たかたかのトレッキング

駆け足登山は卒業、これからは一日で登れる山を二日かけ自然と語らいながら自由気ままに登りたい。

思い出に残る山(19) 日向山(1659.6m)

2017年12月20日 | 心に残る思い出の山
H5年

(R20より白須町から尾白林道に入り暫く林道を辿ると日向山への標識)


登山道は赤松の間を緩やかに迂曲している。よく整備された道だった

(略)

矢立石付近から深い熊笹を分けるややキツイ登りとなり周りを見渡すと

全山、熊笹に覆われその中に唐松の木が点在するのみ

時折り野鳥の鋭い鳴き声が耳を突く


『(略)山は人間が作った建物では無い、部分的な崩壊が起こっても

やがて、それが馴染む時がくる』

山渓で読んだそんな言葉を思い浮かべながら尚も進むと自記雨量観測機が置かれた先

「三頭三角点はこの先」と消えそうな文字で書かれた標識に従って

右に折れると畳2枚ほどの広さの中にポツンと三等三角点を見つけた

ここが山頂なのだ

(略)


(岩が無ければ木に上る)

「何と味気ない山頂」と思いながら登山道に引き替えし樹林帯を抜けると・・・・・


(鳳凰三山も間近)


(八ヶ岳を背に)

盛んな火山活動の跡を思わせる幾つもの頂上も今は裳裾を長く引いた

優美な佇まいの中に納まっていますね


景色は一転し、眩しい程の白砂の広がりに思わず歓声

花崗砂岩が広がる崩壊地で所々が崩れ残った岩が奇妙な形で屹立している

まるで石の彫刻の野外展と言った感じだ、そしてその向こうは深い谷

「これが日向山の見せ場か」と雄さん

すぐ側に山の団十郎・甲斐駒ケ岳、振り向けば八ヶ岳と展望も申し分ない

そうした山々を眺めていると低山で有りながらアルプスの仲間入りをしている様な

錯覚さえ覚え壮大な気分になってくる


(日向山標識と後ろに甲斐駒ケ岳)





(略)

10年後、再びこの山を訪れたら山の形はどうなっているだろうか

そう思ってしまう程、こうしている間にもサラサラと絶え間なく白砂が崩れ落ちている

岩に手を置くと其処からまた崩れる、人が登る度に

少しずつ少しずつ姿を変えて行く山なのだ

一番先端の岩を攀じ登ると羽蟻の大群の襲われ退散

人を寄せ付けまいと、此処を守っているかの様だ

とても此処に長居は無理なので直ぐ下の岩場で先ず日本酒を取りだし・・・

睡眠時間が足りなかった私はカップ半分で、ほろ酔いとなってしまった

・・あぁ何て明るくて開放的な場所なんだろう、展望も最高、いう事なし




そうこうしている内に二人占めしていた、この山にも登山者が集まり始め

大分、賑やかになってきた、そろそろ退散の時が来た様だ

まるで雪原の様な斜面を下って眼ヶ沢を目指す

(まるで雪渓を下っている気分だったでしょうか)

樹林帯に吸い込まれる様に下ると、そこからは沢のトレイルで

小気味よい程の急下降が続く

数人の登山者に出会ったが、こちらからの入山はかなりキツイらしく

私達が端に避けて道を開けているのに目の前で座り込んでしまう登山者が・・・

暫くすると水音が一段と激しくなり


フィナーレに相応しく錦滝が迎えてくれた、お弁当を広げるに相応しい場所だ

そして此処は山の終点でも有り直ぐ目の前には林道が走っている

錦滝は少し捻じれ加減で二段に流れ落ち思ったより立派だった

此処からは右側に甲斐駒、深い切れ込みの渓谷、至る所に咲いているオオビランジの花

岩を舐める様に流れる清楚な滝、遥か先に流れ落ちる滝を眺めながらの

40分で有ったが単調な林道歩きを楽しいものに変えてくれた

駐車場に戻ると日向山の人気を物語る様に私達が朝、来た時には一台も無かった

林道の両側には車がビッシリだった

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