新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

山尾志櫻里に見る政治と金の問題

2016-04-07 13:40:44 | コラム
「政治家と金」の問題ではないのではないのか:

目下、ガソリンのプリペイドカードを政治資金で大量に購入したとマスコミに採り上げられ、週刊新潮の4月14号にもトップ記事で扱われ、民進党の新政調会長・山尾志櫻里が話題となっている。これも「政治と金の問題」として扱われているが、私はこれと甘利前大臣の場合の「政治と金」とは同日に論じられないと思って眺めている。甘利前大臣の場合は明らかに政治家、それも大臣という職責が物を言ったいたようだが、山尾政調会長の件は秘書の不始末のように彼女は言うが、私には単なる管理能力の不足から生じた問題にしか見えない。ことの性質が全く異なると思うのだ。

序でに申し上げておけば、小渕優子や松島みどりの場合も彼らが起こした事件は政治本体の一部分であったとは見えるが、私には管理能力不十分が引き起こした問題のように見えて仕方がなかった。

テレビに登場する識者や評論家は「山尾は法律の専門家であるから、このような明らかな法的な誤りを見落とすはずはない」であるとか「カードを有権者か支持者に配布したのでは」のように言う。だが、肝腎の代議士に管理能力が欠落していたか否かは別にして、その秘書が230万円かいくらか知らぬが、自分で勝手に流用し、その帳尻合わせをプリペイドカードを大量に買い入れたことにしていたとも考えられそうだとも思う。さらに想像をたくましくすれば、山尾代議士は本来の政治活動が多忙で事務所の帳簿管理にまで手が回っていなかっただけとも言える気がする。それでも広義の「政治」の範疇かも知れないが。

何が言いたいのかと言えば「山尾という人は優れた知能を活かして司法試験を通って検察官になるような能力はあったが、自分の事務所を管理するような事務能力が不十分だったのではないか」なのだ。私は全知全能な人などいる訳がなく、人はそれぞれ得手不得手があるもので、その得意とする分野では総理を保育園問題でやり込めて一躍脚光を浴びたが、自分の仕事の後始末は不得手だったということだと思っている。

その昔、親しくしていた商社マンの一人は俗に言う「辣腕」であり「豪腕」で商才に優れ、次から次へと新分野と取引先を開拓し、ニューヨーク支店に栄転しても輝かしい実績を残していた。ところがその辺りから何故か昇進については同期にも抜かれたし、本社に戻ったかと思えば小さな子会社に出されてしまったのだった。私には不可解な人事に見えたのだったので、その背景というか理由をそっと彼の同僚と上司にも尋ねてみた。

答えは外部にいては簡単には知り得ないもので「彼は新分野を開拓し、売り上げを伸ばして利益を上げてくるが、社内における事務管理や代金回収などには余り精力を注ぎ込まず、彼の部下や周囲にいる者たちが懸命になってカバーしていたのが実態で、豪腕や商才は飽くまでも『外面』であって、上層部からの評価はもう一つだった」というものだった。悲しい情報だったが、その点が同期入社の連中との対比でマイナス評価になったようだった。

私は要するにその人物が持ついくつかの長所というか能力のうちどれを活かして使うかが、管理の任に当たっている上層部の責任であり手腕でもあると考えている。会社という組織ならば所謂アシスタント的なものをつけてその豪腕の欠陥を補ってやることもあるだろうが、私には政治家は団体競技ではなく、テニスやゴルフまたは相撲のような個人種目のように見えてならない。

ここでまた難しい議論に入れば、私は女性の事務管理能力と秘書のような仕事では男よりも遙かに優れた能力があり、その点を如何に巧みに適材適所で活用していくかを考えた方が適切で、安倍総理の女性活用論に見られるように何が何でも管理職に登用することが全てではないような気がする。これはこれまでに経験した二人の女性の力から言えることだ。「わずか二人とは」と言われそうだが、それは間もなく結婚53年目を迎える家内と、W社で12年間私を適切に使ってくれた秘書のE子さんを指しているのだ。

これでは「政治と金の問題」から些か離れてしまったが、私は山尾の場合は政治色よりも彼女の管理能力に問題があったのではないかを言いたくて、此処まで引っ張ってきた次第だ。但し、山尾の長所と見える能力を安倍政権の揚げ足取りにだけしか活かせない岡田克也以下の民進党の幹部連中の能力にも問題があるように見える。