たかたかのトレッキング

駆け足登山は卒業、これからは一日で登れる山を二日かけ自然と語らいながら自由気ままに登りたい。

思い出に残る山(23)安達太良山(滝コース)

2018年01月25日 | 心に残る思い出の山
平成6年8月  9時出発


初の東北の山・安達太良山

不安など全く無い、期待ばかりが大きく膨らむ

宿の方は雄さんに任せ滝好きな私はロープウエイの通じていない

塩沢登山口から入山するコースを選んだ

登山道に入ると渓谷を流れる沢音が早くも耳に心地よい

靴底に優しい土の感触も有り難かった

馬返し・金剛清水を過ぎ緩い傾斜を詰めると歩き始めて丁度一時間

三階の滝上部に到着


先ずは「一階」


樹林を巻き上げて「二階」


岩伝いに進んで「三階」

滝はそれぞれ趣を変え優美に、そして豪快に流れ落ちる

(略)


屏風岩からは遥か下に流れる湯川と前方に二段になって流れ落ちる滝相恋の滝








八幡滝

(略)

滝入口の標識から一下りで滝下に着いた

岩壁の凹凸を成すがままに落下しているその姿と音は清涼感たっぷりで

火照った体には何より

滝の右側を攀じ登り上に出ると、まるで滑り台の様な滑滝が身をくねらせながら

岩を滑め微妙な紋様を描きつつ落下している

岩と水と樹林、それらが織りなす自然の美

水が有ると景色はこんなにも美しくなるのかと言う見本の様な場所だった

   

直接、くろがね小屋へ行く道を見送り尚も岩盤を詰め霧降の滝へ向かった

足を滑らせたら八幡滝まで再び戻されてしまいそうなほど岩盤は良く滑る

慎重に岩盤を右に左にと渡り返して進むと高さ5m程の地図にない滝があり

この滝を巻いて再び沢を詰めると八幡滝から35分

前方に湯川渓谷最大の霧降の滝が現れた 一瞬、息を飲むほどの素晴らしさだった

私達は滝の直ぐ前の岩の上に座り暫く滝を眺めていた

カワガラスが岩から岩を行ったり来たりを繰り返している

双眼鏡を出そうとしている間に上部に移って水を飲んだかと思うと姿を消してしまった

滝壺に近づくと体中に飛沫を浴び夏だというのに身震いする程だ

時刻は11時45分 ここをランチタイムと定め持参の日本酒を流れの中で冷やした

下って行った人の話では、この先はかなりの急坂で笹平まで結構な時間を要するらしい

くろがね小屋へは何としても4時には着きたい


時に道を外してしまい後ろから来る雄さんに注意されたりしながら1時間半

漸く笹平に到着、途中にあった清水は硫黄臭が強く飲めないが顔を洗ったり体を

拭いたりするには十分だ 水の冷たさがヨレヨレの体に再び活力を与えてくれた

雄さんが腰かけた側にリンドウの花が一輪、近くでクマゼミが気怠そうに鳴いている

(略)

残り少ない水を分け合って飲み何処までも続く笹原に分け入るが最初の内は未だ良かった

笹は進むほどに深くなり身の丈も有る笹を掻き分けたり胸まである笹の海原を泳いだりと

次第にやり場のない不満の中でブツブツ文句を言いながら歩いたが

最後にはその文句さえも無くなってしまった

希望が見えたのは徐々に近づく山の中央に登山道が確認されていた時だった


(略)

漸く山に取りつく事が出来た 汗で湿った体にススキの穂がべったり付き

ちょっとやそっとでは払い落とす事も出来ない

振り返る山の斜面はたった今、悪戦苦闘してきた笹原が実に伸びやかに

そして穏やかに高原の広がりを見せ陽を浴びてキラキラと光っている

その後ろには台形をした箕輪山がどっかりと居座っていた

続く


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