平成5年7月
庚申山(栃木県) 8時間行程
前橋で財布を忘れてきた事に気付く。雄さんのズボンのポケットに運よく入っていた
500円玉と10円数個が頼りと言う何とも情けない今日一日の始まりとなった
中略
8時35分出発、暫くしてから今度は水筒の無いのに気づいた。車まで取り行くには大分
歩いてしまったので諦めてはみたがそうなると無性に喉の渇きが気になった
今日は目茶苦茶な登山になりそうだ
庚申七滝の一つに立ち寄り岩間から流れる水を口に含み一息ついて出発だ
神社の手前に見た事も無い花が有ったので近くにいた登山者に尋ねると
ショウキランで有ると教えてくれた
(滝とショウキランの写真は後日、その男性が送って下さったもの)
水面沢沿いの爽やかな道を進み大きな鏡岩を過ぎ、やや急な登りを尚も進むと
庚申山荘とお山廻りの分岐だ、ここで先ほどの男性と奥様と共に小休止
男性は花を写すのが趣味との事だったが接写ばかりなので奥様に花は花らしく、もっと
全体を写した方が良いと批判されてばかりいるとの事だった
此処で御夫婦と別れお山廻りのコースを選び笹原の急登を喘ぎ喘ぎ登る
本当に苦しい登りだ、庚申山の前衛として立ちはだかる奇岩、岩壁を巻く様になると
気持ちに余裕が出,周りの景色に目が行く様になり鎖場や梯子等のスリル有るコースを
楽しみながら歩く事ができる様になった
一面、岩にしがみついて咲く雪割草は厳しい修験道とは対照的に愛らしく
風に揺れる姿は何だか気持ちをホノボノさせてくれた
(夏に雪割草は可笑しな事だが店で売られている物は実は偽物、名前を聴いたが忘れた)
下の写真はコウシンソウだ
何故か危険な場所にしか無く手こずった一枚だ、側に居た登山者が言うには
「氷河期残布の食虫植物で此処にしか無く特別天然記念物に指定されている」との事
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歩きながらふとフイルムの事が気になった
ポケットを探して見たが無い
確か予備を用意したはずなのに家に置いて来てしまった?
フイルムは22枚を撮り終え残すところ2枚、考えてみれば結構、無駄撮りをしていた様だ
今日は何てドジなんだろうと反省するも後の祭り
撮りたい場所も諦めて頂上の為に残す事にするっきゃない
鬼の髭摺りや岩戸庚申を祀る洞窟を過ぎ大脂内を潜ると再び急騰となり気力の限界に
近づいた頃、下山して来た女性二人が「もう直ぐです、頑張って下さい」
こんな時のもう直ぐは当てにならないが・・・ありがとう!と
しかし中々手強い
そして終に山頂に立ったのだ
木に覆われ展望は無いがガイドブックによると少し先に展望台があると言う
シャクナゲやベニサラサドウダンが咲く登山道を西に3分ほど進むと
成る程、目の前に皇海山そして日光の山々や足尾の山が一望される岩に出た
この皇海山(日本百名山)も後で登りに来なくてはならない
この庚申山滝沢馬琴の南総里見八犬伝の舞台で
犬飼現八と赤岩一角が死闘を繰り広げた所と先日のテレビのリポーターが話していたが
馬琴も、この山こそ死闘を演ずるに相応しい場所と思ったのだろうか
拘りはやめて現実に戻ろう
庚申山荘に戻るとキャンプ場が有る為か樹林の中に食べ残しを狙う猿の群れを見た
如何にも庚申山らしい夥しい群れだ
駐車場には4時半に着いた、何はともあれ水分補給だ
帰り今日は前橋の七夕祭りの為、R50の渋滞をラジオが伝えていた
大間々・沼田線と有る標識につられて右折したのが不味かった
この道は赤城の北面を巻いているのだが行けども行けども山の中、先が見えない
ガソリンも心配になってきた、もう一番下のメモリを過ぎようとしている
唯一前橋へ抜ける道路は有料道路、お金がないのだから通れるはずが無い
家に着いた時には未だ点滅ランプこそ点かなかったが明朝スタンドへ行くのが
ギリギリの状態だった
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