新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

4月26日 その3  オリンピックのエンブレム

2016-04-26 16:54:05 | コラム
A案に決定:

私はあの4案が公示された時点で「どれも気に入らないが、強いて言えばA案」と言いました。それは「どれも駄目」と言ったのも同じだと思って言ったこと。どうやら、前回のように何処からも苦情が出ないように精密に調べ上げた結果で、あの煮え切らない四つが最終の候補に残った模様。

あの中ではあれしかないとは言っても、一寸暗すぎる印象は否めず、単色である事も寂しさを感じさせます。そうかと言って、あの構図で他の色に変えても代わり映えがしないとしか思えません。外国でどう思われるかとか、そういう心配を忘れて「これぞ我が国の英知の結晶」くらいのことを言う度胸と「諸外国何するものぞ」と言うくらいの気迫が望ましいのです。

それはそれとして、狭量であり差別だと批判されようと何だろうと、何故中華民国籍のままである王貞治が重要な役割を果たすオリンピック関連の委員なのでしょうと問いかけたい衝動に駆られます。彼が野球で立派な実績を残した人格高潔であるような人物だとは承知していますが、彼以外に同胞の学識経験者で立派なスポーツ経験者がいないとでも責任者は考えていたのかと、些か不思議です。

一歩譲れば、オリンピック用のエンブレムのデザインを決めるのに、何故にスポーツ経験者である必要があるのかも解りません。専門的知識は何処まで優先されたのでしょうか。この辺りは森元総理が主要な地位に何時までいることと同じくらい、私には不可解です。ではあっても、此処で決まったことは"better late than never"でした。

4月26日 その2 kazk様に

2016-04-26 07:56:25 | コラム
kazk様

コメントを有り難う御座いました。ラグビーを採り上げれば反応して頂けるかと密かな期待はありました。

お説には異論などありません。サンウルブズの負け試合もいくつか見ましたが、結局はW杯で見せた体力というべきか向上した身体能力を過信したかのようなラグビーになっていたのではないかと感じていました。

それよりも何よりも、私が不安であり、情けない思いをさせられていたのが「ラグビーがあそこまで出来るようになっていたにも拘わらず、サッカーの脆弱振りを何とかせねば」という点です。彼らは明らかに身体能力でラグビーに劣る者しか集められておらず、「欧州に行って上手い者たちの中に入って使って貰えばある程度のことが出来るが、自分たちだけの代表テイームでは未だ中途半端でしかない」と言う大問題を抱えています。あれでは、何時まで経っても「勝ち方」を習得出来ないと危惧します。

一方のラグビーは「力はある程度以上に達した。残された課題はあの外国人の中に入っての『勝ち方』を身につければ良いだけ」の段階に近づきつつあると見えるのです。ラグビーのふりを見て、サッカーは我が振りを直すべき時が来ているのでしょう。

日米間の企業社会に見る経費と予算の違い

2016-04-26 07:52:22 | コラム
実費精算主義を回顧すれば:

前回、アメリカの企業では出張旅費の精算は実費主義であると述べたので、此処ではその詳細を回顧して我が国との企業社会における文化の違いをあらためて採り上げてみたい。アメリカ式考え方は「社用で動いている以上、その間の経費は会社負担となる」なのだが、極論すれば「出張中は個人の出費はない」ということにもなる。

クレデイットカード:
事、社用の経費の支払いについてはは所謂”Corporate card”を全員が持たされていたはず。W社はAMEXと提携して出張中の経費は全てこのカードで決済すると決められていた。即ち、全額が会社宛に請求されるということ。これ以外で決済すると経費としては否認されるとなっていた。私用で使った場合は精算する時点で会社に返還せねばならないので一寸面倒な事になるのだった。

電話代:
出張中の電話代は社員全員(組合員は違うと思っていたが)AT&Tのカードを持たされていた。滞在中のホテルでは市内電話はそのまま部屋付けが許されるが、市外というか長距離は全て交換台を呼び出してAT&Tに繋がせ、そこのオペレータに電話する相手の番号とともにカードの番号を伝えて、そのカード番号チャージするように伝えねばならない規定だった。これは「アメリカのホテルは市外通話をすると法外な割増料金(=surcharge)を取るので、これを避けて経費を軽減するる為だった。これを怠った者が市外通話を自己負担にさせられるようになっていた。規定を無視したのだから当然と考えるのがアメリカ式。

このカードの使う場合は十分に用心せねばならないのがアメリカで、我が国とは異なる危険性があった。即ち、迂闊に誰か第三者にカード番号を聞かれるか盗まれると、勝手に使われてしまうことになるのだ。私の番号も何時の間にか盗まれていて、退職後に南米にかけられたことがあった。また、このカード番号は公衆電話からでも使えて国際電話でもかけられるので、そのやり方を覚えれば現金を持っていなくても使えるので便利だった。

出張中の経費:
ホテル代(洗濯代等全てホテル内で発生する費用を指す)は勿論、食事代、接待費、交通費、出張中に必要となった買い物、チップ等々を全て経費で処理する方式。証拠書類(=”voucher”)の領収証は$25以下は添付の必要なしと規定にはあるが、つけておく方が無難だった。これを毎日細かく記憶するのは大変なので、会社がそういうメモ帳を用意してあり、そこに毎日記入するのが一般的。だが、私は抜群の記憶力で、2週間くらいはメモなしで処理していた。

予算の立て方:
与えられた予算を毎年その範囲内で使い、尚且つ設定された目標値以上の実績を挙げて上層部にも認められて、初めて次年度の経費の予算を自分で立てられる事が許されるようになるのだ。そうでないと、何時まで経ってもうだつが上がらないように出来ているのがアメリカの会社の文化だと私は解釈していた。この辺りが所謂「実力の世界」だと言うのだろうが、私には我が国で考えているアメリカの会社とは一寸違うように思えるのだが如何なものだろう。即ち、上司にどのように認めさせるかが極めて重要な世界だと言うことのだが。

この出張旅費規定であれば、日本式で発生する各自が背負い込みになるような事態は先ず発生しないだろう。それにアメリカは車社会だから仕事が終わってから仲間と「一寸一杯」という事態は先ずあり得ない。飲むなら、レストランやホテルでの食事の後にバーに移動して軽く仕上げの一杯程度。これはほとんど割り勘になるようなシステムがあるから、各人が領収証を取れば良いだけのこと。また店側も心得ていて、「ワンチェック?」と必ず訊いてくる。要するに、経費で計上したければ全て領収証を取って置けとなる仕組み。

W社の場合:
W社ではアメリカ全土にある事業所、営業所、工場等が内線電話で結ぶ方式が、私が入社した1975年以前に完成していたので、ワシントン州の本社から社内のネットワーク外の、例えばロスアンジェルスの取引先でも友人にでも電話をしても、その通話はLA市内の公衆電話と同じ料金になるように出来ていた。このシステムは初期コストは膨大だったと聞いたが、所謂ランニングコスト(正しくはoperating cost)は最低限で済むので経費節約になると説明された。この辺りがアメリカの大企業の凄さかと感じた次第。

経費の件ではないが、我が事業部の工場があった広大な敷地内に大型の製材所があった。そこで発生する廃材、樹皮、大鋸屑(おがくず)、間伐材、自社林内で払った下枝、虫食い木、風倒木等を燃焼して水蒸気を発生させて発電して工場内の動力源とし、そこで余った電力は地域の配電会社に売却していた。さらに余剰となる水蒸気は工場の事務棟の暖房に使う等の、近頃流行の木質バイオマス燃料は1970年代から使っていた。

結び:
今にして思えば、此処まで徹底してやれば利益が出るわけだと解る。その世界最大級だった紙パルプ・森林産業会社が今や往年の半分以下の売り上げ、30%程度の人員になるまでの不振に喘いでいる。アメリカにおける印刷(紙)媒体が如何に衰退したかを示す悪い例だと思うと同時に、ネット普及の恐ろしさを痛感させられる出来事だ。私は「時の流れの恐ろしさ」を見せつけられる思いがある。