に目を奪われていた
ー(略)ー
休憩後一応 用心のため持参した軽アイゼンを装着し壊れ易い雪庇を注意深く登って行くと
雪庇が切れた辺りからアバランチスロープになりフラットに置いたのではズルズル滑るため
キックステップにすると、どうにかアイゼンの効果があらわれた
1時間ほど登り詰めると高倉山の岸壁直下に出たが、さて登るルートが分らない
二人して周囲を探索するも岸壁右側の尾根は傾斜がきつく雪の状態も見るからに恐ろしい
左側の尾根は山頂への傾斜が多少緩く見えたがアバランチスロープをトラバースしなければならないので躊躇していたが
このままでは居られないし焦っても危ない
冷静になる事を意識しながら色々考えた
戻るという判断は来る時の状況を思い出すと
(所々木の枝を折ったりケルンを作ったりして目印は残してきたが)
余りに危険であるしトレースの自信は持ち得ていない
焦燥感は募り下手をすると遭難の可能性も頭をよぎった
(下山路を見つけるため右往左往した辺り樹齢数百年と思える1本の老ブナが目を引いた)
この時、時刻はPM3時近くになってしまっていたので家内が気になると言った
左尾根に行く事にしトラバースを決行する事にした
恐らくアイゼンが無ければ登れなかったであろう斜面を少しずつ少しずつ登り尾根の肩に這い上がると
まさかの登山道が・・・少し下には9合目標識も木に掛けられていたのだ
大きな声で「「道が有ったぞー」と声を掛けるも返事が無い
何か有ったか心配しながら待つ事10分、ようやく登り上げた家内と肩を抱き合ったものだ
ここから山頂は目と鼻の先
時間も時間なので家内を残し単独で山頂へ
先ずはロープで登り上げて其処から約10分先の山頂は山名標識は設置されていなかったが360度の目を見張る大展望
ーー
下山時間は4時近くになっていたと思う
登山道は様々な花に彩られ時間を気にしながらも写真撮影に足を止められる事しばしば
ただ、この登山道は粘土質のため非常に滑りやすく、その上に枯葉が堆積しているので要注意だ
しかも斜度は半端ではない
注意していても家内は2度、尻餅をついてしまった
4合目付近で岩を抱え込んだ何と表現して良い物か凄い形相のブナを見た
花はまだまだ続く
1時間半かけ渓流沿いの登山口(?)にやってきた
正規のルートならば全く難しい山では無かったのだ
しかし、この先で事故が起こるとは思いもしなかった
車の駐車場所にあと僅かと言う所で家内が小さな石に足を取られ転倒し手首を骨折してしまった
ピチッと音がしたと言うのだ
最初は何を言っているのか、ただ茫然と見ているだけだったが家内の顔に苦痛の表情を見、ようやく理解した私は
タオルと落ちている木の枝で添え木を作り取り敢えず固定し急ぎ病院に向かう事に
多分、10時間に及ぶ登行が関係したに違いない
病院に向かう途中、パトカーに会ったので事情を話すと親切にも先導してくれるという
感謝しながら六日町総合病院に着くも当直外科医がおらず結局1時間10分かけ
高崎の病院で手当てを受ける事になった
(最後まで側に居て下さった南魚沼警察・宮駐在所の大津様
事後処理で挨拶が少し遅くなりますが・・・
本当にありがとうございました)
後記
あの時、アイゼンが無かったら
あの時、ルートファインディングが間違っていたら
山は恐ろしいもの、十分な装備と冷静な判断
改めて教訓にしなければと
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