新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

爆買いだって立派な輸入だ

2016-04-14 08:56:21 | コラム
遂に中国当局が関税率を引き上げた:

私は我が国のマスコミ、就中テレビが嬉しそうに中国人の観光客という名の爆買い団の買いっぷりを伝えているのを見る度に「あの連中が国内に輸入品を持ち込む際の関税と購入の制限額はどのように規定されているのかな」と訝るのではなく、面白い光景だと思っていた。爆買い集団はまさか自分たちが輸入をしているとは知らなかったのではないかな。

最早、海外に出かけても何か有利に買える品物などなくなったし買いまくれる資金もないだけではなく、昔のことは忘れた。だが、海外で買う時には10万円だったか20万円だったか忘れた制限額を常に念頭に置き慎重に買い物をしていたものだった。また、アメリカでも香港でもシンガポールでもソウルでも免税店は覗いていたし、帰りの空港では先ず”Duty free shop”に立ち寄り「良い買い物」をする楽しみがあった。

記憶に誤りがなければ、税関検査で自分から申告して関税を納めたのは、1970年の生まれて初めての海外出張(同時に旅行)の際に、思いがけない好条件が重なって、シンガポールで当時としては珍しかったRolexが国内価格の30%ほどで買えてしまった時だけで、後は矩(範?)を超えずで個人で関税を納めるほど買ったことはなかった。

だが、あの爆買い団の買い方を見ていれば「あれは自国で関税を納めても尚且つ『お買い得』になるのならば中国の輸出入に関する法規定は余程緩いのか、あるいは帰国後に転売すればかなりの利益を生じるのか、あるいは両方か」と思わせられた。だが、今にして悔やまれるのは、そういう指摘をあの爆買いの最盛期にしておかなかったことだ。と言うのは、あれほど買うのに対して中国の税関が何らの措置を採らないことが考えられなかったからだ。

矢張り中国の当局は立ち上がりかなりな高率の関税引き上げを発表したようだ。中国の当局は自国の民が海外で買いまくっていることを快く思わず、低迷する経済の足しにでもしようとばかりに税収の増加を図ったようだ。思うに、一部か多くのか知らぬが、爆買い集団は関税率引き上げ以前ではかなりの収益を挙げていたのだろう。だが、マスコミが懸念して見せたように、今後は彼らは爆買いを徐々に減少させていくだろう。まさか、我が国の景気がそれによる悪影響を受けるほど脆弱ではあるまいな。ではあっても、受け入れ態勢を整えていた小売業界は困惑しているだろう。