たかたかのトレッキング

駆け足登山は卒業、これからは一日で登れる山を二日かけ自然と語らいながら自由気ままに登りたい。

(続-2)岩手・早池峰山

2021年02月03日 | 心に残る思い出の山

続き

帰路は小田越へ下った。稜線歩きは花花花のオンパレード。「Oさん、この花、覚えてる?」「キバナノコマノツメ」  「これは?」「キバナノコマノツメ」  折角覚えたキバナノ・・・を忘れてはならじと新しく現れる花、全てがキバナノ・・・これは何時ものさりげない彼のユーモアなのだ。

   

ナンブイヌナズナ & ウコンウツギ

ミヤマアズマギクやオダマキなど

   

イワカガミ & ヨツバシオガマ

イワベンケイ

皆は既に先に進み見えなくなったが、このまま通り過ぎるのは勿体ないと私達三人、存分花を楽しみカメラに収めた。 「写真は見た花の一部です」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

いよいよ下りに入る頃、風と闘っている先頭に追い付いた。とにかく半端では無い。右方向から叩きつける様な勢いで襲いかかって来ると思えば今度は下からの突き上げだ。その度に体がよろめき髪の毛にビシビシ顔を叩かれる。それこそ今まで体験した事の無い荒れ狂った世界だった。あろう事か私はこんな時に尿意を催してしまったのである。ハイマツを掻き分け岩陰で・・・・・・強風の中、二度とすまいと思った(^_^;)  山道に引き返すと別の団体の男性が強風下の「キジ撃ち、女性ならばお花摘み」体験を手振り身振りで話し大笑いしていた。もしかして私がハイマツ帯から出て来たのを見た?それで思い出したのだろうか。

少し前を行くTさんとSさんが蹲り慌てている。何事かと駆け寄るとTさんのコンタクトレンズが、この強風で渇きずれてしまったとの事。 風除けを作りコンタクトレンズを外し事なきを得たが彼女も、雄さん同様、この時から遠近に支障をきたす道中が始まった。

髪が顔を叩く

渦巻く霧の中、耐風姿勢を取りながらヨロヨロ進んで早池峰名物の梯子を下り尚も岩場を進むが風は一向に衰えをみせず、まるで山を揺るがさんばかりの勢いで吹き荒れている。 意識の中に沢山の花がチラチラしていたが強風に追い立てられ、その上に滑りやすい蛇紋岩という足場の悪い下りでは身を護るのが精一杯。

お金蔵の岩場ももう少しで終わりと言う所で急に雲の幕が開き東方上空に紺碧の空が広がった。すぐ前に対峙する薬師岳が姿を見せ下方には青々と広がる草原の中、点々と散らばる岩は秋吉台を思わせた。

すると「はい、これまでよ」とでも言うかのように雲がユックリ押し寄せてきた。先端を鋏で切った様な黒雲、まるで舞台の幕引きの様だ。「アンコール、アンコール」戸部ちゃんが叫ぶ。「戸部ちゃんのアンコールでは無理無理」と言ったのは誰だったろう! 何せ彼は嵐をも呼び込む雨男なのだから。 振り返ると早池峰の山頂は依然小ガスの中、たった今 下って来たお金蔵の岩場の凄い形相が霞んでいるだけだった。

御田植場を終わった辺りで再び視界が開けた。ずっと緊張の連続だったので5合目で休憩。予想以上に厳しい下りだったせいか皆ホッとした表情で腰を下ろしている。気が付くと青ちゃんの姿が無かった。安全な場所まで来たので校長先生に後を任せ一足先に下り河原坊で待機している車を小田越まで廻して貰う為だと言う。

御門口からは今迄とは一転、林の中の下りとなった。風からは解放されたが今度はムッとした暑さに襲われた。それでも皆無事に揃って小田越に着いた時には誰もが心から幸せな顔だった。

釣り組の面々と

 

   

後日、早池峰山行の面々、「山平」で打ち上げ。

「4/29に285回の火山性地震が発生した岩手山では6/23に低周波の火山性地震が、24日には火山性微動が観測され登山者に入山の自粛を呼びかけ7/1から全ての登山口が閉鎖された」

コメント (18)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする