新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

4月5日 その4 続・現在の世界の景気を考えれば

2016-04-05 13:38:14 | コラム
先進国の問題点を探る:

昨日の「景気を考えれば」では触れていませんでしたが、インドネシアや中国が近年になって導入した新マシンはゴルフクラブにたとえれば、素晴らしく距離が出る新素材のドライバー、我が国やアメリカの近代化が遅れた古・遅・小のマシンはパター程度で距離も出ず精度も低く、その規模自体も比べものになりません。21世紀の現代ともなれば、パーシモン(persimmon)のヘッドでステイールのシャフトのクラブは市販されていないのと同様に、新興勢力が購入出来るのは最新鋭の(アメリカや我が国にはない)機械しかなくなっていたのです。

我が国も兎も角、アメリカは古き良き資本主義を後生大事に守ってしていますから、拡大再生産など考えられないほど利益が上がらない業種では、新規設備投資も既存施設の合理化もしなかった為に、紙パルプ業界では博物館から借りてきたかと思うような古物化したマシンを低い質の労働力で動かすのですから、高くて(我が国の優れた紙類と比較すれば)質の低い製品が出来ていたのも仕方がなかったことでした。

それが為にだけでもありませんが、印刷用紙、新聞用紙、段ボール原紙の大手メーカーは全てChapter 11という惨状。IPを先頭に我がW社等の大手は2000年代初頭に全て製紙分野から事実上撤退した形となりました。それが時代を先読みしたことでもあったのですが、そこに新興勢力が付け入る余地が生じたのです。だが、その後輸入紙の攻勢に耐えかねて「国内産業保護」の名目で関税をかけて守ったにも拘わらず、ほとんどの大手メーカーが民事再生法申請せざるを得ない状況に立ち至りました。IPもW社も撤退した後でしたから、輸入紙攻勢による実害はなし。アメリカの自動車産業はこの前に壊滅していたのような事態の実態を、大統領様はお解りではなかったようで。

「そのアメリカがTPPだなんておかしい」と私が言うのはこういう根拠です。世界の新たな変化に立ち後れ輸入に頼らざるを得ない状態になっていて、しかも内需依存の経済でありながら、その不振を打開する為に輸出するって言っても、アジアに近い西海岸にはこれという産業はありません。その筆頭だった我がW社は既に材木会社に本卦還り。我が国の木材関連業界に一部上場の企業はないのですから、輸出する相手を選ぶのは容易ではありません。スマホがあると言っても作っているのは最近話題を賑わしている台湾の会社では?

アメリカは労働力の質の問題などは一朝一夕に改善出来るものではない上に、そういう階層があるという難問を抱えています。しかも、国内市場の甘い品質の要求に応えていれば良かった技術力(例えば、自動車)の飛躍的な向上を図らずして、高高度工業製品の輸出を増やすことなどは、大雑把に言えばボーイング以外では不可能でしょう。では、従来の一次産品の輸出を強化することは地元の産業の原料を売り払うことになるので、既に中止されたり反対の声も上がっています。だからこそ、牛肉だの豚肉だのと言っている訳で、この辺りがアメリカの泣き所です。

私はアメリカの牛肉は食べる店を選んで食べれば極めて美味であると知っていますから、もしも良質の牛肉が安値で入ってくることは歓迎です。ではあっても、一次産品を輸出を促進するのがアメリカの真の狙いであるとは思えないのです。そうだったならば、TPPで縛ろうと何だろうと、直に相手国に忌避されるか、たとえ一度は買っても飽きられてくるだろうと思っております、経験的にも。我が国のように優れた国産品の品質に馴れた相手に向けての輸出はそれほど簡単なことではないと承知している企業が、アメリカや他の国にどれだけある事か。

4月5日 その2 アメリカの大学事情

2016-04-05 08:07:38 | コラム
中国の若者の増加が目立つ新宿区:

新宿区の「広報しんじゅく」28年4月5日号によれば、3月の住民基本台帳人口は334,650人で対前月比では37人の増加に止まったが、これは日本人が250人増えたのに対して外国人が213人減少した結果だった。2月の420人の増加と対比すれば僅かの増加となった。これは思うに春休みに入って日本語学校の生徒たちが卒業して帰国したのではだろう。なお、世帯数は210,126と対前月比46の減少だった。

因みに、3月末から4月にかけて我が家と新大久保駅と高田馬場駅の中間にある大型の2校の日本語学校は内・外装(誤ったカタカナ語ではリニューアル)の工事が行われていた。より多くの集客を目指しているのかと思った次第。

繰り返し述べてきたが、“Koreatown”は単に韓国産の化粧品を売る店が多いだけの町となったと言って良いほど変貌した。最早“K-Cosmetictown”とでも自発的に改称すべきではないのか。私が勝手に「ハレルヤ」と「松屋」と共に三大韓国料理の名店としていた「田舎屋」は既に経営者が帰国したとかで、「牛屋」という焼き肉店に変わっていたのには流石の当方も驚いた。韓国料理店の衰退はこれほど著しいのだ。

中国の若者は相変わらず増加が続いている。しかも連中はこれまでは大久保通りから南の方向、即ち歌舞伎町寄りに多く巣くっていたようだが、今では我が家の方向、即ち高田馬場方面でも我が物顔で、スマホで喚いている連中が増えてきた。にも拘わらず私に不思議の思える現象は、中国料理屋が増えないこと。尤も、回転寿司や「すき家」や「吉野屋」等に試しに入ってみると、そこでは中国語しか聞こえてこないことが多くなっている。「イスラム横丁」を目指してくる中近東勢も目立つが、他にマレーシアかインドネシアの女性も徐々に増えている感がある。

3月の外国人の数は38,729人と2月からは213人の減少で全体に占める率は11.57%で2月の11.6%と1月の11.5%とほぼ同じだった。これは実質的に比率では変化はなかったようにも見えるが、街を歩いている感覚では中国人を主体としたアジア系の若者の数は区の統計の数倍はいるのではないかと思わせるほど急増している。中国や韓国の経済が停滞している以上、今後とも合法・違法も含めて彼らが押し寄せてくる傾向は止まらないと危惧する。

参考資料:新宿区広報「しんじゅく」平成28年4・5



アメリカの大学事情

2016-04-05 08:00:33 | コラム
アメリカの大学事情と学生ローン問題:

畏友尾形氏から昨4日に「今日の産経紙「正論」をご覧になられたでしょうか?竹内洋先生が、アメリカの大学で准教授をなさっているお嬢さんの話として、「最近のアメリカの大学事情」に就いてお書きです。」

私も興味深く読んでいたので、早速以下のように返信したので、ご紹介する次第。

アメリカの大学には貰いきりの奨学金制度(Scholarship)はありますが、近年では学生ローンはその残高が高額になり、社会人となってからその返済に苦しめられている者が増えたと聞いております。これは一度でも返済が遅れると銀行のブラックリストに載り、その後は住宅ローンなどを組む際の悪条件になってしまうのだそうです。年間3万ドルにもある授業料を4年も借りれば12万ドル($1=¥111でも¥1,300万円超となる)という大きな債務となるのですから大変です。

また、近年大学の経営状態そのものが苦境にあるのみならず、我が国でも妙に名が知れている”UCLA”(=州立のカリフォルニア大学・ロスアンジェルス校)などはカリフォルニア州の財政破綻の結果で経営が私企業に移管されたために、年間の授業料を含めた学費がIvy League並の500万円にも達してしまったそうです。SM氏の次女は先頃UCLAのビジネススクールを経て就職されましたので、明らかな事実です。

また、彼の長女はロスアンジェルス市内の私立大学の法科大学院を経て弁護士になった時点で学生ローンの残高が20万ドルにもなって、その返済の為に法律事務所勤務で文字通り寝食を忘れて働き、漸く苦境を脱したそうです。YM氏も2月の21世紀パラダイム研究会でこの学生ローン問題について、その高額な点が社会問題になりつつあると語っていました。

それは、貸し手の銀行としては裕福な家庭の子女が多い私立大学や、UCLAやUCバークレー等の学生を狙ってくるのは当然でしょう。また、私と愚息の友人でもあるIntel勤務の精鋭は、ハーヴァードのビジネススクールに入学した時点で裕福な親からの援助はなく、車を売り学生ローンを借りて賄ったそうです。彼ほどの裕福な家でも、親は大学院の学費を出さず自己負担せよというのは、如何にもアメリカ的です。

銀行がこういう問題をどのように考えているかは尾形さんの守備範囲にある事でしょうが、ワシントン大学のような有力な州立大学ではフットボールに力を入れて、構内に7万人収容のスタジアムを作って集客をはかっていますし、UCバークレーも同様に1万2千人収容の室内競技場”Haas Pavilion”をLevi’sの社長の寄付で設け、10万円だったかで年間指定席を売り出す等、資金調達業務に勤しんでいます。

大体、W社の事業部長乃至は副社長を兼任するくらいの地位にいる連中の子弟は、概ね東海岸の私立大学かカリフォルニア州のスタンフォード等に進むようです。即ち、彼らは年間500万円程度の教育費は問題なくまかなえる収入があるということでしょう。「これだからアメリカは格差社会だ」という奴が出てくるのでしょう。私はこういうことを我が国にいて批判する意味はあまりないかと思っております。何分にも、余所の国の文化であり事情ですから。

因みに、トランプ氏が州立大の授業料を無くすと言っているのも故なきことではなく、授業料の他の費用も含めれば¥1,500万にも達する場合があるからだ。尤も、竹内氏も指摘しておられたが、此処では州民とそれ以外では授業料は違ってくるのだが、当然だろう。
以上